コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「るんるんー、るんるーん。もうちょっと待っててねー」
「あ、ああ…」
彩は、鼻歌を歌いながらターゲットの家で料理をしていた。本人曰く、オムライスを作っているらしいが…まるでオムライスには見えない。ターゲットの彼も、流石に青ざめている。
「君が料理上手な女の子が好きって言ってたから、私最近勉強してるんだー!どう?美味しい?」
「あ、あぁ…美味しいよ、ありがとう…」
とても無理をしている感満載である。
後日。
「彩…頑張っているところ申し訳ないんだけど…今回の仕事は別の子に引き継いでもらうよ…」
「えっ!?どうしてですか!?」
「…あのね、彩…君は料理をしない方がいいと、思うんだ…よ…」
都月が申し訳なさそうに言う。
「でも私、頑張って勉強したりしたんですけど…どうして駄目なんですか?」
「あ、あのね…まぁ、とにかくうちのメイドに料理を教えてもらってね。ターゲットの彼には、適当なこと言っておけばいいから」
「はぁい…」
それが地獄のお料理教室の始まりだった。
「はい、よろしくお願いします。スティエです」
「よろしくお願いしまぁす…」
私はこの女があんまり好きではない。あんまり、好きではない…です。
「あの都月様も引いていたそうですけど…一体どれぐらいやばいんですか?」
「そんなに私の料理ってやばいのかしら?不思議ねぇー」
「じゃあ私はちょっとしたら戻ってくるので、それまでに何か作ってください」
「わかったわー」
よし。なんか作るか。
というか私の料理ってそんなにやばいのかなぁ…?ターゲットの彼はちゃんと食べてくれるのに。
まぁ、卵もあるし…オムライスでも作るか。
〈数時間後〉
「どんな感じですかー…?って…わぁ」
「あ、遅かったじゃない。たった今できたところ。食べてみてー」
なんでそんな青ざめた顔してるの?
「どうしたらこんな見た目の料理が作れるんですか?これも一種の才能なのでは…?まぁ、食べてみます…」
スティエは私の作った料理を恐る恐る口に運んだ。
「ううっ!…よ、よくターゲットの方が耐えれましたね…はあぁ…ううっ…」
「具合でも悪いの?」
「たった今悪くなりました。すみません、ちょっとトイレに…」
「いってらっしゃーい」
私何か変なもの入れたっけ?あいつの具合が元から悪かっただけ?
しばらくして、スティエが戻ってきた時。
「一人でやれといった私が悪かったですねこれは…じゃあ、一緒にレシピを確認しながら作っていきましょう。えーと、まずは…」
「卵を丸ごと入れるのよね?」
「違いますっ!!割って黄身と白身を分けて…だから卵の殻みたいなのがあったのか…」
「卵を割るのね。はい、よいしょ」
パリン、と包丁で真っ二つに卵を割る。
「そういうことじゃないです!!卵を割るってのは…もうこの人基礎から習った方がいいのでは…?」
「そうかしら?」
「悪魔のあなたと私の感覚は違うんでしょうか…?」
「いや私普通のご飯食べないし。魂だけで生きていけるし」
「じゃあ練習で作った料理誰が食べてたんですか?」
「え?凪野くんとか」
「可哀想!!」
え?凪野くんはちゃんと食べてくれたよ?
「はぁ、もう…」
結局彩は仕事変更で、すぐに魂を刈り取ることになったんだとか。
最後に作者の一言。
魂とらなくても料理で人殺せるのでは?