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「よお」
今日は何もしないで座っていた。
「来ると思ってたよ」
目を閉じ、耳だけを俺に向けていた。
少し冷たい海風が前髪を崩す。
「お前の肌ってそんな白かったっけ」
一部はほんのり青く見える。
「こんな白かったよ」
少し困ったように笑う。
何かあったのだろう、そう思うけど俺は聞かない。
同じような風が吹き、同じように紅く染った葉が宙を空回る。
ふと
「この葉っぱ、似てる」
葉を眺めながらお前が呟いた。
誰に似てるんだ、とは聞いてはいけないような気がした。
葉を眺めながら俺も呟いた。
「俺にも似てる」
お前が何を思っているのか、聞くか、聞かないか
そんなことをずっと考えて、空回りする俺に。
いつもの別れ時に、お前は立った。
「もう行くのか」
微笑みながら、俺の声に応え頷く。
お前の目元は紅葉のように赤かった。
「じゃあね」
そう言ってお前は去っていった。