コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌朝、昨夜1人で出ていったのはバレてないらしく皆いつも通りだった。
「今日も美味しかったですね朝ご飯」
「たまには主君の作ったご飯も食べたいです!」
「じゃあ今日の夜は私が作りますよ」
「おっ今日の夕餉は大将が作るのか」
「楽しみです…!」
「皆さんも手伝ってくれますか?流石に私一人じゃ大変なので」
「はい!頑張ります!」
ニコニコと笑うこの子達がもはや天使にしか見えない。この笑顔が見れるならここに来て良かったと思える。
「あぁそうだ。これあげます」
「それは…金平糖か?」
「そうです。えっと…倉庫に落ちてて」
「わぁ綺麗ですね…1つ食べても良いですか?」
「毒はなさそうだな」
「いただきます…!」
パクッとそれぞれ金平糖口に入れると
「甘い!」
「飴みたいですね…」
「美味しいな」
「それになんだか力がみなぎるようなそんな感覚がします」
「確かに」
「そういえばこの前ショッピングアプリの【刀剣男士強化あいてむ】って売場に金平糖があったような」
「だからか」
「これを食べたら何か影響があるんですか?」
「あぁ、この金平糖は俺達刀剣男士の練度を上げるための物なんだ。実感はほとんど無いが」
ここには本当に不思議なものが沢山あるな…そう思いながら手の中の金平糖を眺める。
「じゃあ燭台切と長谷部にも渡してきますねこれ」
「あぁまた後でな」
「主君また後でー!」
「ま、また後で…!」
手をフリフリと後ろで振っている彼らが愛おしい。一期一振さんの気持ちが分かる。
「長谷部ーいますかー」
「はいここに」
「ヒッ……その出てき方どうにかなりませんか…」
彼はいつも気が付いたら横にいるので本当にびっくりする。
「コホン…えっとこれあげます。」
「主から俺への贈物…!一生懐の中で大事にします…!!」
「懐の中じゃなくて胃の中に入れてくださいね」
「…それではいただきます」
なんだかしょんぼりしているような雰囲気を出しながらパクッと口の中に放り込む。
「どうですか?」
「とても美味しいです」
「力が漲る的なそんな感覚ないですか?」
「そうですね…先程よりもなんだか身体の調子はよく感じます。」
「おぉ良かった」
「普通の金平糖ではないのですか?」
「はい。薬研によると刀剣男士の練度を上げるものらしくて」
「なるほど」
「それでは燭台切にもあげてきますね」
「はい、また何かありましたらこの長谷部をお呼びください主」
「はーい」
早歩きで燭台切を探しに屋敷の廊下を歩いていく。
「ここにいましたか燭台切」
「あれ、主どうしたの?」
燭台切は屋敷の裏側にある縁側で休んでいたらしい
「休憩中にすみません。これ渡したくて」
「これは…金平糖じゃないか。しかもなかなか手に入らない高級なやつ…これどこで手に入れたの」
「倉庫で見つけて…」
「そうなんだ」
「とりあえず…1粒どうぞ」
「うん。いただくね」
彼もパクッと金平糖を口に入れる。
「甘くて美味しいね」
「これを食べると練度が上がるとかなんとか…」
「知ってるよ。元主だったあの人もよく他の刀に食べさせてた」
「そうなんですね…」
「安心してまだ穢れが出る前の話だから、無理やりとかじゃないよ」
「それなら良かった」
ほっとしていたその時
「主さま!」
「こんのすけ?」
「どうしたんだい?」
「そろそろ主さまにやっていただきたい事があるのです」
「な、何…」
「出陣です!」
「出陣??」
「はい。こんな時に申し訳ないですがそろそろ本格的に動かなければこちらにも穢れが広がってしまう可能性があります」
「本丸を綺麗にする。その為に!!まずは刀剣男士達の練度を上げましょう!!」
「はぁ…」
「本日の夕方に居間で詳しい事をお話しますので皆様を集めてくださいね」
「分かった。集めとく」
「ではまた夕方に!」
そう言うとこんのすけはすぐにどこかへ行ってしまった。
「えっと…そういう事だから…皆に声掛けときましょうか」
「うん、そうしようか」
いつも嵐のように勢いよく来てはすぐに去ってしまうこんのすけになんだアイツはと思うけれど心の内にしまっておこう。
「皆さんお集まりいただきありがとうございます」
「それで出陣って何?」
「はい。本来審神者というのは刀剣男士を顕現し共に時を駆け巡り、時間遡行軍を率いて、歴史に介入し歴史改変を目論む歴史修正主義者を阻止し戦う為に存在しています」
「そんなやばいものに関わってしまったのか私…てか今こんな事しててもいいの?時間遡行軍とかいう奴倒さなくていいの?」
「それについては問題ありません。審神者というのは主さまだけでなく他にも様々な所に存在します」
「へぇー…で、具体的に何をすれば?」
「その時間遡行軍がいる戦場へ向かう為まずは部隊を編成して下さい。」
「戦場へ…」
戦場…何度も学校で習いこの現代でも続くあの戦場へ連れて行くのか
「…ごめんなさいこんのすけ。少し席を外します」
「あっ主さま…」
「少し考える時間が必要かもしれんな」
「ここに居たんだね」
「燭台切…」
私は屋敷の裏の縁側で丸まっていた
「ごめんなさい急に出ていって」
「大丈夫だよ」
「…私怖くなってしまったんです。貴方達を戦場に出す事が」
誰だって怖くなるものだろう。自分のミス1つで彼らの命を失わせてしまうかもしれないのだから
「そっか…ねぇ主少し聞いてほしい」
「…なんですか」
「僕達は【物】なんだ」
「刀の付喪神ですもんね」
「うん。物というのはね、誰かに使われなければただのガラクタと同じなんだ。そして戦場で戦う為の武器として生まれた僕達も主に使ってもらえなければただの鉄くずと変わりない」
「そんな事は…」
「主。僕達は、物は使って初めて価値が生まれる。だから主が僕達を使ってくれる事が喜びでもあるんだ。」
「それに僕は主の、君の役に立ちたいんだ」
「…」
燭台切は真剣な眼差しでこちらを見つめてくる
「…絶対に無事に帰ってくると約束できますか」
「…!…あぁもちろん。…でも行くのは戦場だ。少し怪我はしてしまうかもしれない」
「…なら…絶対に折れずに帰ってくると約束してください。」
「うん。約束しよう。どんなに怪我をしても絶対に折れず君のもとへ帰ってくるとね」
「…分かりました。では出陣の準備をしましょう」