コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「凪これ名前貼っといたで」
滝原くんがこっちに戻ってきて筆を渡してくれた。筆を見ると、『凪』と書かれた薄く花柄が入ったマスキングテープが貼ってあった。滝原くんが書いてくれたのだろう。
「かわいい、、ありがとう」
私がそう言うと滝原くんは笑って頷いた。
「滝原これさ一番目立たせたいのって夏だよね?」
「そうやなあ、テーマ夏で考えたからな。真ん中にでかく書くのがええんちゃうかな」
「その右下と左下に文続けたらいいんじゃない」
「夏って思いっきりでかく書いて良さそうだな」
4人はお互いに意見を出し合い、スムーズに文の位置が決まった。
「個人的には『全力』と『仲間』は赤で書くのがいいと思うんやけど」
「そうだね、文の量多いから色つけるのは夏とその2つくらいがいいかも」
「夏やったら青か、、緑かなあ、どっちがええかな」
「凪はどっちがいいと思う?」
突然、滝原くんが私に聞いた。
「青、かな」
「うん、俺も青がいいと思う」
滝原くんは優しく笑った。
「あ、おはようございます」
「おはようございます」
扉が開き、恩田先生が入って来た。
「先生、こんな感じでどうですかね」
先生は床の画用紙の全体をさらっと見た。
「うん、いいと思うよ。今回一文一文が長いからゆとり持たせて書いた方がいいね。夏は思いっきり書いて」
「はい、おっけーです」
「野仲さん、パフォーマンスは初めて?」
先生が私に聞いた。
「前に1回だけ、、」
「そうかそうか。でも字見た感じ、野仲さんなら大丈夫だと思うよ」
「やって凪」
少し嬉しくて、口角を上げて頷いた。
「これは夏を最後に書くってことで合ってる?」
「そうですね、最後に青で書こうと思ってます」
「じゃあ部長が決めてくれるってことかな」
「え俺ですか?」
先生が顔を上げ笑いながら言うと滝原くんは驚いた顔をした。
「お、聡也かっけえぞこれは」
日高くんが滝原くんの背中を叩いて言った。
「こんなおいしい役もらってええんか?」
「任せたよ聡也」
「思っきし書いてよ」
「野仲さんにも部長のいいとこ見せないとね」
先生がにこやかに言った。
「おお、見とけよ凪」
私は少し強く頷いた。