太宰の前にいるのは名探偵。
太宰の目に映るのは名探偵
ただ太宰の横にいる、それだけ。
隣りにいる俺じゃ、勝ち目はない。
知っていた、知っていたはず…。
俺はもう、太宰の隣にさえいないのかもしれない。太宰は落ちていく。太宰か恋に落ちていく。底なし沼。もう、俺は追いつけないのか…
…や。…うや…
中也!
太宰「聞いてんの?中也!」
中也「おお…悪い。聞いてなかった」
太宰「嗚呼もう!だから、プレゼント!案はある?」
中也「俺は名探偵のこと全然知らねぇよ」
中也「まあ、無難に時計とか、帽子とか、靴とか…」
太宰「う〜ん、無難だけどぉ。時計はもう持っていたし、帽子も社長から貰ったものを愛用しているし、靴…は…想いを伝えるって感じじゃなくないかい?」
中也「じゃどうすんだよ。否定ばっかしてないで例えを教えろよ」
太宰「例え?そんなの思いついてたら相談なんかしてないよ」
中也「… じゃ、ハンカチとかカップとか、日頃使うようなものは?」
太宰「乱歩さんは基本ラムネしか飲まないからなぁ」
偏食過ぎんだろ厭、偏飲…か?
太宰「でもハンカチか。まあ、無難で相手も迷惑しなくていいかもなぁ。」
中也「だろ?」
太宰「じゃぁ、ハンカチにしよう。柄も選べるからなぁ…」
中也「無地じゃ駄目なのか?」
太宰「それもいいけど、乱歩さんに贈るなら何かしら柄があったのほうがいいかなって」
中也「そーかよ」
太宰「柄は…お!これラムネを持った猫の刺繍が入ってる。主張激しくないしいいかも」
中也「じゃあ、会計すっか」
太宰「嗚呼、待って。会話で思い出したんだけどラムネ買ってないから…あっちにあるんだよね」
中也「よく知ってんな」
太宰「まぁねぇ。毎日乱歩さんの為に買い足しているから」
毎日…名探偵のために…か
太宰「あったあった」
中也「え…そんな買うのか?」
太宰「そりゃあ誕生日だから、特別にってことで♡」
太宰「ふぅ…今日はありがとね、中也。助かったよ」
中也「おう。いいぜ。」
太宰「乱歩さんの誕生日会、中也も来る?」
中也「!!」
どうする…名探偵と楽しそうに話している太宰何て見たくない。でも…
中也「おぅ。まあ、暇だし行くぜ」
太宰「そうか!相場は人数が多いほうが楽しいからね。有り難いよ。乱歩さんの喜ぶ顔楽しみだなぁ♪」
厭だ…けど…太宰に会えなくなるよりはまだ少しだけマシだから
嗚呼…太宰は名探偵…乱歩が好きなのに。
横にすらいない俺はそっと太宰に恋をしている。
そんな事も知らず太宰は
太宰「楽しみだね、中也!」
だなんて、笑っている。俺はその横顔を斜め下から覗き込む。
嗚呼、太宰は「幸せ」そうだ…
コメント
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太宰さん!?中也さんが悲しんでるぞ!?!?飼い主はペットを愛すもんじゃないのかー!!!!!!!!