テラーノベル
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「神よ。あぁ。神よ。あの方に逢わせていただきたい。この命尽きるとあなたが教えてくださった。ならばこの魂、私の好きに使わせておくれ。」
老人が神棚にむかって涙を流した。
「この命尽きるまであなたを信じ続けたのだから。代わりに愛しの妻に逢わせておくれ。
」
老人は瞳を閉じた。
もうなにも見えなかった。
言葉だって空気を吐き出し揺らすだけ。
「神よ。あぁ。頼む。愛しているのだ。」
老人の呼吸が止まった。
心臓の音も聞こえなくなった。
血が回らない。
顔だって青白くなっていく。
願いが、叶うのならば。
なんだってするから。
老人は眠りについた。
逢いたい。逢いたいな。
向日葵のように笑うあんたに、逢いたい。
向日葵が窓の外に見えるころ。
影が部屋に差し込むころ。
向日葵が静かに枯れた。
彼に会いに行くように。
コメント
1件
うわあ……これは胸にくるものがありますね。老いと死の間際の願い、しかも「愛しい妻に逢いたい」っていう純粋な祈り。向日葵が枯れる描写と「彼に会いに行くように」という一文が、まるで命が花から花へと移っていくみたいで、美しいのに切なさが溢れました。言葉数は少ないのに、老人の一生分の想いが詰まっていて、読後じんわりと温かい悲しみが残ります。とーとさん、素敵な物語をありがとうございます。