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放課後ーーー
オレンジ色に染まる教室に彼はいた。
窓際にある俺の机に突っ伏して寝ているのは、俺の彼女。
音を立てないように前の席の椅子を引っ張って後ろ向きで座る。顔を覗き込むと、すうすうと小さな寝息をたてていた。その顔は普段の顔とはまるで別人で、もう少しよく見ていたくて垂れた髪を指で掬う。
「無防備な顔しちゃって…」
俺以外が来てたらどうすんの。
…って、どうもしないか。
なんて、ここには2人しかいないし、他にいたとしても首を傾げられるだろう。
わかってる。わかってるよ。
これは、ただの独占欲だ。
赤は人前でこんなに無防備な顔を見せない。俺にもすごく冷たく、デレたり甘えてくることは滅多にない。いわゆるツンデレってやつ。まぁそこも可愛いんだけど…
そう思うと顔がニヤけてしまう。それが負の感情だとしても、赤の心が俺によって動かされていることが嬉しかった。俺にだけ見せる顔が嬉しかった。
もう言い訳なんて出来ないところまできている。
突っ伏しているせいで頬を押し上げてぷっくりと尖る唇が目に入る。
くっそ…美味しそうなもん晒しやがって。
心で悪態をつきながら、手はそこへ伸びる。親指の先でちょん、と触るとそこから一気に全身へ熱が広がる。
反射的に指を離すと赤は擽ったそうに体をよじった。
「……っ」
ガサゴソと鞄を漁り、体育の時間に使ったタオルを赤の頭にかける。せめてもの抵抗というやつだろうか。もし他の奴が来ても、アイツの顔が見えないように。なんて。
その場に居られなくて、鞄を置いたままトイレへと向かう。
寝ている間に手を出してしまいそうだった。それだけはダメだろ。勝手にキスされてみろ、鳥肌もんだ。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
バタバタと急ぎ足で出ていく桃を、綺麗な紫と黄色のオッドアイの目がチラリと捉えた。
頭にかかった薄ピンク色のタオルを右手で抑えながら突っ伏していた体をゆっくりと起こす。
「……意気地なし」
少し汗臭いにおいを、すうっと吸い込む。窓から差す橙色の光と桃のにおいで、桃に全身を包まれているように感じて少し安心する。
前の机を見ると鞄が無造作に置いてある。戻ってくるつもりなのか。
戻ってくるまで貸してね。と心の中で許しを得て、タオルを頭から被ってもう一度机に顔を沈めた。
end.
マイペースですがこれから投稿していきます!
言葉選びなどまだまだですが頑張っていきます!
よろしくお願いします🙇🏻♀️💭