⚠️ワンクッション⚠️
「 じゃ、俺はこっちなんで!おやすみなさい!よく寝て下さいね! 」
元気よく手を振りながら僕と反対側の道へ歩いていった。
僕もそのまま家へ帰っていった。
_翌日 ⚔️の部屋_
翌日の朝はあまりいい目覚めとは言えなかった。昨日、あんなことが起こってしまったから。
とはいえ、今日は休日なのだ。勉強で切羽詰まっていたし、息抜きにでも散歩に行こう。そう思った。
ただの散歩なので、ラフな格好で外に出た。
「 …はぁ、 」
ため息が出てしまう。
やはり立ち直るのには少し時間がかかる。まぁ、いつかは収まるだろう。
「…ッ!!」
少し散歩して少し経った頃、見慣れた三人が横並びで歩いていた。
何故か心拍数はどんどん上がってきて、終いには過呼吸を起こしてその場で座り込んでしまった。
やばい、こっから離れなければ。
そう思うが、上手く立ち上がれない。
「 …あれ、もちさん? 」
そうふわっちが声を出す。
「 ッかひゅ、ッ…けほ、ッ、ケホ、 」
僕は驚いてしまってむせ始めてしまった。逃げなきゃ、そう思う一心で足に鞭を打ち、立ち上がった。
「 けほ、ッ…んぐ、ッ…ダメだッ… 」
だけど僕はあっという間に3人に追いつかれた。
今は3人が僕の脅威でもあるし、最も近寄り難い。 前はあんなに仲良く過ごしてたのに。
昨日のあの出来事だけで、見ただけて避けてしまう様になってしまった。
「 …何もちさんが被害者ヅラしてるんですか。 」
「 ッ…!? 」
「 ちょっ、甲斐田… 」
完全に僕の心のどこかにあった”許されるかも”という感情は打ち消された。
ただ、少し甲斐田くんに違和感を覚えた。
ふわっちと社長が引くほどな発言をガチでする事はあまりなかったからだ。
「 …でも確かに…甲斐田さんの言う通りです。貴方が被害者ヅラしていい立場じゃないんですよ。 」
「 ッ…しゃちょ…? 」
続いて社長も。
「 もちさんなんて俺らの足を引っ張る存在でしかないんで、さっさといなくなってくれません? 」
そしてふわっちも。
完全にへし折られた僕の心。3人にこんな事を言われるなんて生きている中でちっとも思わなかった。
そんな中で、1番会いたくない奴が来る。
「 あっ、皆さん…!こんなとこでどうしたんですか…? 」
例のマネージャー…こんなマヌケで格好がつかない所をよりにもよってこんなマネージャーに見られるなんて。
「 そんな子といると、甲斐田さん達が穢れちゃいますよ? 」
「 それもそっすね〜。やっぱゆーちゃんは賢いなぁ? 」
そう言ってふわっちがマネージャーの頭をポンポン撫でる。
「 あっ、不破さん!僕も結衣ちゃんの頭撫でたいです! 」
「 甲斐田さんも良いですよ?ふふっ… 」
そんな風に皆がマネージャーさんにいつもは聞かない様な甘い声で甘えている。
普通に気持ち悪いと思ってしまった。
『 じゃ、行きましょう?皆さん… 』
マネージャーさんを囲み皆で去っていった。僕は3人に違和感しか持てなかった。
だけど、3人が吐いた言葉は僕の心に深く刺さってそれどころでは無い。『被害者ヅラ』、『いなくなって』、そして1番は『足を引っ張る存在』。
今まで仲良くやってきた3人からそんな事言われると来るものがある。
「 足を引っ張る存在…か… 」
皆んなにとって僕はどんな存在だったのか。邪魔だったの?僕は。
負の感情がどんどん募っていって、最終的には皆の前から一時的に消えた方がいいという結論に落ち着いた。
ガっくんからだって僕は要らない存在だったんじゃないか?迷惑をかけているのは毎回僕だったかもしれない。
僕は…僕は何の為ににじさんじに___
「 …ッは… 」
『 おい剣持授業中だぞ〜 』
…?あれ、僕この土日何してたっけ…
「 すみません… 」
若干腕に痛みがある。なんだ、?この夢にいるようなふわふわした感覚は…
休日、何があったのか、何をしていたのかぼんやりしか思い出せない。
〘 痛いけど…痛いって思っていた方が落ち着く… 〙
〘 ふーッ…ふーッ… 〙
明らかに僕が何かをしている。腕の痛みと関係があるのだろうか?
『 …この問題を…剣持。答えてみろ。』
「 、あっ…えーと…12分の… 」
授業が終わった後、トイレに行き包帯を外した。包帯が赤黒く滲んでいる。分かりやすいくらいに。
パラパラと外し終える。
「 …っぷ… 」
無数の切り傷が固まった後。結構な数の痕があり、授業中少しふらっとしてしまったのはこの傷による貧血なのだろう。
「 気持ち悪い…こんなのを見られたらまた… 」
『 そんなんで許されると思っているんですか? 』
『 結局は弱いんだね。もちさん。 』
『 私達は心配なんかしませんよ。だって貴方が勝手にしてるんですから。…私達のせい?何言ってるんですか。私達を貴方の都合で巻き込まないでください。 』
「 あ”ぁ”あ”あ”ッ!!!うるさいッ!!うるさいっ”!!! 」
「なんだよっ…寄って集って!!!」
一時的はそう叫び狂った。
だけれど、冷静になるにつれて何をしているんだろう、と我に返っていく
時計を見るともうすぐで授業が始まる。行かなきゃ。
行かなきゃ。
「 …まぁ、収録はいつも通りやらなきゃですもんね。 」
「 あんまり近寄らんといて。 」
そういう彼らの傍にはいつも
『 …あははっ、w 』
あのマネージャーがいる。
休憩時間は毎回ひとりぼっち。ひとりぼっちどころか軽い虐めみたいなのを受けている。
「 あ、ごめ〜ん、手ェ滑っちゃったわ〜 」
台本に広がるコーヒー
「 あれ、どうしました?持ち物がどうかしました? 」
汚く汚された持ち物
「 こっち来ないでくださいよ!もちさんのせいで僕らが怪我したらどうするんですか?! 」
軽い差別
ずっと傍で微笑んでるマネージャー。
彼らは、そんな事をする人達じゃない。絶対にそう思っていた。
「 …ッ…ぅう、ッ、”!! 」
家に帰れば自分の部屋に閉じこもって、ご飯も口にしなかった。食べたら吐いてしまいそうだったから。
自傷行為が気付けば日課になっている。
「 …んぐ、”…ぅ”ッ… 」
血まみれのカッターを拭くのもめんどくさいくらい、終わった後はだるかった。
睡眠薬を飲んで、机にもたれかかってねる…そんな日々を繰り返している。
夢も僕の事を許してはくれない。ろふまおメンバーの顔が過ぎる度、魘されては起きて、自己嫌悪がすごくて、また疲れて寝る。
十分な睡眠が取れてもないし、勉強もしていない。
朝起きてカレンダーを見る。
〘 11/29三学期 期末テスト1日目 〙
携帯で今日の日付を見る。
〘 11⁄27 5:56 〙
まるで板挟みだ。期末テストがあるだなんて…まともに勉強が出来ていない。
どうしようと迷う間もなく、すぐに答えは出てくる。
『 無理 』
「 …もういいや。 」
僕の中で何かがちぎれた。
もう、こんな事で自分を追い込んでしまうくらいなら
何もしない。
学校にも行かない。
食べ物も食べない。
収録にも行かない。
配信なんてしない。
…これでいい。僕は、僕という形を保たれていればそれでいい。