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――ガチャ
「なんとかなったな」
「な!」
「偶然じゃねえか!」
「こういう豪運もルフィのいいところっつーか、すごいとこっつーか……てかニワトリ大人間って誰だ?」
「さあ? ともかくウーシー走れ~!」
「ブモーッ!!」
そうして、俺たちはひまわり畑に向かうのだが……何かおかしい。どうやら異変を感じているのは俺だけじゃないらしく、俺の腕の中にいたローも眉をひそめている。
「おい、麦わら屋。この道、下り坂になってないか?」
「そういえば…」
――ピチャ、ピチャッ
「止まれ! 水に浸かってる!」
「ンモ~?」
「あれ? でもひまわり畑の近道だって…」
「あの野郎、騙しやがったな…」
「ウーシー戻れ!」
「……足音が聞こえる。ま、まて、この気配……ま、まさか……」
目の前に現れたのは、ドフラミンゴだった。嘘だろ、マジかよ……。ここが抜け道じゃないってだけでも参ってるのに、背後にドフラミンゴかよ!
「ドフラミンゴ!」
「弱者どもが力を合わせて……どうやらその錠の鍵は外れるようだな、ロー」
「何でお前がここにいるんだァ!」
「フフフ、助けに来たのさ。つまらねえワナにかかりやがって。何が抜け道」
「ルフィ!」
「麦わら!」
俺とローが同時に叫ぶ。
ドフラミンゴが弾糸を何発もウーシーに撃ち、ウーシーが横たわってしまう。
「この危機感のなさ……くだらねえ。これじゃ誰にでもお前らを殺せる。フフフフフ……外でおれの首を取ろうって奴らが暴れてんな。この状況でよく味方を得たものだ。その能力は頂上戦争の頃から一目置いていた。……だが、当の本人がこのマヌケさだ」
ドフラミンゴがルフィの方に視線を向け、また眉間に皴を寄せていた。何がそんなに気に入らないんだ、この男は。
「何故コイツを選んだ? ロー。お前はもっと、見込みのある男だった。ガキの頃でさえもっと冷酷で、もっと狡猾だった。違うか? 一体だれがお前をこんなに腑抜けにしちまったのか。フフ、いや、そんなのわかりきっているか。お前を腑抜けにしたのは、」
「黙れ!!!」
「ああ?」
「おれはお前のようになる気はねえ! おれは救われたんだ!」
「フフフ……我が弟、コラソンにか?」
「くっ」
「フヌケてねえんなら、なぜこんなマヌケと一緒につまらねえ死に方をする」
ドフラミンゴの手指が俺たちの方に向いたとき、こちらに猛進してくる2つの影があった。入口で落ちたジェットとアブドーラだ。2人の武器がドフラミンゴを貫こうとしたが、それは糸として解けていく。やっぱり分身だったか。
「それは糸人形だ」
「…おまえら」
「麦わらさん!」
「ご無事で…」
「ルフィ、大丈夫か?」
俺はルフィを水から引き上げる。さっき下手に動くとドフラミンゴが撃ってきそうで動けなかったんだよな。許せよ、ルフィ。
「はぁ、たすかった…ありがとう……」
「もっと早く引き揚げたかったんだけど、ごめんな。あとお前らもありがとう」
「いやいやいや…」
「しかしこれ、下半身…だよな? どうなってんだ。俺たちは大物を討った…のか?」
「お前たちは分身に攻撃しただけだよ。偽物だ」
「わざわざ糸人形を飛ばすなんて、冷やかしにでも来たのか?」
「その可能性はあるな。つーかさっきのケリー・ファンクはどうした?」
「あっ、そうなんです! あの野郎俺たちを騙してやがったんだ!」
「だろうな。さっき分かったよ。で?」
「ドフラミンゴによって一瞬で消されたんだ」
それを聞いたルフィが本当に助けられたみたいだ、とプンスカ怒りだしてしまった。完全に後れを取ってしまったな。
「早く戻らねえと、マジであいつらがドフラミンゴをどうにかしちまうかも」
「いや! やってやろうじゃねえか、近道!」
「る、ルフィ…?」
「抜け道がねえんなら、おれが作る!」
「うっそだろお前……」
「待ってください! なにする気ですか、麦わらさん!?」
「うわあっ!?」
「ゴムゴムの~~~っ――」
「「ギャア~~~!!!」」
「――エレファントガン!!」
ルフィが上に向かって拳を繰り出した。地面が割れ、道が切り開かれる。
「綺麗に開いたな…よし、ルフィ、俺たちごと上に行ってくれるか?」
「わかった!」
ルフィがローを右脇に、俺がルフィの背中にしがみつく。
ルフィは腕を上へと伸ばして2段目に到達した。すっげえショートカットだな。
「オッケー、ここまで運んだらまた俺がローを抱くよ。その代わり雑魚をちゃんと蹴散らしてくれよ」
「おう! 任せとけ!」
俺たちは再び駆け出す。