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幼馴染の罪滅ぼしと恋心

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幼馴染の罪滅ぼしと恋心

20 - イケメン幼馴染の強引な誘い 3

2024年08月06日

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「あの時、ふたりでどこか行こうとしてたよね?」


「花乃と会った時? 断ったのになかなか帰らなくて面倒だから仕方なく駅まで送って帰そうとしたんだよ」


「面倒って……」


「だってあの日は花乃の誕生日だったから、俺仕事早く切り上げて花乃が帰って来るの待ってたんだよ。どうしてもその日の内におめでとうって言おうと思って」


「え……じゃああの時のタルトって本当に私のプレゼントに買ってくれたの?」


予想外の話に驚いていると、大樹はがっくりした様子で肩を落とした。


「やっぱり分かってなかったんだ。最高に冷たく着き返されたからもしかしてって思ったけど……あれは花乃だけの為に俺が仕事サボってまで行列に並んで手に入れたタルトだから」


「そ、そうなの?」


仕事サボっててのはどうかと思うけど、とにかく私用に用意されたものだったんだ。


彼女へのプレゼントの流用かと思ってたけど……。


真実を知ると、あの時の自分の行動ってかなり人でなしだったなと冷や汗が出て来る。


「あの……ごめんね。私誤解していたみたい」


今更ながら謝ると大樹は「気にしないで」と、だけど悲しそうに微笑んだ。


う……なんだかすごい罪悪感。


「あ、あの……今まで大樹と誕生日のプレゼント交換なんてしてなかったでしょ? 今年から突然くれるなんて思わなかったし、あの時彼女と居たから誤解しちゃったんだ」


「分かってるよ。急にプレゼントを渡そうとした俺が悪いんだし」


「え? 悪くなんてないけど……」


急なプレゼントは受け付けませんなんて、そんな横暴なことはさすがに言わない、言えるわけない。


「タルトは俺が家で一人で食べたから。無駄にしてないし気にしなくていいよ」


なんか……一人って部分強調してない?


しかも凄く悲しそうな顔。


頑張って用意したプレゼントを強烈な冷たさで要らないと突き返され、とぼとぼと家に帰り、不要のタルトを一人で食べる大樹の姿がヤケにリアルに思い浮かんだ。


もし自分がらその立場だったら……かなり凹んでしまうかも。


「あの……本当にごめんなさい。私が無神経過ぎました」


罪悪感に耐えられず頭を下げる。


その後沈黙。


突然の沈黙が疑問でそっと顔を上げて見る。


するとさっきまでの悲しい顔はどこへやら、にっこりと機嫌の良さそうな大樹と目が合った。


「……大樹?」


「酷い事したって思ってる?」


「え?……うんもちろん思ってる。私が悪かった」


素直に言うと、大樹は少し身を乗り出して言う。


「じゃあ、お詫びしてくれる?」


「お詫び? うんするよ。私に出来ることなら何でも」


「じゃあ明日付き合って」


「明日? 付き合うって何に?」


首を傾げ言うと、即答された。


「デート」


「ええっ?……無理無理!」


何で私が大樹とデート? 有りえない!


でも大樹は私を追い詰める様に言う。


「お詫びしてくれるって言ったよね?」


「言ったけど、私に出来る内容でだから!」


「うん。デートなんて誰でも出来る。花乃に出来ない訳無い、決定ね」


問答無用に言い捨てられる。


「け、決定って……ちょっと横暴じゃない?」


だいたいさっき迄の悲しそうな顔はどうしたの?


そしてその何か企んだ様な不敵な笑みはいったい何?


「明日迎えに来るから、今日はゆっくり休んでね」


大樹は最高に機嫌良く言うと、唖然とする私を残し、部屋を出て行った。


一人になった部屋でぼんやりと思う。


明日、デート。


しかも大樹と。


白状すると、私はデートの経験が一度も無い。


何しろ彼氏がいた経験がないし、稀に誘ってもらっても自分の気が乗らない相手とのデートなんて考えられなかったから。


それに今までこんな強引に有無を言わさずに誘われたことは無かったし。


人生初のデートがまさか大樹とだなんて……私、これでいいのかな?



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