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#キャラ崩壊注意
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「甚爾が……死んだ」
その報告が禪院家の屋敷にもたらされた時、直哉はいつものように、自室で完璧な「次期当主」の仮面を被って座っていた。しかし、その一言が耳に届いた瞬間、直哉の視界はガラスが割れるような鋭い音を立てて暗転した。
「……嘘や。誰が、誰を殺したって?」
「五条家の現当主、五条悟だ。術師殺しも、現代最強には敵わなかったらしい」
淡々と事実を告げる術師の声が、ひどく遠く、歪んで聞こえる。直哉の心臓は激しく鐘を突くように脈打ち、指先から血の気が引いていった。あの人が、死んだ。あの、誰よりも強くて、誰よりも自由で、自分の脆さを一瞬で見抜いていた、あの絶対的な存在が、この世界から永遠に消え去ってしまった。
「あは、は……。なんやそれ。冗談きついわ、甚爾くん……」
部屋に一人取り残された直哉は、狂ったように笑い声をあげた。笑っていなければ、今すぐ自分の魂が悲鳴を上げて四散してしまいそうだったからだ。しかし、どれだけ軽薄に笑おうとしても、目からは大粒の涙が溢れて止まらない。かつて甚爾は、直哉の傲慢な虚勢を「安っぽいお面」と呼び、中身の脆さを見抜いていた。見抜きながらも、あえてその硝子の城を壊しきらず、直哉のプライドを守るために踏み込んでこなかった。直哉にとってそれは、いつか本当に耐えきれなくなった時、あの人にだけは城を壊して救ってもらえるかもしれないという、甘い、あまりにも甘い救いの予感でもあったのだ。
「壊すだけ壊して……置いていくなんて、ほんま最低や……」
直哉は床に爪を立て、声を殺して慟哭した。城の門は閉ざされたまま、鍵を持つ唯一の男が逝ってしまった。もう二度と、直哉の脆い素顔を見抜いてくれる人はいない。誰も、直哉の張り付いた仮面の奥にある涙に気づいてはくれない。直哉はゆっくりと立ち上がり、涙を拭って姿見の前に立った。そこには、もう二度と誰にも壊されることのない、完璧で、冷酷で、そして完全に中身が死んでしまった「硝子の城の住人」が映っていた。守るべき中身を失った城は、ただの冷たい檻でしかない。直哉は死んだ男への、怒りと、絶望と、狂おしいほどの愛を胸の奥底へと閉じ込め、再び傲慢な笑みを顔に張り付ける。あの人がいない世界で、完璧な「禪院直哉」を演じ続けるという、永遠に続く孤独の地獄が、静かに幕を開けたのだった。
コメント
1件
直哉くんの心情が痛いほど伝わってきて泣いた……「硝子の城」の比喩が美しすぎて、胸がギュッとなる。甚爾くんにだけ見抜かれてた脆さ、その人に置き去りにされた絶望。最後に仮面を張り直すシーン、切なすぎてエモすぎるよ……。欲。さんの文章力、ヤバいです。続きが待ちきれない!🌸