僕は今凄く暇だ。5年間もここに居るんだあった本も全部読み尽くしたし内容も覚えてしまった。今日だって外は雨が降っていて気分は最悪だ。ここは病棟。ある特殊な病気の人を隔離するための病棟だ。
僕の名前は藍。平凡な家庭に生まれて特に何か面白いことがある訳じゃなかった。退屈だったけど、何か困った事があるよりはマシだろうと思っていたのに…僕の体は病に侵されてしまった
…それでも何か変わったことは起きなくてつまらない日々が続いた
「はぁ…なんか面白いこと起きないかなぁ…例えば…僕の病気が治る…とか」
僕は今日もそんなことを1人呟きながら本を読み返していた
「まぁ…そんな事起きるわけないよねぇ」
「やぁやぁ!元気かい?」
「うわぁ!」
突然後ろから声が聞こえて僕は咄嗟に振り返った
うしろを見てみると白衣を着た1人の男が立っていた
「なんだよもぉぉ!びっくりしたじゃないか!」
「ははは!すまんすまん!君があまりにも集中していたようだったからねぇ」
「はぁ…ノックくらいしてよね…」
改めてその男の顔をじっくりと見る
ボサボサの頭に雑に掛けられた丸渕の眼鏡。見慣れた顔だ。
なぜか。彼はここの管理人だからだ
「で?なんの御用で?」
「君は相変わらず冷たいねぇ…」
「で、なんの用か?って、聞いてるんですけど?」
「いや?特に用はないよ」
「…はぁ?」
「まぁ様子を見に来ただけだよ」
彼のこういった所が僕はあまりにも苦手だ。だが信用していない訳では無い
「めんどくさい人ですね…ま、何か面白いことがあれば教えてください」
僕はそう言って真っ暗な窓の外に視線を戻した。外はやっぱり雨が降っていた。あぁ…僕の親も、この雨みたいな涙流してたっけ
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