〈nakamu side〉
きりやんの梔子色の愛も、しゃけの蓬色の愛も
スマイルの至極色の愛もいろんな愛の存在に触れた。
この世の愛に全く同じ形なものはないんだ
みんなそれぞれがそれぞれなものを持っている
俺のこれも、最初から話せていたのならこんなことにならなかったのかもしれない。認めてもらえていたのかもしれない
あっちで待ってる
頭の中で響くその声にそれは従っていいのだろうか、俺はそっちに行ってもいいのだろうか
ひとを殺めてしまった俺に、俺という存在があることにより無駄な責任を彼らに押し付けてしまった俺に今後何ができるだろう。
いや、そんなこと考えてる暇があるならちゃんと償うべきだ。今までのこと、これからのこと
俺は世間なんかそっちのけにして
俺に従って生きていくことにした。
Nk 「んっ、、は」
Nk 「、、みんな?」
久しぶりに見た現世はとても眩しくてぼやけていた
ボロボロになった自分の体を見てその経緯や状況なんてどうでもよく、ようやく自分も傷が負えたのかと思うと何だか少し嬉しかった。
あまりにも捻くれている自分の感性に心底呆れるが、これも俺の自己同一性で俺の個性であるとみんなが認めてくれるという安心感が俺を落ち着かせた
あまりの疲労にそのまま天井を見上げた
タッタッタッタッ、
ドウッ
Nk 「ゔっ、」
Kr 「なか む”っ、、、」
そうして俺の名前をよんで 鼻水をだばだば流して顔をぐちゃぐちゃにしながらおれに抱きついてきたきりやんだった
でもその体はかなり震えていて、きっと相当精神的にも負担をかけていたのだろうと思うと胸が苦しくなった
Sh 「ぐえっ、、うぐっ、、」
Sm 「、、、」グズッ
泣きすぎて苦しそうなシャークんと静かに涙を流すスマイルもきりやんの後を追って俺の元へ来た。
スマイルは無言で俺の傷に治療薬をかける
これがまあ、沁みる沁みる
Nk 「スマイル、これ痛いよ」
Sm 「うるせぇ、罰だ」ズビッ
喉が掠れていてカサカサとしか発声はできなかったが、それでもよかった
彼らと話せるこの状況がとても尊く暖かい。
Kn 「なかむのばか。」
そう言いながら涙を落とす彼はぽかぽかと俺を叩き始めた
だんだんと強くなる拳に少し戸惑いながらも、これも罰という愛かと思い受け入れた。
Kn 「ばか、、ばかっ、、!」
語彙力がなくなっていても彼の伝えたいこと、
みんなの想いは俺の中に深く伝わっていた
俺にすり寄って号泣するきりやん
泣きすぎて過呼吸になりかけているシャークん
静かに涙を流しながら俺に治療薬をかけているスマイル
ぼかぼかと俺を殴り続けるきんとき
なんともカオスな状況だったがそれすらも愛おしかった
Nk 「ありがと」
nk 「なに勝手に終わろうとしてんの」
やっとの再会に喜んでいたのに邪魔が入ってきた。お前と話すことはもうないんだよ
俺は俺の居場所で己を貫くんだ。俺は俺を愛してるしみんなのことも愛している。
それは言葉では形取られない無限のもの
でもそれに気づかせてくれたお前にも感謝しているよ。
nk 「君は君の深い深い根の部分を忘れてるよ僕を忘れないで、」
僕を愛して。
暗闇にか細く響く彼の声はあまりにも寂しく孤独だった。
そうか、お前も
そんな無駄な気持ち抱くんじゃなかった
nk 「忘れてるよね、君の愛はそんなものじゃ足りない。」
nk 「君の愛はこんな生ぬるいものじゃないでしょ?」
Nk 「いいや、今の俺はこれを大切にするんだ。」
nk 「それじゃあ彼はどう説明するのさ」
彼が指差す方を見て背筋が凍る
決して忘れてたわけではなかった。 ただ俺の本当の部分が暴かれてる恐ろしさがあった
人はミステリアスな部分があるからこそ人間としていられると思う。 心のうちで思っていること、主観的目線で感じたこと。意識して秘密にしているものとは違う本能的な何か
そう、この感情はしまったまま棚の奥底で他の感情と紛れこませて眠らせておこうとしていたもの。
しかし、俺の感情がみんなの前で露わになったことで必然的にその感情すらも隠せなくなってしまっていた。 しかも他の感情を外に出してしまったため、実質俺の中にはその邪悪な感情のみがただただ膨張していくだけとなっていたのだ。
俺はそれをみんなからもらった愛情で必死に隠そうとしていた。紛らわせようとしていた
Nk 「あれは、本当の俺じゃない」
図星でしかなかった。目を背ける俺に彼はたたみかけるように続けて俺に話しかける
nk 「これも君の一部だ。背けても逃げることはできない」
nk 「全てを受け入れるのが本当の愛だろ」
違うの?と距離を詰めてくる彼に反論はできるわけがなかった。だって俺もそうだから
好きなところはもちろん、欠点すらもとことん大切にする。そうすることで見出せるのが愛だと、そう思っているから
愛には様々なカタチがあるがこれもいわば一つの解であることには間違いはない
それでも俺が目を背けたいその感情。
あまりにも汚くて自分すらも受け入れられない
この想いは、、、
nk 「あれを見ればわかるよね、、?」
そこには横たえる大きな背中にそれよりも大きな紅色の水たまりが広がっていた
そう、俺の愛はあんなに優しいものじゃないんだ。 隠していたはずの感情がどんどんと込み上げてくる。
いやだ、俺は、、、
どんどんと上がってくるこの水位にのまれたくないと必死に足掻いている
おれは、、
俺は、
俺は。
そうか、、、。
俺はみんなを、みんなのことを
次回、最終話
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