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扉を勢いよく空けると、
真正面にマンションが見えた。
屋上には、ヒーロースーツを着た司令さんの姿が…
「司令さん!!!」
大きな声で名前を読んでも少し振り返るだけで、すぐに建物から建物へと軽々移動して行ってしまう。
俺は汗だくになりながら走った。
空は日が沈みそうになっていて、綺麗なピンクの雲が浮かんでいる。
蹴られたとこが痛い。
なんで、司令さんはいきなり家を飛び出したんだ…?
『心を読んでみろ』
心…
司令さんは何を思って飛び出した…?
なんであのタイミングで…
……俺の過去を聞いたから…?
正義感が強い司令さんは、俺のために何かしようとしてるのか…?
わかんない、けど。そんな気がする、
そんなふうに思っていたら、細い路地裏のような場所から悲鳴が聞こえてきた。
急いで駆け寄ってみると、そこには…
ヤンキー1「や、やめろ!解けよっこれ!」
ヤンキー2「いきなり縄で縛るなんて、イカれてんのか!?」
「…….は」
ボコボコにされたヤンキー達が、司令さんに手足を縛られて、壁に張り付けにされていた。
「えっと…..司令さん…?」
司令さんはこっちを見て少し笑ってから、思いっっっきりヤンキーの急所に蹴りを入れた。
ヤンキーは、捻られたような細い声でもがいている。
司令さんはふぅ、とため息を着いてこっちに駆け寄ってきた。
「あの、司令さん…どうして…」
聞こうとしたら、手を引かれヤンキーの目の前に連れて来させられた。
ヤンキー2「あ!お前ッ!今日ボコボコにしたやつじゃねぇか!ふざけやがって!」
司令さんは、
司令🤛
司令👍
というジェスチャーを出した。
えっと…つまりこれは
「殴れ…ってことすか…?」
司令さんは頷いた。
えっ…いいのか…?ほんとに…
そう思っていると、司令さんがこっちをじーっと見ていることに気がついた。
何故だろう。何を言いたいのかがわかった。
『抵抗の練習だ。やられたんなら、やり返せ。』
「…司令さんって、案外ぶっ飛んでるっすよね。」
司令さんはキョトンとした。
「わかったっす。でも、これじゃ面白くないっすね」
俺は縄を解いた。
ヤンキー1「てめぇッ!ふざけんじゃねぇよ!」
ヤンキー2「仲間連れてきやがって!!ぶち○すぞゴルァ!!」
俺は逃げた。ヤンキー達は追ってきている。
しばらく逃げて、公園に着いた。
俺は公園の真ん中で、クルッと向きを変え、ヤンキーと対面した。
ヤンキーはいきなり振り返って来たことに驚いて、足をすくませた。
へへっ、チャンスっす。
俺はヤンキーに向かって思いっきり走った。
そして…
「お返しっす!!」
ヤンキー共「ぐはああああ!?」
ヤンキーの腹にグーパンをねじ込んだ。
ヤンキーは衝撃で、5mぐらいすっ飛んだ。
ヤンキーはそのまま気を失った。
司令さんが後ろに立っていた。
満足気な顔をして、微笑んでいた。
俺もきっと同じ顔をしてたんじゃないかな。
司令さんは拳を差し出した。
俺は優しく、少し勢いをつけて、拳で応答した。
爽やかな気分で、まるで青空の下に立っているような気までした。
『よくできたな。4号』
「へへっ、スカッとしたっす!」
…あれ?
「え?今、司令さん喋りました?」
司令さんは首を振った。
「あれ?…もしかして、分かるようになったのかも!?」
司令さんはじっと、こっちを見つめた。
…あれ
「ダメっすね…?でも、確かにさっき聞こえた気がするんだけどなぁ…」
司令さんは、笑みを浮かべて
家に帰ろうと言うように、首を傾けた。
俺は笑顔でそれに応えた。
なんだか、少しだけ理解出来るようになったかも…?
そんな気がして、少し気持ちが高鳴った。