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1541年 5月越後国登呂家の登呂正勝が隠居されている屋敷に1人の男が尋ねて来た
登呂高統「親父殿入るぞ」
高統を観るや否や嫌そうに口を開き登呂正勝は
登呂正勝「なんだ、息子の高統か…孫なら喜んだんだがのう」
高統はドスドスと強めに足踏みし正勝の前に立ち座る
登呂高統「…土産だ」
高統はひょうたんを取り出し正勝に軽く投げ正勝はそれをキャッチして受け取ると
登呂正勝「おいおい大事な酒に何かあったらどうするのじゃあ」
酒の心配を他所に高統は本題に入る
登呂高統「親父、来月には殿の本隊が此処に参られる、酒も良い」
登呂正勝「案ずるなお前が居れば何とかなりはする、今更こんな隠居者の爺さんに殿が用があるとは思えぬ、それより酒は?他には無いのか?」
登呂高統「案ずるな、屋敷の外の荷車に酒はたんまりある」
充分な量の酒を観るなり正勝は満足し
登呂正勝「ならば良い、わしの残りの余生は酒と御主ら息子や孫達が、わしより先に仏にならない事だな和尚にも度々顔を出しては説法を食らっておるわお前にも後でわしが聞いた奴を」
登呂高統「説法など聴くだけ時間の無駄だ」
正勝は笑いながら話すが高統は拒否り
登呂正勝「そうか、わしは好きじゃがお前には早かったかお前もいづれ良さが分かろうぞ」
登呂高統「…それよりも殿が近々奪われた領土を奪還するとしてこちらに向かうとの話しだ」
登呂正勝「ほう、なら先鋒として武功を上げて汚名返上せねばな、隠居の爺さんではあるがわしの屋敷は好きに使え」
登呂高統「親父…かたじけない」
登呂正勝「酒の礼じゃ」
それからひと月が過ぎた頃
侍大将「よし兵糧は屋敷の奥にでも詰めておけ、そこ武具などは向こうにまとめとけ」
足軽「へい」
登呂正勝「マジか…」
この時正勝は多少でも役に立てればと思っていたが日に日に増えていく足軽ら、兵糧や武具置き場に使われあの日の自分自身に後悔していた
登呂高統「親父、すまんな」
高統の隊と思われし隊がぞろぞろと集まりだし
登呂正勝「高統か、戦に行くのか」
登呂高統「無論だ、親父もこれで屋敷がいつも通りに戻るな」
登呂正勝「全くじゃ」
登呂高統「それと殿からせめてもの礼じゃと預かっている物がある、おいアレを」
侍大将「はっ!コチラに」
大量の酒が置かれ
登呂正勝「これは…おぉ」
正勝もこれには大いに喜び
登呂高統「殿から米や銭より酒の方が喜ぶだろうともらった品だ、程々にしておけとも言われている故」
登呂正勝「高統…」
登呂高統「なんじゃ?親父」
登呂正勝「殿に会ったなら伝えてくれ…この御恩一生忘れぬと」
喜びと涙が溢れ
登呂高統「ああ、伝えておこう」
1541年 7月
春日山城を立った氷川信之を総大将に兵3000が西に向かった途中、岩清水高家、登呂高統の隊と合流しその数は5000に膨れ上がった
1541年8月 越中国
足軽大将「殿大変です」
新納胤久「如何した」
足軽大将「氷川軍5000が此方に向かってきております!急ぎ対応せねば」
新納胤久「むむむ…以下にすれば」
胤久の表情は暗くなると1人の男が発言する
沖田興国「殿、某は砦に入り敵の進軍を阻止してまいります」
新納胤久「なんと!それはありがたいのだが、其方が此処を離れると心細いが手勢1000を興国に与える砦には500は詰めていよう故何としても奴らの進行を阻止せよ」
沖田興国「かしこまりました」
興国は手勢1000を率いて最前線に向かう
沖田興国は砦を改修し数日は耐えれるようにした、8月中旬氷川信之の隊5000が三手に別れ進軍した、包囲してから10日が過ぎた頃
1541年 9月 下旬
氷川信之「あの砦には沖田興国が居るのだな」
侍大将「はい、砦には500程が詰めております」
氷川信之「そうか、火矢の準備を合図の狼煙を2つほどあげに行くぞ」
侍大将「かしこまりました」
最初に動いたのは氷川信之の隊2000が沖田興国が守る砦からであった
沖田興国「くっ!火矢だと!蓄えの水を使っても構わぬ奴の狙いは砦を焼く事だ!」
足軽「興国様!櫓から火の気が!」
沖田興国「何?櫓だと?」
侍大将「報告します敵が後退して行きます」
沖田興国「被害は」
侍大将「砦が2つ程燃やされはしましたが、こちらの犠牲はわずかです」
沖田興国「砦に火が移ることは」
侍大将「砦とは距離もあります故その心配はいらないかと」
沖田興国「…そうか」
沖田興国は砦に籠るも氷川信之はその後何もせず包囲だけをして3日が過ぎた10月に入った頃事件が起こる
1541年 10月
新納家の3つあった砦を5日の内に2つ陥落させ最後の砦となった
沖田興国「くっ!あの櫓に火がかけたのは合図を送る為か、皆の衆此度の戦はここまでだ、砦に火を放て、煙に紛れ殿の居る魚津城まで落ち延びよ」
足軽達「おう」
沖田興国は砦に火をかけると手勢と共に新納胤久の魚津城まで向かった
氷川信之「やはり砦に火をかけたか包囲してる者らをいくらか追い討ちに向かわせよ、沖田興国を捕らえよ」
氷川信之による追い討ちが始まった
足軽「うぐっ!」
沖田興国「ちぃ!切っても切ってもキリがない」
その時後方から矢の嵐が氷川の足軽達を遅い
足軽「うぐっ!」
侍大将「追い討ちはここまでだ退け!一旦退くぞ!」
氷川の兵達が追い討ちを止め来た道を戻り始めた
沖田興国の下に1人者が歩み寄り
新納久元「無事であったか興国」
その馬の装束は間違えなく新納胤久の嫡男新納久元であった
沖田興国「久元様!?何故このような危険な場所にそれに手勢も」
興国が観ても明らかに少なく兵も数百程度しかおらず
新納久元「ああ、お前の所の足軽達が逃げてくるなり興国の籠る砦に火の気がっと慌てて来てな、わしも急遽出陣した故供回りと留守居の兵だけで来たんだ200もおらんであろう」
沖田興国「無事だったから良かったもののもしもの事があっては殿に、久元様の御父上様に顔向け出来ません」
新納久元「お互い無事で良かったな、とりあえず越中まで後退するぞ奪った郡は諦めるぞ」
沖田興国「かしこまりました」
結果この戦いで氷川から奪った領土は再び氷川の領土となり砦1つが焼失した、氷川信之は奪われた領土が戻って来た事に満足し登呂高統に任せると次の手を打つ事にした一方その頃新納胤久の居城魚津城では
新納胤久「興国よ、無事であったか」
胤久は腰をあげ立ち上がり興国の無事を心から喜ぶ
沖田興国「はい、命かながらではありますが…某に従っていた手勢も1000も残っておりません」
新納胤久「そうであったか、其方達は今は休むがよい」
沖田興国「ははぁありがとうございます」
興国が席を離れるとゾッと力が抜け崩れ落ちるように座り込みため息をつく
新納胤久「だはぁぁあ、あぁー興国でもダメじゃったか、城には如何程兵が詰めておるか」
侍大将「2000は詰めてはおります、兵糧庫の蓄えも十二分にあります、例え氷川の兵が5000で来ようと落とせばしませんでしょう」
新納胤久「よしよし、何とかなろうか、念の為東の備えを万全にしておいてくれ、今月さえ乗り切ればあの険しい峠越えはしてまで来ぬであろう雪解けまで
ゆっくり準備が出来よう」
胤久は攻めて来ても冬には帰って行くであろうと読んでおり城に多くの兵を詰めて東からの攻めに対応する予定であったそこまでは良かったのだが寒さを肌で感じ始めた10月中半突如として氷川信之の隊5000が現れた
新納胤久「何!誠なのか!」
侍大将「確かです、自分も旗指物を確認しています間違えありません」
新納胤久「ど、どうすればいい興国は今何処じゃ」
侍大将「松倉城だったかと…」
新納胤久「とにかく城を固めよ、門を固く閉じ敵の進行をそしせよ他の者らにも同様の指示をせよどうせすぐ帰るに違いない」
侍大将「かしこまりました、ではそのように」
しかし新納胤久の思惑とは裏腹にひと月ふた月と過ぎていき気づけば12月も後半になりすっかり辺りは雪に覆われ凍える寒さの中篝火に集まるように兵達が集まり寒さに耐えていた
城内では既に食べ物が尽き寒さで凍りついた水だけしかなく寒さに耐えかねた城兵が逃亡が各地で起きていた
1541年 12月 越中 魚津城
新納胤久「まだ奴らは帰らないのか」
ガタガタと震え
侍大将「はっ、はい…と…殿、某からもお願いします氷川と和睦しては下さいませんか」
新納胤久「何を申すのだ向こうも同じはずだ、我らが負けるはず」
侍大将「しかし城内でも寒さで暖も取れず逃げ出す者凍死する者が後を経ちません」
新納胤久「むむむ…そうだな其方悪いが急ぎ氷川の陣に行き此方は和議に応じる用意があると伝えてくれ、これがそれを認めた文じゃ」
侍大将「わかりました、では行って参ります」
それから間もなくして氷川本陣に向かい新納胤久からの文を読み
氷川信之「そうか、だが今我らが包囲している城と奪った領土は当家の物とするそれであれば城兵皆の命を助けよう」
侍大将「なっ!いくらなんでもそれは」
氷川信之「既にふた月は包囲しているのだ今更和睦して去る事など出来ぬ、双方これ以上犠牲を出さぬのだその事主としっかり話しをせよ猶予は3日後とする」
侍大将「わ、わかりました主に確認して参ります…」
登呂高統「見事ですな殿向こうもようやく折れました後もう少しでしょう」
氷川信之「和議が締結後はすぐに兵達に温かい物を与えよ、我らも此度はだいぶ疲弊した春には越後に兵達を戻してやりたい、領民達の説得には高家が適任であろう」
岩清水高家「そうなるとわしは越後に帰れないと…」
氷川信之「そう落ち込むな少しの間だけだ」
岩清水高家「でしたら、わかりました」
それから3日後新納胤久と氷川信之との和睦交渉が無事行われ新納胤久は大幅に領土を失った
氷川信之は越中で年を越すと雪解け前に越後に帰還した
1542年 5月 春日山城に主だった重臣達が集まった
氷川信之「皆良く集まってくれた、早速ではあるが早急にやらねばならない事があって皆を呼びつけた」
重臣達は何事かと動揺し
書状を見せ確認した高家は驚いた表情をしていた
岩清水高家「これは関東管領杉松義隆様からと公方足利義康様からの書状ではありませんか」
氷川信之「そうだ、元は関東管領の補佐を巡っての争いがきっかけで主に結城氏、山城氏、大城氏が杉松氏と対立したのが原因だが、特に我々も敵対はしてないのだ」
絵図を広げ状況を説明し
氷川信之「甲斐の山城家とは距離もあるよって此処は大丈夫であろう、同じく常陸の結城家此処もじゃあ」
岩清水高家「となると我々がもしも戦となるとすれば、此処の出羽の大城家ですな」
氷川信之「そうだな、先に手を打って同盟を結ぼうと思う高家悪いが」
岩清水高家「かしこまりました、お任せ下さい」
氷川信之「他の者は自領の田畑の世話を交代で面倒見よ」
家臣達「おう!」
1542年 7月 越後国
郡 光弘「殿、またもや領民達が嘆願書を」
氷川信之「また岩戸の領土か」
郡 光弘「はい、税が重く民達が苦しんでいるそうです」
氷川信之「六公四民か?確かに我が領土内は五公五民だが」
郡 光弘「八公二民だそうです」
氷川信之「呆れたそれはこれだけ嘆願書贈られて来るわ、やはり旧金森領の方か?」
今月に入り更に税が重くなった領民達は最後の希望とばかりに山のような嘆願書を氷川信之の居る春日山城に送られていた
郡 弘光「某、直に会い岩戸の説得に参ります」
氷川信之「うむ、与力に十河勝興を付けよう頼めるか勝興」
十河勝興「お任せ下さい」
氷川信之「うむ、勝胤は念の為兵1000を集め何時でも動けるようにしておいてくれ、年内までに何も起こらなければそのまま解散せよ」
十河勝胤「承知しました」
軍議が終わると弟の広郷が残り信之に声をかける
氷川広郷「兄上1つ提案がございます」
氷川信之「如何した広郷?」
氷川広郷「この際従属国衆なのかはたまた同盟なのかはっきりさせる為に此処は白黒ハッキリさせましょう」
氷川信之「なるほど、しかしそうなると一度皆と話しをせねば…」
氷川広郷「話すとは十河勝興親子や岩戸政勝親子それに兄上の親的存在の金森秀久様にで御座いますか」
氷川信之「うむ、義父の金森秀久は大丈夫であろう昔からの好もある、十河勝興も内容次第ではあろうが当家に従ってくれよう」
氷川広郷「そうなると未だに当家に反抗的な岩戸家の岩戸政勝」
氷川信之「しかしこれ以上与える領土となると」
氷川広郷「それはダメです、そうなると今まで従ってくれた家臣らにも示しがつきません」
氷川信之「やはり攻めねばらなぬか…」
氷川広郷「そうですね砦攻めくらいはする覚悟は必要です、後は岩戸政勝または岩戸政勝親子の籠る城を包囲させ降伏させ当家の一家臣にするのがよろしいです」
氷川信之「うむ、しかし徹底抗戦か当家に従わぬ場合以下にするつもりじゃ?」
氷川広郷「問題はそれですね、そうなれば長期戦となりましょう、その場合は力攻めに切り替えましょう」
氷川信之「わかった、時期は9月の収穫後とする収穫終えてからとする」
氷川広郷「それがよろしいかと思います」
こうして兄弟だけの秘密の会話を終え氷川信之は9月の軍議で岩戸政勝親子が出席しその場で説得し領民達を苦しめないように言い聞かせるつもりであった
岩戸領土内にも領民達に今少し耐えてくれと和尚を通じて領民達の説得するよう促した
1542年 9月 春日山城
いつも通りの面々が勢揃いするも岩戸の席は埋まらず軍議が始まった、各々の話しを聞き報告や今年の田畑の収穫などを聞いたその後氷川広郷は皆が気にしている一言を口にした
氷川広郷「殿!よろしいでしょうか岩戸の件で御座います」
氷川信之「…なんだ申してみよ」
氷川広郷「此度も岩戸政勝は軍議にも参加しなかった、既に半年以上名代も出さず殿を当家を蔑ろにしております」
十河勝興「そうだ!奴は既に裏切っているのではないのか!」
郡 弘光「確認もせずに仲間を裏切り呼ばわりは好かん」
金森秀久「いや、政勝は幾度とワシの首を狙って来た今や元領民達からの悲痛を訴えはワシの佐渡国にまで届いておる」
大量の嘆願書をその場で見せ
皆がザワザワし出す
登呂高統「こんなにも…」
金森秀久「こんなにも?これでも一部だ、多過ぎる故一部だけ持って来たに過ぎぬ」
氷川信之「皆鎮まりたまえ」
家臣達は我に戻り
金森秀久「殿失礼しました」
氷川信之「良い、皆先ずはこれに署名してくれ」
紙と筆を家臣らに渡し
十河勝興「これは連判状」
氷川信之「そうだ、当家をひとつにする為従属や同盟関係を解消し当家、氷川家の為の一家臣とする誓の連判状じゃ、これに署名が否と申す者が入れば即刻この場から立ち去るが良い10日後城攻めする故籠城なり城を捨て何処かに落ちるなり好きにするが良い」
氷川広郷「では、先ずは自分から、さあ次は誰が名を記す」
スラスラと名を描き
氷川信之「広郷、兄から礼を申す」
登呂高統「登呂家を代表しワシが書こう、ほれ光弘」
名を書くと光弘に渡し
郡 光弘「ああ、ほれ次」
順調に進みいよいよ問題の二人となり
金森秀久「ほれ勝興殿お主で最後だ」
いよいよ最後となった勝興
十河勝興「殿…書き終えたで御座る」
勝興は最後の最後までどうするか悩みながらも自分の名を書き終え氷川信之に渡し
氷川信之「うむ、確かに皆の名前だ、勝興辛い選択であったが其方の想い無下には決して扱わぬ」
十河勝興「有り難きお言葉」
氷川信之「皆もよく名を此処に記してくれた信之心から礼を申す、皆も勝興同様に無下には決して扱わぬ故案ずるな、これからも当家の為頑張ってくれ」
家臣達「かしこまりました」
氷川信之「では此度の策を話す先ずは勝興と光弘の隊は兵1000を率いて10日後に再び此処に…」
氷川信之の策を聞いた家臣達は各自各々の所領に戻り急ぎ支度したそれから10日後策が実行された
1542年9月
岩戸領の砦を任されていた那須元春がのんびり暇しながら氷川領を警戒して観ていた
那須元春「暇だな」
寝っ転がりながら空を見上げており暇していた
足軽大将「元春殿!大変です!」
那須元春「なんだ?誰か来たか?よっこいせ」
身体を起こし起き上がる
足軽大将「氷川の隊数千が此方に向かって来ております!恐らく大将自ら動いていると思われます!」
那須元春「なんだと!急ぎ援軍を呼んでこい!」
慌てて起きて指示を出す
足軽大将「砦には300そこら既に半数は逃げ出しております、此処は砦を棄てて落ち延びた方が」
那須元春「ちぃ、仕方ねえ砦を棄てて落ちるぞ」
足軽大将「ははぁ!」
岩清水高家「敵が砦を棄てて逃げています」
氷川信之「よしよし、では砦に火を掛け破却せよ」
砦から上がる火は岩戸兵達を恐怖させ氷川信之に鞍替えする者達が後を絶たない
岩戸政勝「城は包囲され兵もわずか」
那須元春「申し訳ありません!某が砦を棄てたばっかりに誤報があちこちで」
岩戸政勝「うむ……城にはいくら兵がおる?」
沼田成清「兵は800そこらです、氷川の軍は3000程これでも一部の戦力だけでしょう、恐らく呼び掛けて城に登る兵もわずかかと」
岩戸政勝「抗っても仕方ない事だな」
岩戸政綱「父上!いや殿!まさか戦わず降伏すると申す気ですが」
岩戸政勝「許せ……抗えば家臣皆斬首も考えれる、せめて早いうちに降伏すれば領土程度で済もう、ワシの命と引き換えても家臣達を守るつもりだ」
岩戸政綱「父上…」
足軽大将「使者が謁見を求めております、如何しますか?」
岩戸政勝「会おうすぐにも通せ」
足軽大将「ははぁ」
和尚「政勝様」
岩戸政勝「和尚が使者でしたか降伏の条件をお聞かせください」
和尚「うむ、信之様からは降伏さえしてくれれば切腹なく、皆赦免とすると仰せです、どうか血を流さず済ませれないだろうか」
岩戸政勝「無論です、武装を解除し門を開け降伏すると主氷川信之殿に御伝え下さい」
和尚「ありがとうございます、では信之殿に伝えて参ります」
氷川信之「岩戸政勝、今後当家に逆らわないと誓えるなら領土安堵しょう、もちろん人質なども不要だ」
岩戸政勝「なんと寛大な心、ははぁ!この政勝以後氷川信之様に仕えるとお約束致します」
氷川信之「うむ」
岩清水高家「終わりましたな殿」
氷川信之「まだまだではあるが石高を上げ越後を磐石にいたすぞ、皆の者此度の戦はこれまでだ、此度血を流すことなく終わったのはひとえに皆のおかげぞ、信之心より皆に礼を申す」
一同「おう!」
氷川信之「此度の勝利を祝い勝鬨を上げよ!」
一同「えいえいおー!」
氷川信之は越後北部の国衆、岩戸政勝を家臣に加え越後氷川家を一枚岩にした。