テラーノベル
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#キャラ崩壊注意
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「へぇ、こんな薄汚い掃き溜めに居ると思ったら、ほんまに居ったわ」
ネオンの光が不気味に揺れる夜の歓楽街。直哉は、仕立ての良い着物の裾が汚れるのも構わず、路地裏の雑踏を歩いていた。その視線の先、パチンコ店の裏口から、気怠げに煙草を咥えた大柄な男が出てくる。数年ぶりに見る、禪院甚爾の姿だった。甚爾は直哉の声に、億劫そうに視線を向けた。かつて禪院家にいた頃よりもどこか毒気が抜け、ただの「ヒモ」のような、自堕落で危うい色気を放っている。
「……あ? 禪院の坊ちゃんじゃねぇか。こんなところで迷子か?」
「誰が迷子や。あんたの顔、拝みに来ただけや。相変わらずろくでもない生活しとるみたいやね、甚爾くん」
直哉はふん、と鼻で笑い、完璧な「傲慢なエリート」の仮面を顔に張り付けた。どれだけ会いたかったか、どれだけ寂しかったか、そんな脆い本心は一ミリも悟らせないように、言葉の刃を向ける。それが、直哉が必死に保っている硝子の城の防壁だった。しかし、甚爾は直哉の刺々しい態度に怒りもしなかった。ただ、煙草を地面に落として靴で踏み消すと、直哉の顔をじっと見つめて、低く笑った。
「相変わらず、中身が透けて見えるような、安っぽいお面被ってやがんな」
「……え?」
直哉の呼吸が止まる。甚爾は一歩、直哉に近づいた。その圧倒的な体躯の影が、直哉をすっぽりと包み込む。甚爾の手が伸び、直哉の頬に触れるか触れないかの距離で止まった。
「昔からそうだ。お前、そうやって威張ってねぇと、今にも泣き出しちまうだろ。……少しは大人になったかと思ったが、相変わらずだな、直哉」
その瞬間、直哉が数年かけて必死に築き上げてきた頑丈な城が、ピキピキと音を立てて粉々に砕け散った。誰も触れられなかった、誰にも見せなかった、自分の内側のいちばん柔らかくて脆い部分。それを、この男はただの一言で、簡単に暴いてしまう。
「……っ、うるさいわ! あんたに何が分かるんや!」
直哉は甚爾の手を強く振り払った。瞳には、悔しさと恋情が混ざり合った涙がじわりと浮かんでいる。甚爾は振り払われた手を眺め、それ以上は直哉に触れようとはしなかった。相変わらず、彼の脆さに気づきながらも、決してその城の中に踏み込んで、救おうとはしてくれない。
「分かんねぇよ。お前のことなんて、これっぽっちもな」
甚爾はフッと自嘲気味に笑うと、背を向けて歩き出した。「じゃあな」とも言わずに夜の街へと消えていく背中。
「待ってや……甚爾くん……!」
絞り出すような直哉の声は、車の走行音にかき消されて届かない。暴かれた素顔のまま、直哉は夜の街頭の下で立ち尽くしていた。触れられるほど近くにいたのに、甚爾は自分の硝子の城を壊すだけで、決して中には入ってきてくれない。剥き出しになった孤独の痛みに胸を焦がしながら、直哉はただ、遠ざかる恋しい影をいつまでも見つめ続けるしかなかった。
コメント
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え〜〜〜ッ!!😭💔 第2話、めっちゃエモかった…!! 直哉の「完璧なエリート」の仮面、全部ガラスの城みたいに綺麗で脆くて、でも甚爾に一発で「透けてる」って見破られるところ、心臓ぎゅーってなった🥺…「待ってや…」って叫んでも届かないラスト、切なすぎるよ…! 直哉が必死に隠してた柔らかい部分、暴かれたまんま置き去りにされる孤独、刺さりすぎて泣いた。 欲 。さん、直哉の心情の機微が繊細で美しすぎる…! 続きが気になって仕方ないです、本当にありがとうございます🌸✨