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戦国千夜物語__一夜目
織田軍の家臣、明智光秀。光秀が暗い表情をして、娘、珠の頬を撫でる。
『ごめんな…珠…』儚い笑顔で涙を流す。そして、寝ている珠を置いて向かうべき運命の場所へ
__1582年6月2日天正10年。本能寺の変にて織田信長死す。
だが、光秀は信長を殺しても気持ちは晴れず、瞳には光がない。
『信長様がいない今、私に何が残る…』
そして、織田信長の家臣である羽柴秀吉。秀吉は毛利軍との戦いの最中に本能寺のことを知り
泣き叫んでいた。だが、秀吉の軍師、黒田官兵衛が言う
『赤子のように泣いている暇はありません。今すぐ京に引き返すのです!』
秀吉は戸惑ったが裏切った光秀を倒すべく、涙を拭いて立ち上がる、
『っ…おう!わしがっ…わしが信長様の仇を討つ!』
そして家臣の石田三成の方を向く。『三成!吉継!これから京に引き返す!そのための兵糧と金子を用意せい!』
そして、約10日程で京に引き返し、羽柴軍対明智軍の戦、山崎の戦いが始まった
明智軍は困惑しながらも対抗する。しかし、黒田官兵衛が天王山に布陣したため戦の様子がしっかり見える。そして明智軍がピンチになり友の長宗我部元親が叫ぶ。
『光秀っ!お前は、逃げろ』
水色の髪を揺らし、光秀を押す。
『元親殿っ!待ってくださいっ!』
だが、その声が聞こえていないのか、元親は槍を振り続け敵を倒していた。
そして光秀が馬に乗って逃走していると後ろから竹槍を持った農民に刺される。落武者狩りだ。刀や鎧を取られ背中を刺され意識が朦朧としている。そんな中、突然陽気な声が聞こえてくる。
『よぅ…光秀さんよ…魔王、信長を殺し、そして最後は落武者狩りに遭い亡くなる…変な人生なこったぁ!』
その声の主は松永久秀。彼は織田信長に攻められ茶釜、平蜘蛛と共に爆死したはずなのに
『ま、松永…』『あーあ。ちょっと静かにしとけ、唐突だが、お前はもう明智光秀じゃあねぇ…
新しい名で静かに生きな』
ある日の庭園、珠が小さな白い花を抱えて純粋な幼子のように走っている。
『元親殿〜!見てください!綺麗な花です!』
元親が珠の抱えてきた花を見て微笑む
『おお!これは綺麗な花だな!』
その微笑ましい光景を白髪の若い僧侶は静かに見守るそして
『その笑顔が、永遠に続きますように』