カネダside
学校が終わって放課後になった今、僕は螢光中の校門で友達のタミヤくんを待っている。彼とは同じクラスだけど、先生に呼ばれたらしく校門で待っててと言われた。春の暖かい風が身を包む。早く来ないかな、なんて少しそわそわしていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「カネダ!わりぃ待たせて」
「タミヤくん!ううん、全然大丈夫だよ」
嬉しくて勢いよく振り返ると、息を切らしながら走ってくるタミヤくんがいた。そんなに走らなくても大丈夫なのに、なんて思いつつも、僕のもとへ走ってきてくれる彼に嬉しくなった。
「よし、行こうぜ!」
「うん!」
息を整えたタミヤくんが、こちらを見てはにかんだ。そんな彼につられて元気よく返事しつつ、彼の横を歩く。2人で肩を並べて歩く通学路は、1人で帰るより幾分も楽しい。ほんとはダフも一緒に帰る予定だったけど、前回の居残りをサボった罰として、居残りを追加されたらしい。まぁそれは自業自得だけど…
そんなことで今日は2人で遊ぶことになった。クラブも今日はお休みだし、ダフもいないし、タミヤくんと2人だけで遊ぶのはとても久しぶりな気がする。心做しか鼓動が早く感じた。
「そういやカネダ、どこで遊ぶ?」
「あ、たしかに…どこにしようか、」
顎に手を当て、考える素振りをする。
小学生の頃の遊び場はきまって秘密基地、もとい光クラブだった。でもそこは今やロボット作りの作業場と化していた。だから他に妥当な遊び場が思いつかない。
うーん、と頭を捻らせていると、タミヤくんが何か得策を思いついたように声を上げた。
「あ!じゃあ俺ん家来るか?」
「え、えぇ、!タミヤくんの家?」
「おう!タマコもいるけど大丈夫だろ」
「そ、そうだけど…」
言い淀む僕を不思議に思ったのか、背をかがめて顔を覗き込んでくるタミヤくん。思わず驚いて後ずさってしまった。それにしても、タミヤくんの家に僕なんかがお邪魔するなんて、迷惑じゃないだろか…。
「ぼ、僕なんかがお邪魔していいの、?」
「何言ってんだ?良いに決まってるだろ?」
「え、そ、そうなの?」
「ていうか、昔よく来てただろ?」
「や、まぁ、そうなんだけど…」
タミヤくんの言う通り、小さい頃はダフも含めて、よく3人の家を行き来して遊んでいた。でもそれは光クラブが出来るまでのことだ。互いの家で遊ぶことなんてそれ以来めっきりなくなったから、改めてお邪魔させてもらうことに、ちょっと気恥ずかしくなってしまっていた。それにタマコちゃんもいるなら、余計にお邪魔になっちゃうかもしれないし…
「んー何を思って悩んでるか分かんねぇけどさ、とにかく大丈夫だから、な?」
僕の目を見て微笑むタミヤくん。あぁ、どこまで優しい人なんだろう。彼がそう言ってくれたおかげで、悶々とした気持ちもスっと消え、つられて笑顔になった。
「、!ありがとうタミヤくん!」
「お?元気なったか!じゃあ俺ん家行こうぜ!」
「うん!」
そう言って、また2人で肩を並べて歩き出した。
つづく→
コメント
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うわああああ続きが読みてぇ、、誰か私をとめてくれ
最高すぎます…✨続きが気になって睡眠不足!!