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金椅子というこの訓練校で最も高貴な椅子がある。その椅子に座る事が許されるのはその年最も優秀な訓練生のみ。
「素晴らしい!!模擬戦でいきなりこの組全員を凌駕してしまうとは!!やはり実力は確かなものだ」
授業の一環で行った模擬戦で編入生はいきなり全員をノシてしまった。
教官は大いに喜び編入生を褒めた。
「”金椅子”もう夢ではないな。ヒョウよ」
編入生の名は【ヒョウ】と言った。
「なんなんアイツ…スラム育ちか知らんがすました態度しよって…先生があんなに賞賛する事なんてなかったのに…」
「1回俺らに勝ったけぇって下に見とんじゃあ。あんな基本もできとらん品の無い戦い方で獄卒やってけると思っとんかね。それで俺リズム崩されて今回負けたんじゃし」
「私もあのスタイルに慣れてたらあんなヒョロイの余裕だったんだけどなー」
負けた生徒が言い訳を述べる中、ザンカは素直に彼女を称えた。
その態度に生徒達が顔を見合せ、ザンカは水を飲むためにその場を離れた。
「〜〜〜〜〜〜ッッ!!クソが…クソが…クっっそがァ!!」
怒り任せに頭を壁にぶつけるザンカ。先程さらなる努力を決意した途端の出来事であった。
「まだ俺の努力が足りんかっただけじゃ…俺が1番はじゃ…まだ…負けとらん…!!」
「垂れてるよ、血」
「!」
後ろから声をかけられ驚いて振り返るとそこに居たのはついさっき負かされた相手のヒョウであった。
「こ、こんな所で何しょん!教室戻ったんか思ったわ!」
「別に水飲めるトコ探してた」
「(冷静になれ…冷静に…)それにしてもほんまやるなぁ。入って早々に金椅子候補て」
ザンカは貼り付け笑顔を浮かべ彼女を褒めた。
「あのさ確認なんだけど、金椅子とやらに座ったら何になるの?」
「そりゃあ…獄卒のレジェンドて言われとる人とか中央のお偉いさんとか名が通っとる人が座ってきた椅子じゃけぇな…みんな憧れとるよ。俺の姉は座らんかったらしいけど」
ザンカが金椅子について話す中、ヒョウは少し大きな声でそれを遮った。
「ただの椅子に座って何になんの?凄い人って言われたいだけじゃん。私のセンセイはそんなつまんない物に座るなって言ってたよ」
ヒョウは続けて話す。
「そんなの馬鹿がすることだって。そんなのに座らなくても人は偉くなれるし認められるよ。確かに座れたら今後使えるかもだけど、それが何になんの?」
ヒョウの言葉はザンカの胸に深く突き刺さった。
ヒョウがその場を離れるとザンカはふらふらとした足取りで教室に戻ろうとした矢先、実習場所から声が聞こえてきた。
「あのさぁ…さっきのアレ、何?」
「な、なんだよデルタ!!アレってなんだよ!?」
「アレだよアレ、言い訳」
木を影にして覗くとデルタと言い訳をしていた男子生徒がいた。
「なんだっけ?”基本も出来てない品の無い戦い方” と “リズム崩された” だっけ?笑」
「お、お前も負けただろ!?」
「負けてねぇ。引き分けだ。」
デルタは男子生徒の髪を掴むと無理矢理上を向かせた。
「高貴なお坊ちゃんには分かんねぇかも知んねぇけどさぁ…戦い方に品もクソも無ぇよ。このダボが!!」
「ひっ」
「”体調が悪くて負けた” ?
“スタイルに慣れてたら勝てた” ?
全部都合のいい言い訳に過ぎねぇだろ?じゃあ何だアレか?オレの姐さんは馬鹿だって言いてぇのか?」
「お前の姉さんなんか知らねぇよ!!」
「オレの姐さんはここの卒業生だけどよ金椅子に座んなかったぜ?首席卒業だったのに」
その言葉にザンカは驚いた。ラムレザルがここの卒業生だったのは知ってたが首席卒業だったのは知らなかったのだ。しかも金椅子拒否したとは。
「別によぉ…これだけが全部じゃねぇだろ?掃除屋っつー立派な仕事もあんだよ。センコーはああ言ってたけどよセンコーだって金椅子座れてねぇしなんなら斑獣も倒せねぇんだぞ?」
男子生徒の髪を掴みながら上に持ち上げるデルタ。その顔は怒りと哀れみ、そして嘲笑で充ちていた。
「哀れだなぁ…そんなもんにしかしがみつけねぇなんでよぉ。悲しいなぁ…雑魚はそれしか考えれる脳しか無いなんて。」
男子生徒の髪をパッと離しデルタはキッパリと言いきった。
「くだらねぇもんにしかしがみつけねぇなら死ねば?お前みてぇなつまんねぇやつなんか死ぬしか能がねぇだろうからよ!!」
そう吐き捨てるとデルタは教室へと引きあげていった。
その日から時間は流れ、ザンカ達は武器選定の時を迎えていた。
「様々な武器を扱えてこその獄卒だが、自分に合いかつ、優れた武器を選び取る能力も必要不可欠。慧眼を示すのだ。」
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