テラーノベル
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「社長、上司命令ですよね? 私、社長の右腕として、どんな命令も従います! 会社を守るためなら・・・」
彼女の覚悟に満ちた表情に、ジンは一瞬言葉を失った、右腕・・・? いや、確かに彼女の能力はそうだけど・・・ 桜の真っ直ぐな瞳に射抜かれ、ジンはなぜかドキッとした
「私! あなたのヨメになります!」
「ええっ??」
彼女の頬に浮かぶ薄いピンクが、普段の天然な笑顔とは違ういかにも真剣な眼差しがどこか愛らしい雰囲気を醸し出していた
「いやいやいや、従わなくていい! ホントにいい! 命令取り消し! 取り消し!」
ジンの顔は真っ赤になり、なんとか話題を変えようと必死だった、だが桜は一歩前に踏み出し、決意を固めた表情でさらに詰め寄ってきた
彼女のパンプスの踵が軍隊の様にカツンと床を鳴らし、その音がジンの心臓をさらに煽る
「このままでは、あのハゲタカ株主達にこの会社を乗っ取られてしまいますよっ! それでもいいんですか?」
ぐっ・・・とジンは顎を引き締めた、それを言われると身も蓋もない、正論の桜の言葉は、まるで鋭い矢のように彼の胸を突き刺した
確かに・・・彼女の言う通りだ・・・ ビザ問題が解決しなければ、この会社はジンよりも大半の株を保有している株主達の餌食になるかもしれない、5年間、血と汗を流して築き上げたこの場所が、他人に奪われるなんて・・・考えたくもない
しかし、だからといって、こんな突飛な方法を彼女が承諾するなんて、明日までにジンのビザ対策が、こんなヨメ問題にまで発展している、ジンは軽くパニックになった
「 社長! 結婚といっても、形だけのものです、籍を入れるだけでいいんです! そして社長の「経営管理ビザ」の申請問題が解決できて、みんなに怪しまれない時期になったら離婚すればいいんです!」
「結婚して・・・り・・・離婚?」
オフィスの喧騒が遠く聞こえる中、桜の真剣な声が彼の耳に響き続ける、彼女の言葉は、冗談のはずだったジンの一言を、まるで運命の歯車のように動かし始めていた
桜の勢いは止まらず、彼女の目にはまるで新しいアプリの企画をプレゼンする時のような情熱が宿っていた この子は、いつもこんな風に仕事に本気なのに・・・なんで今、こんなことに本気なんだろう?
「とにかく! 今は社長には日本人女性の手助けが必要です! 夕方までにこの解決策案を打ち出して、社長にプレゼンテーションさせていただきます!」
桜はそう言い切ると、まるで戦士のような気迫で胸を張った。彼女のその姿にジンは一瞬言葉を失った、彼女の案は無謀で突飛だったが、どこかジンの行き詰まった孤独な心に温かい風を吹き込むようだった
つい勢いでまくし立ててしまった桜だったが、ふとジンの顔をマジマジと見つめた、彼女の頬が再びほのかに赤らみ、一瞬だけ二人は見つめ合った
そしてハァ~・・・とジンは青ざめて大きなため息をついた
「こんな即興なとんでもない案に乗ろうとしている自分が、どれだけ切羽詰まっているか、つくづく思い知らされているよ・・・」
ジンは桜の顔を改めて見つめた、彼女のキラキラした瞳になぜか胸が締め付けられる、複雑すぎてもう何も考えられない
「それでは夕方までに企画書を作成して、またご連絡させていただきます!」
「そこまで言うなら見せてもらいますが、無理でも全然かまわない」
ジンの最後の言葉を無視し、桜は慌てて社長室から逃げ出した
ドアを閉める瞬間、彼女はチラリとジンを振り返った
オフィスの窓から差し込む御堂筋の陽光が、彼の赤い耳と、どこか困惑して肩を落とした後ろ姿を照らす、その姿が桜の心に同情心を焼き付かせた
コメント
1件
桜ちゃん男前過ぎる!惚れちゃう😍