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──────Gれいまり視点──────

「しばらくここで待ちましょう。」


私はレイラーさんにそう話しかける。レイラーさんは不安げな瞳をこちらに向ける。顔は青ざめており、手は震えている。───さっきの光景がフラッシュバックしたのだろう。レイラーさんはよろよろと口元を押さえながら立ち上がり木の影へと行く。

───ほのかに嗚咽と酸っぱい匂いがした気がした。おそらく吐いているのだろう。無理もない。人が大量に死んだところを見せられたのだ。しかも同じ同僚や先輩、はたまた後輩で顔見知りの人たちだ。精神的ダメージや自身の無力さなどを痛感してしまうだろう。


戻ってきたレイラーさんは明らかにやつれており、口元に微かに吐瀉物がついていた。それを拭いてあげたいが残念ながら水がない。近くに水があるかどうかも定かではない。非常用のぬいぐるみはもう無く、あたりの散策は自力でやらなければならなかった。

私はレイラーさんの手を強く掴み、精一杯の笑顔で笑いかける。


「大丈夫ですよ、レイラーさん。レイラーさんは悪くありません。それに、避難指示も出てたじゃないですか!私たちは当然のことをしたまで。皆さんが死んだのは仕方がなかったんです。切り替えましょう!」


精一杯の励ましだった。今にも泣きそうなレイラーさんの感情を無視して、散策に行こう、だなんていえなかった。

レイラーさんはこちらを見つめながらどことなく暗い目を浮かべる。


「───れいまりさんは強いですね。あんなに死んだのに涙ひとつ出さないなんて私には出来ませんよ。」


そうレイラーさんに言われ、私の心臓はドキリと大きく波打った。───なんで、私は泣いていないのか。目の前で、守りたかったみぞれさんが死んでいたと言うのに。私はなんで今冷静でいられてる?───なんで、あの時悲しくならなかった?


「…すみません。分かってるんです。れいまりさん、泣かないように無理してるって。だけど、今は泣いてもいいんですよ?」


レイラーさんは何かを勘違いしてくれたらしくそう言ってくれる。違う。違う。無理なんてしてない。ごく自然に動いていた。目の前の惨状を見て逃げなきゃ、としか考えられなかった。───悲しい、なんて思えなかった。

自身の思考の変化に戸惑う。冷や汗が止まらない。自身の思考がだんだんと人間じゃなくなっている。───いや、このルートを捨てとして考えている時点で───?

息が荒くなる。自身の変化に驚きと恐怖を抱く。まるで、私はもう人間じゃないかのような、そんな恐ろしい事実を目の当たりにした気がして。何が、なんで、どうして───。


「れいまりさん。ごめんなさい。感情の整理ついてませんよね。…一旦食料や近くの村を探しましょう。」


レイラーさんがまたしても泣きそうな顔でそれでも無理に笑顔を作って言ってくれる。それが、申し訳なく感じた。心配させないようにしてたつもりが逆に心配をかけてしまうなんて。私は自身の頬を強めに2回叩く。叩いた場所はひりひりして痛かったが、それでも、気持ちは幾分かマシになる。

私ならできる。こんな時こそ冷静に動け。

自身に喝を入れてレイラーさんを見る。───レイラーさんは信用できる。そう根拠もなく思い切り、私は自身の能力を明かす。


「レイラーさん!実は、私能力者なんです!!」

「え、えぇ!?」

私の突然のカミングアウトにレイラーさんは溢れそうな涙すらも引っ込み驚きの顔をうかべる。無理はない。能力者か魔法使いならば最低でも紫が保証されている。黒色のローブの私が能力者ということはすなわち隠しているということ。聡明なレイラーさんなら瞬時にそこまで結びつけるだろう。私はもう躊躇わずに言っていく。


「能力は『ラジコン』で、物体に血か魔力を入れ込むことでそれを意のままに操ることが出来る能力です!で、今そのラジコンがビルの下にあります!なので、今から状況を探ることが出来るんです!」

「え、それをなんでリーダー達に明かさなかったんですか!?聞いた限り偵察にうってつけじゃないですか!!」


レイラーさんが驚いたように言う。───隠していた理由。正直に言えば脳力を任務ではなくアジトへの探りとして使いたかったからだ。ただ、それを言えば私がスパイみたいになってしまう。必死に思考を回し、バレないような理由を考える。


「…みんなを、信用出来なかったんです。」

「ど、どうして…?」

「私、親に捨てられて。しばらく放浪者としてさまよっていたんです。何回も、何回も騙されました。…人が、信用出来なくなってしまったんです。」


もちろん嘘である。スラスラと出てくる嘘に申し訳なさと罪悪感で自分を殴りたくなる。だけど、本当のことは言えないのだ。断腸の思いでレイラーさんを騙す。心の中で何十回も謝る。


「そう、なんですね…。ごめんなさい。変なこと聞いちゃって。」


レイラーさんは優しく、この嘘を信じてくれる。心臓が、良心が握りしめられたかのように痛む。ごめんなさい。ごめんなさい。

だけど、このままでは進まない。私はレイラーさんに無言で頷く。どうやら能力を使うことを察してくれたらしく、無言で頷き返してくれる。


私は、ラジコンと視覚をリンクさせる───。






























ここで切ります!今回はれいまりさんの葛藤多めですね。自身の思考や、考えなどに疑問を持ち始める良い回になりました。やっぱり普通の思考の人の前だと自身の異常な考えが浮き彫りに出て自覚出来ましたね。そろそろこのルートも幕を閉じたいんですが…。うーん急ぐと大変そうですね。今回は予想外とどんでん返しを目標に書いてましたが未達成になりそう。難しいなぁ

最近は戦闘描写に苦戦中。練習の仕方が特に難しく、足さばきや腕の動き、魔法の輝きと発動とその時の表情。書きすぎると余計になるし、書かなさすぎると淡白になって面白くない。けどリズム感も大事。うん、難しい!まあ、これからも頑張ります。短編集でサラッと練習するかもですねー。頑張ります…。

それでは!おつはる!

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