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💚「めめ、今日は外にお風呂行こう」

🖤「え?珍しいね、いいけど」


そんな一声と共に訪れたのは、公共の温泉施設の貸切風呂。

広い湯船に、括られた長い葉が浮かんでいる。


🖤「これ何?」

💚「今日は端午の節句だから、予約した時にお願いして菖蒲湯用意してもらったんだ」

🖤「へぇ、家でも入った事ないかも」


身体を流して、一緒に湯船に浸かる。俺が先に入り、あまり深く考えずに阿部ちゃんの手をとってエスコート。


💚「自分で入れるよ」

🖤「あっ、ごめん」

💚「めめのそういう優しい所、大好きだけど」


そう言って阿部ちゃんは俺の肩に頭を乗せ、俺は阿部ちゃんの肩を抱き寄せた。


🖤「大人になって菖蒲湯に入ると思わなかったな」

💚「リラックス効果あるからね、大人こそ入った方がいいよ」

🖤「阿部ちゃんとこうしてるだけでめちゃくちゃリラックスするけど」

💚「ふふ、嬉しい」


敢えて浴室の照明は点けず、2人を照らすのは湯船に浮かべられた間接照明だけ。

ふと会話が途切れ、身体を寄せ合い、菖蒲の香りに包まれ、じんわりと汗をかきながら間接照明の灯りをぼんやりと眺めた。


ちゃぷん


天井の水滴が湯船に滴り落ち、静寂を破る。


💚「黙っちゃった」

🖤「リラックスできてるって事だよ」


そっか、と阿部ちゃんの穏やかな声を聞いただけで胸がいっぱいになる。


🖤「俺の方が癒されてるけどね、いつも」

💚「またまた」


笑い合って、ふと目が合う。

阿部ちゃんはどうか知らないけど、俺は公共施設だぞという思いと、目の前の可愛い阿部ちゃんを今すぐどうこうしたい思いとせめぎ合った。


🖤「阿部ちゃん、キスだけしてもいい?」

💚「え」


答えを待たずに顔を近づけた、その時。



ぴちゃん


🖤「冷たっ!」


ガラ空きになった背中に水滴が落ちて、驚いて思わず飛び退いた。


💚「めめ」

🖤「背中に水が当たった」


冷たくてびっくりしたので肩まで浸かる俺を阿部ちゃんは笑いながら見る。


💚「公共の場でキスなんてしようとするからだよ」

🖤「えーっ、じゃあ帰ったら覚悟しといてよ?」

💚「はいはい、覚悟しときます」



同じシャンプーとボディソープで洗って、同じ香りになるこの時間がまた幸せだ。

帰ってからの事をたくさん想像して浮かれていたけれど、家に着いたら助手席は静まり返っている。


🖤「あれ」


助手席で眠りこける阿部ちゃんを初めて見たかも知れない。

帰ったら抱く気満々だったけど、さすがに起こすのは可哀想だ。

最近忙しかったし、寝るほどリラックスしてくれたのならと思う事にした。





この作品はいかがでしたか?

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コメント

17

ユーザー

抱く気まんまん…(おかわり中

ユーザー

もう子どもなめめと大人なあべちゃんのこの構図まじで好き😂🖤💚

ユーザー

新作来た✨ ありがとうございます🙇‍♀️ 何故だろう…見てはいけないものを覗いてしまった気分…w あべちゃんが助手席で眠っていなかったら……꒰⸝⸝𖦹 𖦹⸝⸝꒱ハワワ⸝⸝⸝‪❤ michiruさんが、今日こどもの日みたいに、イベントごとに合わせてお話を投稿してくださるので、 あ、今日○○の日なんだ〜って勉強になってますw

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