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✿緑視点
ピンポーーン
日付も変わった深夜頃に
突然家のインターホンの音が響き渡った
「?なんやろ、なんか頼んだっけ・・・」
モニターで誰が来たのか確認すると
「あっと?!」
『ぷり・・・急にごめん、上げてくれない?』
「っ」
戸惑いながらも解錠ボタンを押す
事前になんの連絡もなく、しかもこんな夜中に
突然訪ねてくるなんて何かあったとしか思えない
多分・・・まぜ太絡みの事なんだろう・・・
「・・・ほんとに急に来ちゃってごめん」
「それはええんやけどびしょ濡れやん・・・!顔も赤いし・・・体調悪かったんか?!」
「あぁ・・・確かに頭は痛かった・・・」
「そんな状態で傘もささずに雨に打たれて体冷やしてどないするん・・・!」
こんなの体調が悪化するに決まってる
むしろ健康な状態でも風邪をひくぐらいだ
「とりあえず風呂入って温まり、話はそっからや」
「うん、ありがと」
「・・・で?何があったん??」
風呂で体温を取り戻したあっとにブランケットを掛けてやりながら尋ねる
「俺ね、けちゃに最低なこと言っちゃった」
「けちゃに?」
「うん・・・俺の事を心配して言ってくれたことを蔑ろにしちゃって・・・まぜも怒って・・・」
「・・・うん」
「・・・っ2人に嫌われたかもしれなくて・・・っ 」
あっとの目から涙が幾度となくこぼれ落ちる
「俺・・・嫉妬しちゃったんだ・・・」
「嫉妬・・・」
「うん、まぜがけちゃに対しての態度がまるで・・・っ」
「あっと、もうええよ分かったからさ、 泣かんくていい」
「・・・ぇ?」
「今が話す時なんかな・・・前に俺とあっとは同じ隠し事があるって言ったこと覚えてるか?」
「・・・うん」
あっとは涙を拭きながら真剣に俺の目を見つめる
「俺な、好きな人おるんよ」
「・・・・・・え?!」
「まぁ驚くよなw 」
「好きな人・・・居るんだ・・・その相手は俺の知ってる人・・・?」
「せやな、あっとも知ってる・・・あっきぃもけちゃもまぜ太も・・・」
俺が今まで隠してきた、これからも隠しとおそうと思ってたことを少しずつ話していく
きっと俺とあっとは想う相手は違えど、 気持ちは同じなはず
「確認してええか?」
「う、うん・・・」
何を聞かれるのか分かっているのか
あっとの表情が少し強ばる
「まぜ太のこと好きなんよな?」
「っ!!」
「前々から気付いてはおったけどさ、さっきのあっとの話で確信したわ。好きやから嫉妬したんよな?好きやからこそ、まぜ太とけちゃが・・・まるで恋人同士に見えてしまうくらいに」
「・・・気付いてたの・・・」
自分の気持ちが俺に気付かれていたと分かって気まずくなったのか、あっとは俺から顔を逸らす
「分かるよ、さっきも言ったやろ?同じやって」
「あ・・・」
あっとは何かを察したかのように俺に視線を戻す
「ぷりの好きな人って・・・もしかして」
「・・・同じグループのメンバーを好きになってしまったことがそもそも間違いやった」
「っ」
「片思いは楽しいって一定数言われてるけど、あれ絶対嘘やんな・・・何も楽しくないわ、伝えることも出来やん、ただ一定の距離を保ちつつ見てることしかできん」
「そうだよな、どうしても寂しい気持ちが勝っちゃう」
「・・・せやな」
相手のことを想えば想うほど何も出来なくなる
自分の近くに留めておける術なんてない
相手を諦められない状態がこれからも続いていくだけ
いっそこの感情が消えてしまえばいいと どれだけ思ったか
いっそのこと離れてくれたら・・・嫌いになってくれたら諦めもつくんじゃないか
でもそうなれば活動を続けれなくなる
気持ちを押し殺して、現状維持のままでいるしかない
それがどれだけ辛いことなのか
両思いになれたらなんて
そんなの奇跡を願うようなものだ