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ここまでの道中、特にトラブルもなくマギ村に到着していた。
モンソロの町はすぐそこだ。
今、宿屋におけるカルチャーショックを受けていたのだが何とか気を取りなおして村を見まわしてみる。
確かに賑わっているよなぁ。あちらこちらに子供がいてすごく賑やかだ。
食べ物がいいのか皆まるまるって…………あれ筋肉だろ。
んん、発育が良すぎて髭まで…………生えるかー!
あれってドワーフだよな、ドワーフがいるよぉ。――あがってきたぁ!
いやいや落ち着こう。シロが見ている。
まずは宿の手続きからだな。玄関口のドアを通り宿に入った。
そして、シロも一緒で大丈夫なのか確認をとる。
室内や調度品を傷つけなければOK!と了承してもらえた。
宿代の方は朝夕2食付きで400バースだった。ロウソクと燭台も当然借りておく。
そして、ここの宿では裏庭に井戸があり自由に使っていいそうだ。
「それじゃあ皆さん夕食の時間にお会いしましょう」
マクベさんの言葉でとりあえず解散となった 。
まずはお部屋のチェックからだ。……まあ普通かな。ベッドに木製のコートハンガー・椅子・扉のないクローゼット。
そんな感じだ。荷物はインベントリーに収納しておく。
よし、行こう! シロを連れて宿屋をでる。
目的は武器屋。次に武器屋。さらに武器屋だ。あとはおまけで古着屋と防具屋にも行ってみよう。
通りの端をあまりキョロキョロせずに目だけで確認していく。
シロはいつものように前に出ず右横にピタリとくっついている。――護衛なので。
可愛い上に頭も良いのだ。
通りを隈なく見てまわった結果、3軒の武器屋が見つかった。
防具屋は見当たらない。まあ、看板が出ていないだけかもしれないがそれはそれで仕方ない。
さてさて、どこの店が良いのやら……。
こんなことならマクベさんに聞いておけば良かったなぁ。
まぁ、今更ではあるが。
しかし、うう~ん……そうだ! 串焼き屋があるじゃないか!
串焼き屋なら情報通のはずだ。あるよな異世界の定番なんだし。
そして、金を払う時には銀貨を親指でピンッ弾いてかっこ良く渡すんだ!
いかんいかん、またいつもの癖が。……串焼き屋を探そう。
そうして、結構歩きまわったのだが串焼き屋は1軒も出てなかった。――残念。
また、町での楽しみに取っておこう。
仕方がないので俺は近くの八百屋に入った。しかも、店に居たのはおばちゃんである。
「はい、いらっしゃい! 何にする?」
おばちゃんは元気いっぱいだ。
「え~と、じゃあ果物は今何が美味しいですか?」
そう聞いた俺におばちゃんが一言、
「今はリンガだねぇ!」
おおっ、リンガ! 知ってる。あのエ○リアたんと嬉し恥ずかし……。
いやいやいや、それスモモだよねぇ。――好きだけど。
「じゃあ10個ちょうだい!」
何か、おばちゃんの不思議なテンションに引きずられているなぁ。
「はいよ! まいど。50バースね。お兄ちゃんかっこいいから2個おまけだよ!」
とホントに元気がいい。銀貨を手渡し大銅貨5枚を受けとる。
さてと、帰るか……って違うだろ! スモモを買いにきたのではない。
「ねぇ、おねーさん。聞きたいことがあるんだけど?」
「やだよー、こんなおばちゃん捕まえてお嬢さんなんて。で、何が聞きたいんだい」
さすが商売人、切りかえしてきたよ。――喜んでいるけど。
「この村でいい武器屋を探しているんだけど。どこがいいの?」
「武器ね、得物はなんだい?」
「バスターソード (片手半剣) とか短槍 (たんそう) なんかがいいです」
「じゃあ、ガンツのところだね。ドワーフの名工だよ」
「あの~、気難しいんじゃ~。大丈夫ですかねぇ?」
「なーに弱気なこと言ってるんだい! でも、そうだね~。『八百屋のタミねーさん』からの紹介だと言っておやり。大丈夫だから」
そして店の場所を教わり、やって来ました『ガンツ武器工房』。
何か名前からしてかっこいい。
ひとまず深呼吸をして。 いざ参る! ドアを開け、
「すいませーん」
すると奥からガチムチおやじ (年齢不詳) が出てきた。
「誰じゃ、謝っているのは。お前か、なんの用だ?」
「あのぅ、武器を見せてもらいたいのですが……」
すると、ガチムチおやじは俺のなりを下から上へ見たあと、
「帰れ!」
ですよね~。一見客だしなぁ……仕方ない、
「じつは八百屋のタミねーさんからの紹介だったのですが、また別のところを聞いてみることにします」
そう言って俺が踵を返そうとすると、
「ちょっと待て! うーん、少しなら見せてやらんこともない」
と、見事な掌返しだった。タミねーさん、ぱないっす!
シロも入れていいか聞くと問題ないらしい。
「それでボーズは何が見たいんじゃ」
そう言われ、あわてて名乗る。
「俺はゲンと言います。こっちは従魔のシロ。よろしくお願いします」
「おお、そうじゃの儂はガンツ。しがない鍛冶職人じゃ」
「バスターソード (片手半剣) と短槍を見せてください」
ガンツは再び俺をじっと見たあとカウンターの奥に入っていった。
暫くすると、ガンツは両手いっぱいに武器を抱えこちらに戻ってきた。
「今あるのはこんなもんじゃ。見てみるがいい」
そう言って、一品ずつカウンターの上に並べていく。
俺はその一振り一振りを手に取ってじっくり見ていった。
どれも素晴らしい出来だと思う。それに鑑定さんがいい仕事をしてくれるのだ。
だから、主に持ったときの感じや振ったときの重心などを見ていった。
そして、俺の感覚にマッチしたものが一振り見つかった。
刃渡り75㎝、鋼鉄製のバスターソード。
日本刀と違い、当てて押し切る感じの西洋剣は重心が中心にあった方がいい。
これなら、片手持ちの時もなんとか振れるだろう。鑑定結果のグレードはB+でこのクラスでは最良だった。
ただ、問題があるとするならば価格だよなぁ。――めちゃくちゃ高そうなのだ。