『なぁ。オールマイト。俺、これからどうなんの?孤児院じゃないんだろ?刑務所?俺、あそこぶっ壊しちまったから?』
「少年。君の家は…正直決まってないんだ。」
『はぁ⁈なのに孤児院じゃないとか言ってたわけですか⁈なんすかそれ!ひどい!』
「すまない…でも、孤児院には入れさせないから安心してくれ!」
『はぁ…おい、えっと…あ、思い出した。勝郎、お前の家に泊めろ』
「はぁ⁈何言ってんだお前!それに俺は勝郎じゃねぇ!!!」
『まじ?じゃあ、馬鹿郎か。』
「お前ッわかってやってんのか?あ”ぁ?」
本当に短気だな。
そうやってピリピリしてるとすぐ老けるぞ
そう言ったらもっと怒った。いや、マジで老けるぞこいつ。
「まぁ、いい案かもしれないな。」
「は?」
『だろ?ほら、泊めてくれよ。おれが今までいたところぶっ壊しちまったからよ。』
「いや、なんで俺がッ」
「オールマイトさん!」
部屋の扉が勢いよく空いて、布か?何かを首に巻いている男が入ってきた。
「相澤くん。どうしたんだ?そんなに慌てて」
「さっきいたヴィランのリーダーがッ逃走しました!」
『は、、、?』
「お前、さっきの、、と言うか、なんで爆豪がいるんだ」
「少年が逃げて、それを爆豪少年が捕まえてくれたんだよ」
あ、そうだ。爆豪だ。
と言うか、なんて言った?逃走?あいつが?
『やっぱりあそこで殺しとくんだった。』
「葉月少年、それはダメだ。逃げてしまったにしろ、また捕まえればいい。それより、君が殺したら、ヴィランと同じ。君のお父さんと同じになってしまうんだ。」
『ッ…でもッあいつは母さんを!母さんを殺したんだ!なのにあいつは今まで平然と生きてた!おかしいだろ!みんなを救ってた母さんが殺されてッあいつは普通に生活するなんて!それにッあいつのせいで俺は右腕に一生消えない傷を負った!!!あいつのせいでだ!!!あいつなんてッあいつなんてッ死んで当たり前だ!!!!!』
「葉月少年…」
『ッ俺はあいつを探してくる。どっかで野宿でもするから俺のことは放っといてください。じゃあ、病院とか、ありがとうございました。』
「おい!」
爆豪の声が聞こえたけど、俺は部屋を飛び出し、あいつがどこにいるかもわからないのに、無我夢中で走った。
本当は、右腕の傷が嫌で仕方なかった。
本当は、怖かった。
母さんを守れなかった自分が嫌いだった。
なんで俺が生き残っちまったんだって。なんで母さんなんだって。
ずっとずっと怖かった。あの何もない空間の中で。誰も助けにこない。ただクソ野郎からの暴力に耐え続ける日々が。今まであの部屋から出なかったのも、出なかったんじゃなくて、出たくなかっただけなんだ。怖かった。自分の個性がッ怖かったんだ。俺の個性はクソ野郎の個性を引き継いだ。母さんの個性は四季。すごく珍しい個性らしい。季節が冬だったら、その季節のものを操ることができる。
冬なら雪を
春なら桜を
夏なら緑を
秋なら紅葉を
季節ごとの力で戦うお母さんは強くて、また
綺麗だった。
いつかは俺もああなりたいって思ってた。でも、俺が受け継いだ個性はクソ野郎の個性で、ああはならないと知った時、泣いた。泣いて泣いて、残ったのは母さんの優しい顔だった。
「蓮は、蓮の力で人を救えばいい。蓮のその優しさで、苦しんでいる人を救ったらいいの。蓮の力は、蓮のものなんだから。」
その時の言葉と母の顔を思い出し、俺はあそこを脱出しようと思えた。俺は、一人じゃないもできない。誰かが、信用できる誰かがいないと俺は何もできないんだ。
その時、誰かが俺を掴んだ。
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