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キャラ崩壊しすぎ注意
最近人気のアイドルの可愛らしい曲が耳へ主張してくる店内。
いつもは騒がしい研究所で頭を抱えているホライゾンこと、マリー・ソマーズは今現在気難しいような憎悪を込めたような顔でカフェの柔らかいソファ席へ座っていた。
向かいに座る人造人間ことアッシュは何を考えているのか分からない無表情でマリーを見詰めている。
重々しい雰囲気の中、徐にマリーが話しかけた。
「で、一体何の用なんだい?またアタシを手に掛けようとしてるのかい?」
暫し無言が続き、マリーは紅茶へ手を伸ばそうとした。
いつもは柔らかな瞳から放たれる鋭い眼光はアッシュに冷たく突き刺さる。
「…貴方と、お茶をしたかったのです。」
アッシュが機械混じりの耳障りな声で応える。
マリーの手は紅茶へ届くこと無く止まり、マリーは酷く驚いた。
「は?!あ……あんた、とうとう身体だけじゃなくてプログラムまで逝っちまったのかい?そんなおふざけを聞かせる為にアタシを呼び出したってのかい?!」
レジェンドが、それも犬猿の仲の2人がカフェで喧嘩など大ニュースだと言わんばかりに周囲の人はスマホを向ける。
それすらも鬱陶しいと感じたマリーは大きなため息をつき、徐に立ち上がる。
「あんたのせいで会えなくなったニュートンに会う為の研究でさえ遮るなんて尽く最低最悪なプログラムだね。今すぐにでも紅茶をぶっかけたい所だけど、アタシは急いでるからもう行かせてもらうよ。」
そう吐き捨ててマリーは机の上に2人分のお代を置いてカフェから出ていってしまった。
(何をしているか分かっているの?!彼女はあなたの事が嫌いなのにわざわざお茶に誘って面白くもないジョークを言って怒らせるなんて!ああ私のマリー…ごめんなさい…)
脳内で怒鳴り散らしメソメソと泣き始めたアシュレイに心底面倒だと思う。
「貴方が彼女とお茶をしたいと駄々を捏ねたのでしょう?私はそれを手伝ってあげただけ。我儘も程々にして下さい。」
1人で淡々と話すアッシュに周囲はざわめく。
(私はいつか自身の身体で彼女とお茶したいと言ったのよ!今この状態で彼女に受け入れて貰える訳が無いでしょう?!本当に最悪よ貴方…)
アッシュはため息をついて店員に代金を渡し、急いでレジェンド達が住まう寮へ足を運んだ。
マリーは酷く侮辱されたような気持ちのまま治まらない怒りをギリギリと噛み砕くように歯ぎしりをしながら自身の研究所へ帰ってきた。
「お茶をしたいだって?はっ、馬鹿にするのも大概にしな…」
怒りを治める為にバタフライピーの紅茶を淹れようと湯を沸かす。
ふつふつと水面が揺れてきた湯を見ながら暫しぼうっとする。
途端、研究所の白い扉をノックする音が聞こえた。
トントントン、と丁寧に3回ノックされた事からそれなりの知識のあるものだと考え、マリーは柔らかな笑顔を浮かべ扉を開けた。
「はいはい…って、ワットソンじゃないか!一体どうしたんだい?」
扉を開けた先に居たのはワットソンことナタリー・パケットだった。
「あ、その、こんにちはソマーズ博士…!」
ナタリーは少し照れたような気まずいような雰囲気を纏わせている。
「…何かアタシに話があるようだね?とりあえず入りな!丁度紅茶を飲もうと思っていたところなんだ!」
マリーは笑顔でナタリーを迎え入れた。
ナタリーは謝意を伝えつつ、何度も入った事のある研究所を横目でチラチラと伺う。
どんどん進んでいくマリーの後ろをひよこのように着いて行き、大きなテーブル席へと案内された。
「さ、座って待っててくれ。そうだ、スコーンはどうだい?今朝焼けたばっかりなんだ。少し冷めてはいるが美味しいはずだよ。」
ぐつぐつと沸騰している湯を少しずつティーポットへ注ぎつつナタリーへ問い掛ける。
ナタリーは勿論Yesと答え、スコーンの良い香りが漂うまで暫し考え事をしていた。
そんなナタリーを気にも留めず、マリーはソーサーにのった湯気を漂わせているティーカップと美味しそうな香りのスコーンを両手で運んできた。
もう少しでテーブルというところでナタリーは慌てて立ち上がり、手を出した。
「すみません!手伝います!」
慌てるナタリーにマリーはあははと笑いテーブルに紅茶とスコーンを置いた。
「気にする事はないよ。アタシはなんでも出来るからね!さ、座りな!」
ナタリーは申し訳なさそうに座り、紅茶を飲み始めた。
暫し平和なお茶会が続き、マリーが2つ目のスコーンを手に取った時、徐にマリーが口を開いた。
「で、一体何の用でここへ来たんだい?あ、勿論用が無くちゃ来ちゃいけないって訳じゃないからね!」
ナタリーは少し深刻そうな顔をした。
「ありがとうございます…あの、その…本当に些細な事なんですが…」
マリーは真剣な顔でナタリーを見遣る。
「今日、カフェでソマーズ博士と、えっと…その、アッシュを見てしまって…その、喧嘩している様子でしたけど、大丈夫かなっていうのと、もしかしてあの人造人間と付き合っているのかな〜なんて、あは、あははそんな訳無いわよね、全く私ったら…あは…」
ナタリー自身も困惑しているらしくあまりにもたどたどしい話し方であったが、その言葉はマリーを動揺させるには十分過ぎた。
マリーは苦い顔をしていたが、付き合っている、という言葉が耳に入った途端紅茶を吹いてしまった。
「ぶっ!!!っな、何を言ってるんだい!?アタシがアイツと?!」
大声を出してしまった事を恥じるようにマリーは口を抑え、ナタリーを見遣った。
「す、すみません!ですよね!そんな訳ないですよね!!ソマーズ博士とアッシュが恋仲だなんて…!」
ナタリーが混乱しながらカップを両手で包み込んでいる。
途端、機械混じりの声が聞こえた。
「私とソマーズ博士がなんですって?」
2人の時が止まり、ブリキ人形のような動きでギギギ…と声のした方を振り向いた。
一体いつ入って来ていたのか、テーブルの隣で立っているアッシュがいた。
「あ、あんた…勝手に入って来るんじゃないよ!せめて一言断りを…!!」
マリーは立ち上がり眉を釣り上げる。
アッシュは暫し考え、口を開いた。
「断りさえ入れればここへ来ても良いと?」
ナタリーがあわあわと2人を見遣る。
「な、…はぁ、まあそういう事だね。入れるかどうかは別だけどね。で、一体何の用があって勝手に入って来たんだい?またお茶がしたいなんてふざけた事を言ったらおしりを叩くよ。」
腰に手を当ててアッシュを睨みつける。
((ご褒美(です)ね))
ナタリーとアッシュは寧ろお尻を叩かれたいと考えたが、どちらも口には出さなかった。
「…あなたの事が好きなのです。」
淡々と口にするアッシュにナタリーはとても驚いたが、マリーは腸が煮えくるような怒りを感じた。
「…あんた何言ってんだい?本当にプログラムまで逝っちまったってのかい?アタシの事がそんなに大嫌いで意地悪がしたいのかい。舐め腐るのもいい加減にしな。」
憎悪の感情でマリーの背中には般若が宿り、どす黒い雰囲気を纏ったマリーはふるふると震える拳でアッシュを思い切り殴った。
ガコッという何かが外れる音と金属音が響き、アッシュのプログラムがクラッシュする音が聞こえる。
動かなくなったアッシュを引き摺り、ナタリーに謝罪をしてマリーは研究所の外へ出て行った。
ナタリーは数分の間に色んな出来事が起きすぎて感情が追いついていなかったが、何とか冷静になりよく考えた。
(アッシュが…ソマーズ博士に告白をした?!)
顔が赤くなる。
「許せないわ…!本当は今日私がソマーズ博士に告白するつもりだったのに…!!!」
マリーが居ないことをいい事に大きな声で憤慨する。
「え?」
突然頭上から聞こえた声。
慌てて頭上を見遣ると、そこには驚きと呆れが混じりあった顔のマリーがいた。
「なんだいお前さんまで…アタシをからかうのが今の流行りなのかい?全く…」
酷く窶れたように見えるマリーを見てナタリーは立ち上がり、真っ直ぐな瞳でマリーを見遣った。
「揶揄ってなんていません!私は本当にソマーズ博士が好きなんです!今日告白するつもりだったのも本当です!…でも、ソマーズ博士は息子さんに会うという遂げなければならない約束があるじゃないですか…だから、告白ははなから失敗する前提でしようと思ってました。」
マリーは深く考え込み、顎を指先で弄り始めた。
「ふむ…まぁお前さんはこんな嘘をつく人では無いって分かってるからね…」
マリーは座り直し、ナタリーも座らせた。
「気持ちは有難いけど、やっぱりお前さんと付き合う事はできないね…すまないね。」
申し訳なさそうにするマリーにナタリーは慌てる。
「いっ、いえ!突然変な事を言ってしまってすみませんでした!ただ…一つだけお願いがあるんです…」
マリーは紅茶を1口味わった。
「その…これからはナタリーって呼んでくれませんか…?」
マリーは喜んで了承し、何事も無かったかのように振舞った。
しかし内心動揺していた。
(ナタリーはともかく、なんでアッシュはアタシに告白なんてしたんだい…全く、疲れる…)
その後は軽く談笑し、ナタリーは頭を下げて研究所を後にした。
(絶対にマリーは私のモノにするのよ…あんな鉄クズに奪われてたまりますか…待ってなさい、鉄クズめ。)
(絶対に彼女は私のモノにします。奪われないように早急に捕えなければ。(私のモノよ!!))