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野菜を切る音が響く。
「あー、魔女! 分量まちがえてる!」
「食べれたらいいのよ」
女子力消失魔女様と
「メイサーン? 玉ねぎ繋がってますよ」
「む、包丁、難しい」
それ以前のメイ。
二人の世話に追われながら手際よく試作品を作る。
メイはまだしも魔女はよく生活出来ていたなレベルであった。
「あんま料理作らないのよ… 調理方法は知ってるけど面倒くさくて…」
てんやわんやなキッチンには笑いが溢れていた。
こんなに笑ったのは久しいなと思う狙撃手。
元々孤児だったはずなのに狙撃の才能を見初められて軍に入ったがそこではいじめの連発だった。
ただ逃げる敵を屠る毎日、そんな世界に飽き飽きしていたし、丁度いいと思い魔女の任務を引き受けたのが始まりだったなと、ふと思い出した。
魔女、誰一人として拒絶する少女、軍の人間は逃されていたがそれも本格的に敵対しないためだ。
メイも同じだ。
傷だらけの少女、当初は魔女がやったとおもったが、古いものばかりであるので違うと分かった。
その目には魔女しかうっていない。
二人はどこか異質で自身の輪に他人を入れない。
それが安心できた。
他人を入れないということは他人を憎まないと言うことだからだ。
同時に二人が心配になる。
この絆は長くは続かない。
寿命差というものがある。
魔女は不老不死の失敗薬で長命だと聞いた。
そしてその薬はもうない。
それに軍もこのまま、魔女をのさばらせて置くとは考えにくい。
ならば、それまで二人が一緒に入れることを願うだけだ。
傍観者はそう考えたのであった。