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上野文
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kirisu
551
畝澄ヒナ
119
#短編
ヒト。クラゲ。
見た目、構造、寿命、そして住む場所。
全てが違う二種が混ざり合うことは決してないはず、
…だが深海には、どちらの性質も兼ねそろている、突然変異のクラゲがいた。
そのクラゲの名はオリビア。
ヒトのような見た目をしているが、髪はリボンのようにヒラヒラしており、
中身が詰まっているとは思えないほど軽く、すぐ波に流されてしまう。
「オリビア」
名前を呼んだのは1匹の小魚。オリビアの世話係のアレックスだった。
アレックスは「食事の時間だ」と言いながら、
自分より一回り小さい小魚をオリビアに渡した。
オリビアは何も言わず小魚を口に運び、咀嚼する。
その口はアレックスさえも容易く入ってしまうような大きさをしていた。
オリビアは小魚を半分残したまま、突然来た波に流されてしまった。
アレックスはその姿を親のように静かに見送っていた。
ふよふよと他のクラゲ達とともに 深海を漂っていく。
たまに他の魚達ともすれ違っていく。
「元気かいオリビア」
「オリビアは今日も愛おしいな」
「散歩を楽しんでこいよ」
と数々の声がオリビアに注がれた。
オリビアは海中1人気者で、存在を知らない魚は1人もいない。
だけどオリビアはそんなことも知らず、また流されていく。
そして、オリビアは何かを見つける。
金平糖だ。
なんとなく口に含んでみると
甘い味と、ゴリゴリとした食感が口の中に広がる。
オリビアは衝撃を受けた。
今まで食べた中で1番甘くて美味しかった。
オリビアの中で、脳が働きを取り戻す音がした。
コメント
1件
読みました…🌙 深海の突然変異クラゲ、オリビア。人っぽい見た目なのに中身が詰まってなくて、波に流されていくままって感じがすごく儚くて。でも周りの魚たちには愛されてるのに、本人はそれに気づいてないっていうのも、なんか切ない…。 金平糖を食べて初めて「甘い」を知った瞬間、脳が動き出す感覚。あの描写、すごく好きです。まだ1話だけど、この子がこれから何を感じていくのか、すごく気になります。律さん、素敵な世界観をありがとうございます🕯️