※前回の続きです!
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その翌日のことだった。
「久我くーん、ちょっと4丁目でカッパァ作ってくる〜」
「あっ、行ってらっしゃいませ!」
守若の兄貴は事務所を出る直前、こう言ったのだ。
「(親父の説得が効いたのか…!)」
やっぱりあの人、親父の言うことだけはちゃんと聞くんだな。
「親父、ありがとうございました。」
「その様子だと、ひとまず大丈夫みたいだな。まあ、あいつが暴走した理由が何となく分かったからってのもあるが」
「どう言うことですか?」
「あいつも色々あったんだ。他人の心情どころか、自分の感情についても理解出来ないところがある…。俺から見れば、無感情に見えて1番感受性豊かだと思うんだけどな」
「そうなんですか…」
親父は何か知ってそうだったが、話してはくれなかった。おそらく守若の兄貴に、口止めでもされているんだろう。
この日の兄貴は佐古も連れてきていた。
「おーい、天王寺組のヤサ教えろぉ。」
「し、知りません!末端には共有されてないんです!」
「じゃあ〜落武者になれえ!」
「チガウ!」
だがこの日も収穫は無し…。
公園で休憩しながら守若の兄貴は佐古に尋ねる。
「佐古ぉ、なんでみんな天王寺組のヤサ知らないんだろ?」
「末端には共有されてないって、どこの組織でもテッパンですよね」
「あっ!いいこと思いついた!」
「な、何ですか?(絶対ロクでもないこと考えてる…!)」
「アイツら、村雨町にいるみたいだしそこでカッパを作ればいいんだ!」
「えぇ!?(いつも思うけど、この人いつも突発的な思考だよな!?)」
こうして二人は、村雨町の方へ向かって行った。
一方事務所の方では、西園寺の兄貴と野島の護衛のもと、親父とカシラが近隣組織との会合に向かっていた。
「野島、運転任せてすまねえな」
「これぐらいお安いご用です!」
だが、その車をつける一台のバイク…
「なるほど、五十嵐と大園はこのルートを必ず通るんか。おっしゃ、ナンバー取らせてもらうでぇ」
だがそいつは気づいていなかった…
「おいクソガキぃ、親父の車つけといて何しようとしてんだ」
「え…!?」
自分と同じくバイクに乗った海瀬の兄貴に逆に後を走らされていたとは…
「今日の俺は、運が良い!ラッキーパワーで頭突きじゃあ!!」
「ドユコト⁉︎」
兄貴は頭突き一つでそいつの意識を刈り取る。
「なんだぁ?お前歯ごたえなさすぎだな…まあこっちこーい」
そして路地裏まで連れ込む。
そいつの正体は天王寺組お抱えの情報屋だった。
「た、助けてください…金で雇われただけなんです」
「ダメだー!一旦片足四箇所砕けとけぇ!0、1、2、3、4!」
「アダァァアア!?(これ、五箇所…)」
海瀬の兄貴は獲物の金砕棒を振り下ろし、片足の関節を砕く。
そこから尋問を始めれば、人間口が軽くなる…。
「誰の差金だぁ?今度はもう片足の四箇所折るぞ…」
「ぬ、沼田!天王寺組の沼田です!」
「そいつはどこにいるんだぁ?教えてくれたら逃してやるよ」
「今、村雨町のレンタルスペースです…」
こうして海瀬の兄貴は重要な情報をゲットした。
「確か守若が佐古と外に出てたな…連絡しとくか」
その頃すでに村雨町に着いていた守若の兄貴と佐古は片っ端から地元の半グレ共を刈りまくっていた。
「天王寺組のヤサを教えろぉ、お前は刺身にされたい?カッパにされたい?それとも落武者か、ザビエル?」
「ひ、ひえぇ…(こいつ、目が死んでる!怖すぎるぅ…!)」
「答えない奴は、ザビエルになれぇ!」
「フカイッ!」
だが、目ぼしい情報はなかなか手に入らないでいた。
「どうしましょう?敵地にいるわけですし、長居しては不味いのでは…」
「何言ってんだぁ、佐古ぉ。そんな奴らは返り討ちにしたらいいだけだろぉ〜?」
「そっ…そうですね!(ダメだ、通じない…) 」
その時守若の兄貴のスマホが鳴る。
「んん?海瀬の兄貴から連絡きたぁ」
「何てきてるんですか?」
「えーっと、村雨町のレンタルスペースに沼田ってやつ率いる天王寺組一派のヤサがあるみたい!佐古ぉ、カチコミだぁ!」
「海瀬の兄貴すごい…!どうやって…って、え?今からですか!?」
兄貴と佐古はその足で、沼田のヤサへカチコミを仕掛けた。
「ウチを狙った奴は、みーんな刺身だぁ!」
「みんな諦めよう!この人は人間の仮面を被った悪魔だぞ!」
「何じゃあ!?」「京極組か!?」
奴らは突然のことに動揺していたが、兄貴の持つ刺身包丁を見るなり、ナイフを手に襲いかかってきた。
「はは、それただの包丁や、絶対弱い! 」
「返り討ちにしたらぁ!」
だが刺身包丁は守若の兄貴の手にかかれば、残酷な凶器と化す…。
「お前はカッパ!お前は落武者!」
「グエ…」「がは…」
そいつらは頭蓋を切られ、即死だった。
だが、兄貴の狂気はこんなものじゃない。
「大阪人カッパ第二号ー!」「カッパズシ!」
「お前は刺身になっちゃえ!」「サーモン!」
「なにわアホはコメカミぶっ刺し!」「ナンデヤネン!」
守若の兄貴は満面の笑顔で、雑魚共を切りさばいていく。その光景はまさに残虐ショーだ。
「おいおい何や!何をド派手にやっとんじゃ!」
すると騒ぎを聞いてか、沼田本人が兄貴の前に出てきたのだ。
「お前が沼田かぁ?ぶち殺すぞこのやろー」
「ほう、守若か。わざわざ死に来てくれるとは…」
その次の瞬間、沼田は一瞬でチャカを抜いた。
「コスパええなぁ!!」バン!!
「おっとぉ」
兄貴を不意打ちの凶弾が襲うも、それを紙一重で躱す。
「(なんだ今の…俺なら絶対死んでるやつだ)」
沼田は末端構成員…だが戦闘力は確かに磨かれていた。
「お前ら、ここで暴れたって無駄やで。うちにはトップの城戸の兄貴、No.2の浅倉の兄貴…バケモン中のバケモンや。天災やと思って諦めるしかないで」
だがそんなセリフがまともに兄貴に通じるわけがない。
「え、マクドとイクラ?何言ってんだ?」
「城戸と浅倉じゃ!お前こそ何言うとんじゃ!」
「そいつらはどーでもいいやぁ。ところでさぁ、イガ親父とカシラをいじめたんでしょ?」
「ん?ああ、当然死んでもらうで。ウチの支部とか潰しといて、喧嘩売ったからにはただじゃ済まへん」
そう言うと、沼田は醜悪な笑みを浮かべる。
その直後だった。
「あっそ。お前嫌いだから死んで?」
守若の兄貴から表情が消え、纏うオーラが突如一変した。
「ほざけ。死ぬんはおどれじゃ。(とは言ってもなんや…?いきなり空気が…)」
「大口叩く暇あったら先手でもなんでもしろよ」
完全な殺戮モードになった兄貴は一瞬で沼田との距離を潰す。
「うお!?(まずい!早速入られた!)」
「お前は腹開きにしてやるぞー」
兄貴が横薙ぎを入れる!
「ドキドキウキウキ腹開きぃ!」
「うおおお!やられるかぁ!!」
だが沼田をそれを間一髪で躱す!
「おーい、安心してんじゃねーぞぉ。それならたたきにしてやる」
「うお…!?」
沼田の腹に、兄貴の発勁が深くめり込む!
「えーい、なにわ外道のたたきだぁ!」
「ごばぁっ!?(なんやこれ…内臓が破裂した…)」
動けなくなった沼田に兄貴がトドメにかける!
「やっぱりお前はカッパにしてやるー」
「う、ああ…(あかん…)」
そして
「オープン・ザ・外道の頭ぁ!」
「ぐはぁああ!!」
結局、守若の兄貴は沼田をカッパにして、また一つ支部を壊滅させたのだった。
「伝説の男、佐古の勝ちー!今回も大手柄だ〜」
「いや…俺は何もやってませんよ…(なんなら見るだけだった…)」
そしてそのまま、事務所へ帰って来た。
「久我くーん、ただいまぁ」
「守若の兄貴!?そんな血まみれで何があったんですか!?」
「カチコミに行って来たんだ〜、天王寺組の沼田ってやつのとこ潰したよ、佐古が」
「もしかしたら本当に俺がやったのかも…」
「はぁ!?」
当然、この情報は城戸派にも行き渡る。
「沼田が死んでもたか…」
「あいつ、なかなか優秀でしたけどね」
「このままやられっぱなしはまずいのう。京極からも誰か死んでもらおか」
この時アイツらは、ある計画を練っていたのだが、俺たちが知る由もなかった…。
間違いなく、この抗争はすぐには終わらない…。
「一条の兄貴、西園寺の兄貴…。この抗争…どこまでデカくなってしまうんでしょうね?」
「向こうは死者が増えてる一方、こちらはまだ主力は死んでない…。だが、みんなが死ぬのは見たくねぇ。俺も前線に出る」
「西園寺の兄貴…俺も腹括りました。アイツらは必ず地獄へ落としましょう」
はっきりとそう言った一条の兄貴…。光の乏しい大きなその目には僅かな切なさが宿っているように見えた。
コメント
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『いちななぱーせんとのひとりごと』に今作についての説明を書いた話が入っているのですが、主が気まぐれすぎるので、ほぼ無視してください!
急いで書いたから、文章めちゃくちゃかも…。次回…すみません。オリキャラ解放します。