間柄に名前をつけるなら

翌日。

放課後の教室には、夕陽が差し込み、机の上にオレンジ色の光を落としていた。

咲はノートを閉じて深呼吸をする。美優が隣の席から声をかけた。

「ねえ咲、顔がちょっと疲れてるよ。ちゃんと寝てる？」

「……うん。大丈夫」

笑顔で答えながらも、心の奥では悠真の姿がちらついていた。

（会えばうれしい。声を聞けば安心する。……でも、それ以上を望んでしまうのが、こわい）

美優は何も言わず、ただ「頑張りすぎないでね」と微笑んだ。

その一言が、咲の胸にじんわりと沁みていった。