「お待たせしてしまってすみません」
「おっ戻ってきたのか大将」
「燭台切と話して出陣をさせる覚悟ができましたのでこれから部隊編成をします。こんのすけメンバー何人までですか?」
「はい。メンバー最大6人、一振は隊長となり部隊を率いていただくことになります」
「主、俺はいつでも出陣する準備はできておりますよ」
「僕も大丈夫だよ」
「主君!僕もです!」
「ぼ、僕も…!」
「俺もだぜ大将」
「ふふ、皆さん頼もしいですね」
ここまで自ら望んでくれるとは思わなかった。嬉しいものだ本当に
「一期一振さんはどうされますか」
「私…ですか」
「はい。一期一振さんはまだここへ監視という名目で来ています。なので私が好き勝手命じれるものではないかと」
「…そうですね。私は練度が高いので今回は護衛としてここに残りましょう。弟達へ着いて行けないのは心苦しいですが万が一の為です。それに五振りならば十分な戦力になることでしょう」
「分かりました。」
「それでは改めて今回の出陣メンバーを発表します!」
気合を入れるように少し声を張り上げつつメンバーを発表していく
「一振目!隊長、燭台切光忠!」
「初陣、隊長に選んでくれて光栄だよ。期待に応えないとね」
「二振り目!へし切長谷部!」
「拝命致しましょう。」
「三振り目!薬研藤四郎!」
「あぁ任せとけ。」
「四振り目!秋田藤四郎!」
「はい!頑張ります!」
「五振り目!五虎退!」
「は、はい…!!」
「以上のメンバーは30分後までに準備を済ませ居間に集まる事!それでは一時解散!」
「了解」
「…疲れた」
「お疲れ様と言いたいところですがまだまだ序盤ですよ主さま」
「少しは労っておくれよこんのすけ」
「ダメです」
「そうだ出陣中って何してたらいいの」
「基本的には部隊が帰還するまで待機という形になります。」
「まじかぁ…」
「ですがこちらからあちらの様子は見れます。」
「まじか!」
「使い物になりますかねこの端末…」
ベシベシと叩きながら端末を振ったりなんなり…大丈夫なのかそれ
「まぁ心配ありません…」
「そろそろ準備しようか…」
30分後、居間にて
「よし全員集まりましたね」
各自忘れ物、不備がないか確認をする。
「自分がまだいけると思っても無闇に進まない事!!!絶対に折れずに帰ってくる事!!!無理をしない事!!!怪我人がでたらすぐに帰還する事!!!!!いいね!!!!」
「ふふ、そんなに力強く言わなくても分かってるよ主」
「1つでも破ったら腹裂けるまで白米口に突っ込んでやりますからね」
「恐ろしい事言うなよ大将」
「これくらい言わなきゃやるでしょう貴方達」
「やらないように気を付けるさ」
「主さまそろそろ向かいましょう」
「分かった。皆門のところへ向かいましょう」
駆け足で門に向かいこんのすけに門を操作してもらう。過去に行けたりするらしい。凄い技術だな…
「皆さんこちらを」
「こんのすけそれは?」
「これは携帯型時空転送装置です。これがなければこちらに戻る事が不可能になる可能性があります」
「無くしたら大事じゃない…」
「皆さん絶対に落とさないように気を付けてください」
「あぁ分かったよ」
「じゃあそろそろ門を開くよ」
「はい!主君、いち兄!いってきます!」
「い、いってきます!!」
「行ってくるぜ大将、いち兄」
「あぁ秋田、五虎退、薬研。必ず無事に帰ってきなさい。」
「長谷部も燭台切も頑張ってくださいね」
「お任せ下さい!この長谷部、必ずや主の期待に応えてみせましょう」
「頑張ってくるね」
「門が開きました!場所は函館。門をくぐり時代に到着したら時代に干渉しないよう慎重に行動してください。」
「了解。それじゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい!!」
「皆、気を付けて行ってくださいね」
そう言うと五振りは光る門の中へと消えていった。
「…行っちゃいましたね」
「あとは無事を祈るしかありません」
「…やっぱり怖いですぅぅうわぁぁん」
「うわっ急に泣かないでください。さっきまで強気だったじゃないですか!!」
「ゔぅぇさっきまで堪えてただけなんです…無理ですぅぅ…」
「…貴女がこんなにも情けないとは……まぁ怖いのは私も同じですが…」
「誰だって!!こんな時怖くて仕方ないんですから!!いくらあの子達が私より強いとしても心配になるんです!!」
「あぁもう泣かないでください…目元が腫れてしまいますよ…」
「はい…」
そう言いながら一期一振さんとこんのすけと共に屋敷に戻る。さすがお兄ちゃんと言うべきなのか戻ってからハンカチで優しく目元を拭かれた。
「一期一振さんって結構甘いですよね。面倒見が良いというか」
「弟達の世話をしておりましたから」
「流石ですね。いいお兄ちゃんだ」
「…そんな事はありませんよ」
「そんな事ありますよ。私なんて弟がいてもきっと自分の事でいっぱいいっぱいになりますから」
「それは貴女が不器用なだけでは?」
「やかましいですよ〜〜」
「主さまー!端末で映像が見れるようになりましたよ!」
「あっ忘れてた!!!今すぐみる!!」
「こちらです」
すると端末からヴォンと音を立てて映像が浮かび上がった。
「何これすごーい」
「このように見れるんですね」
「ただいま函館に到着したようですね。」
「ふむ…」
映像には五振り、それぞれが周りを警戒して行動している。
「隊長、時間遡行軍を発見したぜ」
「陣形は?」
「魚鱗陣だな。」
「ならこちらは逆行陣で行こう。」
「了解。」
「皆、気を引き締めて。相手はそこまで強くはないけど舐めてかかったら怪我をするよ」
「分かりました…!」
「薬研くん長谷部くん。突っ込んでいかないようにね」
「言われなくとも分かっている。」
「はいはい。なるべく気を付けるとしよう」
「主君の為に頑張りましょう」
凄い。本当に戦場にいるんだ。
映像で見ただけだが周りには現代風の建物なんて一切ない。あるのは無造作に生えた木や緩やかに流れる川などだけだ。
「頑張って…」
どんどんと敵に接近していく五振りを見て冷や汗が垂れていく。
「そんなに焦らずとも大丈夫ですよ」
「一期一振さん…」
「皆立派な刀剣男士です。貴女が顕現させた長谷部さん以外は戦場に出るのは初めてではありません。だから見守ってあげてください」
「…分かりました。」
その時ガキィン!!と音がした。
燭台切が敵と接触したらしい
「久々の戦闘だから少し訛っているかと思ったけどそうでもないみたいだ…!!」
すると敵の隙をついて一突き腹へ刺した。
「かっこよく決めたいよね…」
「燭台切さん後ろです!!」
不意に後ろからも遡行軍が飛んできて五虎退さんが庇っていく
「ひぃぃ見てられないですぅぅ」
「これが戦と言うものです。」
刀同士がギリギリと音を立てながら押し合う。見ているだけで恐怖を覚える。
「五虎退!」
押し負けそうになった所へギリギリ長谷部が間に合った
「長谷部さん…!助かりました!」
「助かったよ長谷部くん」
「礼はいい。目の前の敵に集中しろ」
「はい…!」
それぞれ遡行軍を相手にしながら上手く連携して倒していく。
「かっこいい…」
常人ならばできない派手な動きを何度も繰り返し行いつつ相手の急所に一撃を与える。その姿に私は圧倒されてしまった。
「言ったでしょう。皆弱くはないのだと」
「その通りですね。少し前に貴方と戦った時とはまるで違います…」
「…あの時はきっと手加減をしていたんです。手をできるだけ出さないように私に傷を負わせないように」
「なるほど…」
「主さま1つ目の遡行軍の殲滅が終わったようです」
「早いね…次もあるの?」
「はい。この先にあともう一部隊反応があります。」
「早く終わってくれ…」
「そして今の所負傷した刀はいません。あってもかすり傷程度でしょう」
「良かった…」
五振りはそのまままっすぐ反応がある方へ向かっていく
「燭台切の旦那!遡行軍の気配がする。気を付けろ!」
「あぁ分かってるよ!」
薬研が言った通りすぐに遡行軍が飛び出してくる。だが皆動じず冷静に相手を斬り伏せる。
「この調子ならいける…!」
「まだ油断してはいけませんよ主さま」
そうこんのすけが言った時だった
「ぐっ…!!」
「長谷部!!」
死角から襲いかかった遡行軍から薬研を守ろうとした長谷部が上手く防ぎきれず肩を切られてしまった。
「うわぁぁぁ」
「落ち着いてください!!刀剣男士はこれしきのことで死にませんから!」
「それでも無理無理無理見てるこっちが痛い!!」
「落ち着いてください主さま…!彼なら大丈夫です!!」
そう言われて映像を見ると
「死ななきゃ安い!!」
むしろ元気に刀を振るっていた
「…長谷部って意外とやばい子だったりする?」
「今更気付いたんですか。長谷部さんは個体差はあれど戦闘狂ですぞ」
「…それもいいな」
「何か言いました?」
「いやなんでも」
私達がはしゃいでいる間にほとんどの敵を殲滅し終わったらしくこんのすけが声をかけてきた
「そろそろ帰還してくる頃でしょう。門に向かいましょう」
「うん。行こうか」
外に出て門の方を見るともう既に帰還した五振りがいた
「…っ」
所々傷が増えて痛々しい。
五振りに向かって全力ダッシュで向かっていく。
「お゛か゛え゛り゛な゛さ゛い゛!!!!!」
自分でも引くほどでかい声ともう涙なのか鼻水なのかよく分からないものを垂らしながら全員を力強く抱き締めた。
「主苦しいよ〜〜」
「主君〜!」
「落ち着いてください…!!」
「皆…!!ぼろぼろで…!!しんじゃうがどおもっだ…!!!!」
「大将、俺達は人間より頑丈なんだぜ大丈夫さ」
「そうですよ主。俺達はこうして無事に帰ってきました」
「どこが無事なの!!!傷だらけでしょ!!!早く手入れしよう!!!!」
「その前に1つ言わせてよ主」
「…何…」
「皆せーので言おう」
「あぁ」
「せーの」
ただいま!!!
「…貴方達はまたそうやって私をなかせるぅぅう……!!!!!!」
「今日泣き過ぎですよ貴女…」
「いち兄」
「秋田?」
何やらニヤニヤしながらこちらを見ている
「いち兄からのおかえりも聞きたいです!」
「…っあぁおかえり。…無事に帰ってきてくれてありがとう…」
「えへへ」
「あっ秋田だけずるいです…!」
「ふふっ五虎退もおいで」
「はい!」
「…薬研も来ていいんだよ」
「今回だけだぜー」
よく頑張ったと弟達を抱きしめる一期一振さん達を横目に自分も二振りの傷の確認をしていく。
「皆まとめて手入れ部屋に行きますよ!」
今度は私の番だ。皆を手入れしよう。
「主さま、こちらをどうぞ」
「ん?これは手伝い札?」
「はい。母屋の倉庫に余っていたものです」
「ありがとうこんのすけ助かるよ」
全員を手入れ部屋に誘導していき1人ずつ部屋に入れていく。
「まずは長谷部からですよ!早く手入れしましょう」
「かしこまりました。すぐに直してまいります」
「中の式神さんにこの札を渡してくださいね」
「はい」
「次は…五虎退さんですね…かすり傷が多い」
「は、はい!すぐに直してきます…!」
「次は秋田藤四郎さん!こっち入ってください」
「はい!」
「手伝い札しっかり持ってってくださいね〜」
とりあえず今できるだけ手入れをしてもらう。
あの後、薬研と燭台切も手入れ部屋にぶち込んでやった
「ふぅ…皆綺麗になったね良かった」
「ありがとう主」
「いえいえ、そろそろご飯にしましょうか」
「もうそんな時間か、僕も手伝うよ」
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