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言葉を失った。まさか伝説が本当に、と思うところもあるが、そうではない。もし、本当に彼女が破滅と天創の能力の持ち主ならば。…破滅の継承者ならば、奴らの言っていたように本当に生贄となってしまう。
「まあ、まだちゃんとした確証はないんすけどね~。とりあえず、今は生徒たちを守る方が優先ですし。仮にわたしが襲われるようなことがあれば、迷わず見捨てて生徒たち守ってくださいね?」
「…見捨てろと?お前を?何ふざけたことをー」
「”我らが愛しき学仔を、守るが至上、命の盟約。宝を狙う的には凄惨たる『教育』を”これを守らずして、バビルス教師だと名乗れるんすか?バビルスの番犬さん?」
腹が立つ。そうして自己を犠牲にして他人を守ろうとするその態度。人を煽るようなものの言いよう。そして、自分自身かなり恐怖を感じ、震えているのを必死に隠そうとする強がりなところ。すべて不愉快である。だが、こいつが言っていることは、何一つ間違っていない。アイツらを守るのが最優先事項である。頭ではそんなこと分かっている。だが、理解を拒む。コイツを、失いたくない。恋愛的な意味合いではなく、長年こいつと共に行動してきた思い出、とでもいうのだろうか。それが俺の行動を邪魔する。
「ちょ、そんな怖い顔しないでくださいっす!じょ、冗談っすよ!?」
「どうだかな。お前は大概嘘つきだからな。とりあえず、明日は基礎体力訓練をする。内容は覚えているんだろうな?」
「もちろんっす!舐めないでくださいよ~?」
「ならいってみろ。俺が聞いてやる。」
「え゛。あそれは…遠慮したいっていうかぁ…なんていうかその~…」
「なんだ言えないのか?バビルスの警衛なのにか?」
「ちょ!さっき煽ったのは謝るんで許してくださいっす~!てか今それ関係ないっしょ!」
「初めに煽った貴様が悪いだろうが。」
「お、おっしゃる通りで…」
たわいもない会話を続ける。こんな日常が続いて欲しい。そう願うばかりである。
「先輩。」
「何だ。」
「もし、自分が自我を失って暴れるとか、…それこそ本当にデストロイに吸収されそうになったら、迷わず生徒優先してくださいね。」
「またその話か。」
「大事っすよ~?」
「…俺は、どちらも諦めない。」
「へ?」
ルーシーがとんでもなく間抜けな声をだした。そんな声に思わず笑いが吹き出る。そうして、怒涛の1日目は過ぎていき、気づけば2日目となっていた。