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桃赤
咄嗟に言われた一言。
それは、告白の答えなのだろうか。
赤「、、今までありがとう」
「さようなら。」
俺これからどうすればいい、?
寒い。
雪が降ってきた。
何であんなこと言っちゃったのかな。
手が痛い。
俺もう死ぬのかな。
唇が張り付いて剥がれる。
不意に出た言葉、もう面倒くさかったんだ。
最初から分かってた。人に嫌われるくらいなら、最初から関わんなければいい。
なのに、
恋しちゃった。
退院していつもの生活に戻りつつある時。
俺は赤の様子が気になって仕方がなかった。
俺のことを担当してくれた人に挨拶をし、赤の家へダメ元で向かう。
ピンポン、と俺の心情には合わないチャイムの鮮やかな音。
ドアが開くと、髪の長い女性が出てきた。
女「あれ、ピザのひと?」
桃「、、は?」
どうやらパーティーやなんやらで盛り上がっている。息子が帰ってきてないというのに、
とんだ神経してんな。
桃「あの、赤は?」
女「、、分かんない。どっか行ったんじゃない?」
赤はどこに行ったんだろう。
どういうつもりだったんだろう。
おそらくお金もないし充電だってないだろうに、
どこで何をして、
どう生きてるんだろうか。
桃「うおっ…」
もう1月半ば、辺りは真っ白な雪で包まれている。俺は1ヶ月程病院にいたから、寒さ対策なんてできてないし、なにより気候の流れが早すぎてビビる。
歩道橋を渡り、赤と唐揚げちゃんをたべた公園に着いた。、、あの時赤吐いたんだっけな。
この公園も辺りは雪に包まれている。
気のせいだろうか。
人の、手のようなものが見えたのは
桃「、、は、、っ…」
凍りついた髪、
剥がれた唇。
生気を失った目。
その遺体は、
紛れもなく赤だった。
桃「、、ぁ、、ッ、あぁ、」
なんで、
赤、
助けられなくてごめん。
この狭い世界から
解放させてあげられなくてごめん。
赤。
赤はこの狭い世界から抜け出せて幸せだったか。
俺は赤がいなくなって、
何もできないよ。
あの日から一年。
緑黄赤の信号も、今日はクリスマス色。
ケーキを選ぶ無邪気な子供。
イルミネーションを眺めるカップル。
俺は、生チョコケーキと酒を買って、レジに並んでいた。
俺が助けたあの踏切。
気づいたら俺は、線路の真ん中に立っていた。
赤、
今行くからね。
end
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