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彰人が川に飛び込んだらしい。ガードレールから身を乗り出してそのまま川へ転落した馬鹿な子供を助けるために。無情にも2月の川は当たり前に冷たくて、彰人を殺した。子供を背負って陸へ上がった頃には息をしていなかった。見ず知らずの子供1人助けるために真冬の川へ濡れに行った俺の相棒は、どこまで優しいのか。
俺が死ぬその瞬間まで一緒だと思っていた人が死んだことを受け入れられない。まだやり残したことがたくさんあった。テストで100点とって、俺を見直させるんじゃなかったのか。犬とにんじんを克服するんじゃなかったのか。俺をゲームで負かせるんじゃなかったのか。4人であの夜を超えるんじゃなかったのか。そう、彰人の肩を揺することができたらよかったのに。本人はもう存在しない。俺だって、小さな箱になってしまったお前の誕生日を、あと60回くらいは祝いたかった。
子供の親が泣きながらありがとうごめんなさいと必死に頭を下げていた。別に、いいんだ。謝らなくて。ただ、何故死んだのがお前の子供ではなく彰人なのかと。ただそれだけが頭の中に浮かんだ。でもきっと、きっと。こいつと彰人の立場が逆転した未来が待っていたとしても、彰人は喜ばない。助けてやりたかった、助けてやれなくてごめん。お前ならそんなことを言うと分かっていた。