「今日は12日の中庭パフォーマンスのことやんねんけど、まだ文しか決まってないからその他のこと決めてから書きの練習入ります」
滝原くんが今日の流れを説明すると、みんながはい、と返事した。
「で1年生やねんけど、、ちょっと前に送った動画で大丈夫?踊れそう?」
「いけます!あのチアのぽんぽんってありますか?」
「あるある、後で取ってくるな」
「おんちゃんあとから来るらしいから、できればそれまでに決めたいな。よし、じゃあそれぞれ始めよー」
滝原くんがそう言うと、みんなは返事をして自分のかばんの方に行った。
「凪、筆持ってきた?」
「あ、うん、持ってきたよ」
昨日、前に使っていた筆を持ってくるよう滝原くんに言われていた。
「おお絶対ええやつやこれ、、みんな統一でこれ買ったん?」
「うん、みんな最初にこれ買うよ」
「へえ、、腕はもちろんやけど道具もすごいんやなあ」
滝原くんは感心するように言った。
「みんな筆に名前シールみたいなん貼ってるから、今作って貼ってくるわ」
「聡也、文書いてる紙もらっていいか」
日高くんが倉庫の方に行こうとする滝原くんに言い、滝原くんはかばんから取り出した紙を日高くんに渡した。
「あ、それまだ凪見てへんから見せたってや」
「おっけい、なーぎーこれ」
日高くんは私にその紙を見せてくれた。
『移り変わる季節に手を引かれ
その手を離し 自力でようやくここに立つ
右も左もわからず
ただ 上には青空と揺れる緑
下には 踏み出したくて仕方がない私の脚
前には果てしない景色
後ろには 私の一歩を押す風のみ
心には仲間
夏が始まる今 全力でただ前へ』
一文一文、鉛筆で丁寧に書かれていた。
「これ、、みんなが考えたの?」
「うん、これは2年だけで考えたけど、1年生が書けるようになったら全員で考えるようになるよ」
「すごい素敵だね、、」
「お、なーぎーから高評価もらったよ」
まず、文を使い回していないことに驚いた。その時その時新しい文を考えるのは相当大変だろうと思う。
「これをめっちゃでかい紙に書くんだけど、どんな感じで書くか今から考えなきゃなんだよね」
瑠衣ちゃんが大きい画用紙を床に広げた。
「って言ってもなーぎーも1年やってるからだいたいはそりゃわかるか」
「だいたいはわかるけど、、実際にパフォーマンスしたのは1回しかないから」
「そっかそっか、よし、じゃあなーぎーも一緒に考えよう」
瑠衣ちゃんは鉛筆で画用紙の端に小さく『7/12 中庭』と書いた。
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