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ザブザブ
私は海に来ていた
「…」
最近私は嫌な想像が頭をよぎる
🧸『主様!ここにいらっしゃったんですね!』
『(今は…話しかけないで欲しかったな〜…)』
私の瞳からは勝手に雫が零れ落ちる
私が主になってから少し経った頃のこと。担当執事のテディに言われた。
🧸「俺、初めて使えるのが主様で良かったです!」
その時ふと思った。
初めて…別邸のみんな以外は私以外の執事になったことがあるの…?
悪魔と契約してない私達は寿命が尽きれば死ぬ。
もしかしたら私が来る前にも他の主がいたのかもしれない
私の頭には自分勝手な考えが浮かんできた
**私以外にその優しさを向けないで欲しい。**と
本当に身勝手で我儘な話だ。
それに私以外にも沢山代わりはいる。
なのに…なんで
こんなに胸が苦しいんだろう。
🧸「主様…?どうかされました…?」
『(やめて。今は来ないで。テディの優しさを疑っちゃう)』
他の人にもその優しさを向けるんでしょ。
ほかの皆も前の主にも同じように接してたんでしょ
皆の善意をこんなふうに思いたくない…
『こんなッ駄目な…主でごめんねッ…(ボソッ)』
🧸「…ッ!」
🧸「主様。覚えていらっしゃいます?」
🧸「俺が初めて仕えるのが主様で良かったって言ったの」
『覚えてるよ。』
🧸「あれ。嘘じゃないですよ。本心です。」
🧸『他の皆さんもきっと』
『私達は…寿命が尽きれば死ぬ。』
『そうすれば新しい主を迎えざるをえなくなる』
『そしたら皆は…また同じように接する。』
『そうしたらどんどん…私との思い出なんか…忘れちゃう…』
🧸「忘れません。絶対に。」
『私なんかとの思い出なんかない方がいいよ…』
その言動がテディを少し怒らせたみたいだ
ザブザブッ
🧸「俺はッ!俺はッ!貴方だから」
🧸「貴方だっから!本心でこの人に仕えたいって思えたんですッ!」
🧸「貴方は本当に大切な人なんです…」
🧸「だから、そんな事言わないでください…」
🧸「俺は主様以外に仕えるつもりは一切ありません。」
🧸「他の方達も皆同じ想いだと思いますよ。」
『私の事ッ…わすれないでくれるッ…?』
『そっか…ありがとう。』
『我儘言ってごめんね。』
『私も自分を大切にできるように頑張ってみる』
たとえ私の代わりがいつ来ても
私の事忘れないでいてくれるって約束したから。
私は前を向く。
その日の帰り道は
月が綺麗に海に映っていた。
❦ℯꫛᎴ❧