[好きです 一]
多分私はあの日を忘れない
〘咲いてしまった四季の交差点にて〙
著・安楽死
中学生…それは小学生からの私にはどう見えてるだろう?
かっこいい?可愛い?
水面を反射したようなあの人の目は私を撃ち抜いた
今、ラケットを振り上げる
いつでもあの日に戻れるよう
もう離れないよう
【第一話・春影】
桜の並木をぬけた先にあった中学校
門には沢山の部活のチラシが
その中の1つに見つけたテニス部のチラシ
「テニス部へLETSGO!部員50人以上!?沢山の経験と楽しさを貴方へ!」
テニスは小学生からずっとやっていた
大好きだ
流星みたいな球に目を奪われたあの日から
時間を見てゆっくりと体育館へ向かう
{やっほ〜!}{はじめして!}{また一緒じゃん!}
そんな声が耳でこだまする
あいにくの雨で行われた入学式ではいやに喉が渇いた
教室に入ると見慣れた顔が少しずつ見える
先生の言葉はもう覚えていない
外の桜は雨でもう散っていた
)ねぇねぇ何ていう名前?
目の前に座ってる可愛らしい女の子が話しかけてくる
美空)静川美空っていうの貴方は?
しずかわみく、それが私の名前
だった
今思えば静けさも美しさも本当に名前のとおりにあっただろうか
)弓川茜!(ゆみかわあかね)
まもなくして担任がやってきて話をし始める
1時間程経つと部活の見学時間になる
私の足は足取り軽くテニスコートへむかった
すぐに練習に入って相手の1年生と簡単な打ち合いをする
何一つ変わらない感覚に少しほっと胸を撫でる
ふと男子コートに一人の男子を見つける
小林大地(こばやしだいち)
私の初恋の人だ
…だがもう恋心の影も形もない
今はただただテニスをしていたい
家に帰っても手にはラケットの感覚が残っていた
さぁ変わろうか始めようか私
大丈夫怖くない
あの人が笑って過ごせる日々を ー
【次回第二話・出会ってしまう】
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