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「ほんと美味しかった」――悠真の一言が、まだ胸の奥で温かく響いていた。
けれど次の瞬間、亮が大きな声で割り込んできた。
「だろ? 咲の飯、マジで助かるんだよ! 俺なんかカップ麺ばっかだからな」
そう言って、わざとらしく大げさに笑う。
「ちょ、やめてよ。そんな言い方……」
小声で抗議すると、亮はさらに面白がったように肩を揺らして笑った。
「ほら悠真、おまえも言っとけよ。“妹ちゃん、将来いい奥さんになるぞ”って」
「は? なんだそれ」
悠真は苦笑しながら頭をかいたが、亮の冗談に否定もしない。
咲は顔を赤らめ、俯いた。
――嬉しいのに、恥ずかしい。
複雑に揺れる気持ちを、どう処理していいのかわからなかった。