テラーノベル
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「んっ、あっ……やっ、は、ぁ、」
脳が溶かされて思考なんて投げ捨てた身体は痛みとも取れる快楽に深く溺れて行った。
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「なんで昨日休んだんだよ。」
「え?電車逃したから。」
「ウッワー。カスい!カスすぎる!」
昼時。
昼食を食べながらそう問うてきた同僚のフジにキヨが答えればフジがぐわっ、と仰け反り頭を掻き毟る。
「俺がどんだけ苦労したと思ってんの!!」
「あーー、、?ゴメン。」
「ったく、何も知らずににゃんにゃんですかァ?」
フジはキヨの首に付いたキスマークをじとりと睨む。
「好みの男が居たし。」
「その淫乱ドMネコどーにかなんねぇの?」
「ならんならん。諦めろ。」
「この変態。」
「……♡(笑)」
「…は、マジ?」
「マジ、退社後ヒマ?」
「御生憎様俺には───」
「𓏸𓏸ホテルな、」
「ちょっ、!!」
キヨはそそくさと持ち場に戻っていく。そんなキヨをフジはぽかんと見詰め、数秒後深く息を吐き出した。
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「いらっしゃいませー……」
カラン、とドアベルが鳴り一抹の期待を抱き顔を上げるも望む人は居ない。今日はキヨが来ない日か、なんて呆れたように息を吐けばカウンターに座った女性に声を掛けられる。
「ねぇ、Mr。今夜、少し私と楽しまない?」
「……アー…」
品も感じられない所作で頭を掻いては右上に視線を運んだ。
(いくら待っても来ねぇし。ま、いっか。)
「俺でよければ相手しますよ。」
「あら、乗り気かしら♡ 𓏸𓏸ホテル前で待ってるわね。」
「ええ、すぐ向かいます。」
目の前の女は牛沢の手にするりと触れてからウィンクをして店を後にした。
「…退勤退勤。」
牛沢はバーを閉める準備を進めた。
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「ほら、早く行くぞ。」
「なぁんで俺がー……」
「俺をコーフンさせたのはお前。」
「ったく、このド淫乱!」
「逆効果。俺またコーフンしちゃった〜♡」
「きっしょ、」
「言葉責め?いいねいいね、喜んで受けるよ。」
「終わってる。」
フジは半ば引き摺られながらホテルへと向かっているとピタリと足を止められ、思わず転けかける。
「キヨ?」
「……な、んで…」
なんでうっしーと知らない女の人がここに入って行ってんの?
「…ぁ、キヨと仲良しのバーテンダーさん」
「しっ、バレんなよ。絶対。」
「今更?」
「いいから、黙っとけ。」
あれ?なんで俺、こんな、モヤモヤしてんの……?
「そっちホテルじゃないけど」
「気分変わった。帰る。」
「あぁ、そう、ならまぁいいけど。」
これじゃまるで……
「俺が…」
「え?」
俺が……
「アイツの事好きみてぇだろ……!」
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