テラーノベル
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シグマが武装探偵社に入ってから数週間。
少しずつ探偵社にも慣れ始めていた。
「おはようございます。」
朝、事務所に入ると、既に乱歩が菓子の袋を大量に広げていた。
「おはよう、シグマさん」
敦が笑顔で手を振る。
以前なら緊張していたシグマも、今では自然に返事ができるようになっていた。
そんな時だった。
事務所の扉が勢いよく開く。
「助けてください!」
入ってきたのは若い女性だった。
彼女は青ざめた顔で言う。
「弟が……突然いなくなったんです!」
国木田がすぐに事情を聞き始める。
話によると、弟は三日前に失踪した。
警察にも届けたが手掛かりはない。
ただ一つ奇妙なのは、部屋に「観覧車」という言葉だけが残されていたことだった。
「観覧車?」
敦が首を傾げる。
「遊園地かな……。」
「違う。」
乱歩が即座に言った。
全員が乱歩を見る。
「これは暗号だ。」
乱歩は机に地図を広げた。
「最近、港湾地区で若者の失踪が続いている。犯人たちは廃倉庫を拠点にしているんだよ。」
「もう分かったんですか!?」
敦が驚く。
「超推理だからね。」
乱歩は当然のように言った。
こうして敦とシグマは港へ向かうことになった。
夕方。
二人は古い倉庫街に到着した。
人気はない。
だが妙な気配があった。
「誰かいるな。」
シグマが呟く。
その瞬間。
物陰から黒服の男たちが現れた。
「探偵社か。」
「見つかった!」
敦が構える。
男たちは一斉に襲いかかってきた。
敦が虎の脚で飛び込み、次々と敵を倒していく。
しかし一人の男が裏口から逃げ出した。
「待て!」
シグマは反射的に追いかけた。
細い路地を抜けた先で、男に追いつく。
男はナイフを向けた。
「近付くな!」
シグマは足を止める。
正面から戦うのは得意ではない。
だが逃がすわけにもいかなかった。
男が飛びかかる。
その瞬間、シグマは男の手首を掴んだ。
能力が発動する。
膨大な情報が流れ込んだ。
男の名前。
仲間の数。
失踪者たちの居場所。
そして――黒幕。
「なるほど。」
シグマは目を見開いた。
男が動揺した隙に敦が到着し、拘束する。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ」
シグマは息を整えた。
「失踪者たちは地下にいる。」
「え?」
「それと……黒幕も分かった。」
地下施設には、失踪していた若者たちが監禁されていた。
全員無事だった。
依頼人の弟もいる。
救出された少年は泣きながら姉に抱きついた。
その光景を見て、シグマは少し胸が温かくなった。
かつての自分なら理解できなかった感情だった。
夜。
探偵社へ戻る。
依頼は無事解決した。
「シグマ君。」
太宰が声を掛ける。
「はい?」
「君、変わったね。」
シグマは首を傾げた。
「そうか?」
「うん。前は誰も信じていなかった。」
太宰は笑う。
「でも今は違う。」
シグマは窓の外を見る。
探偵社の灯り。
仲間たちの笑い声。
居場所。
その言葉が頭に浮かぶ。
「……そうかもな。」
その時。
突然、事務所の電話が鳴った。
国木田が受話器を取る。
だが数秒後、顔色が変わった。
「何だと……?」
全員が振り返る。
国木田は静かに言った。
「大変だ。」
「どうしたんですか?」
敦が聞く。
「港で大規模な異能事件が発生した。」
事務所の空気が一瞬で張り詰める。
そして国木田は続けた。
「しかも現場には――ポートマフィアがいる。」
シグマの表情が固まった。
次の事件は、これまでより遥かに危険なものになりそうだった。
コメント
1件
シグマが探偵社に馴染んできてる感じがすごく伝わってきて、ほっこりしました🥀最初の「おはようございます」が自然に出てくるようになったの、小さな成長だけどじんわり来ますね…。乱歩の「超推理」であっさり解決したのもさすがでかっこよかったです! 敦とシグマのペアで現場に向かう流れも良かったし、シグマの能力が初めて本格的に使われた場面は「なるほど…」って鳥肌立ちました。最後の太宰の「変わったね」っていうセリフ、めっちゃ染みます…。あの言葉、シグマの心にちゃんと届いたんだろうな。 でも最後の電話で一気に空気が変わって、次の事件が気になりすぎます…。ポートマフィア出てくるの、緊張するけど楽しみです🌙