俺の名前はフェルマータ。今は凪野蒼という奴の家にひっそりと住んでいる。表向きでは、変な置物ということになっているらしい。
最近、俺はなんか…あいつに置いてかれることが増えた気がする。なんだろう…、なんか…うん。
べ、別に一人が寂しいとかではないけれど…まぁ、一人で外出るのもなんか怪しまれるしなぁ…って感じ。
「あー、暇だなぁ…」
この家には現在俺しかいない。凪野蒼の両親は仕事に行っていて、凪野蒼も学校。一人で留守番するの、めっちゃ暇。
「あ、そうだ…」
あいつの学校に乗り込んでみよっと。
キーンコーンカーンコーン…
「やっと4限が終わったぁーっ!凪野、一緒に弁当食べようぜ。いつもの中庭で」
「いいけど…」
「どうした?」
「なんか朝より鞄が重くなってる気がするんだけど…」
「気のせいじゃね?」
「だよなぁ…」
「早く行こうぜ!」
「あ、ああ…」
ふっふっふ。あいつの鞄に入り込んでやったぜ!!
きっと驚くはずだ…!
「うーん…なんか変なものでも入れられたのかなぁ…?また重くなると悪いから持っていこっと」
しめしめ。
「よいしょ…えーと、弁当弁当…」
「忘れてきたんじゃね?それか誰かに取られたとか」
「えぇ〜?俺虐められてんのかなぁ…?陰で」
「そうなんじゃね?」
「軽っ!それに酷っ!」
さぁ、早く中を開けるんだ…っ!!
「一体何が入って…げっ」
「どうした?」
(小声)「どうしてお前がいるんだよ…やけに重いと思ったら…」
「あ?だって暇だから。一人で留守番。嫌がらせにきた」
「大迷惑だよっ!!」
「どうかしたのか?」
「え?いや何もー…さ、早く食べない?」
「まあそうだな…どうせ虫でも入ってたんだろう?」
「ま、そんなところかな…」
作戦成功。めっちゃ慌ててるあいつ。
凪野蒼は俺を鞄の奥にしまい、チャックをし、俺を出られないようにしてから弁当を食べ始めた。
あれ?ここの学校って、もしかして…
「そこで弁当を食べている凪野蒼?鞄が少し重いようだが…何か変なものでも持ってきてないよなぁ?」
「え?いや…あれ?こんな先生いたっけ…って…!」
あ、ここ岸が最近潜入してる学校だった。
「なんで岸さんがここに?」
「先生とつけなさい!先生と!!」
「はいはい先生、どうしてここに?」
「え?まぁー…潜入捜査。ほら、あそこに彩もいる」
「わっほんとだ」
次々と男子生徒を虜にしていってる。
「何かここにあるんですか?」
「まぁ…よくわからないが…お前はイポクリジーアに狙われているかもしれない。と、いう訳で、空いた時間で私たちが護衛に来てるって訳だ。今日はたまたまあったけど、ずっと前からいたよ?」
「え?でもなんで俺が狙われて…」
「お前、イポクリジーアの男を助けただろ?あいつにつけられてる。ずっと」
「えっ!?」
「さっき撒いてきたけど。かなりやばそうだった。はぁ…私たちも忙しいってのに人使い荒いんだから…都月さんはっ!!」
あ、なる、そういうこと…
俺だけじゃ不便ってのか?まあ小さいと…とか思われたんだろうなっ!!
岸は嫌々来てるみたいだが、彩はなんか楽しそうだし…あいつ都月の言うことは大体喜んで聞くしなぁ。頼られたのが嬉しかったんだろうか…
「あ、あと不審者情報。お前をつけてた男…ビスメルとか言うやつがこの学校のどこかにいる。見つけて即刻…本部にでも連れて行ければ良好なんだけどなぁ…ここ広いから…」
「た、確かに…じゃあ危険ってことですか?ここは」
「まあね。彩もいろいろと聞き込みをしてるみたいだが…あと少しかかりそうだなぁ…はぁぁ…なんで私がこんなことを…」
これは、俺も手伝った方がいいのだろうか?
っていうか鞄開けて…
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