【────視点】
どうしよう、どうしよう…
────さんが処刑されちゃった…
今思えば、僕は────さんがいないと何も出来なかったな。
昔から僕は何に対しても中途半端な性格で、
中途半端な優しさのせいで、────
さん困らせちゃったし
げんさんがあんなになっちゃったのも、特に理由もなくさやさんを殺っちゃった僕のせいで。
…あーあ、僕って本当になんの為に生きてるんだろ、笑
僕はただ、みんなといつも通りの日常を過ごしたいだけなんだ。
…そういえば、毎晩誰かを殺さないといけないって訳では無かったよな。
────さんには申し訳ないけど、僕はこれ以上仲間を手にかけたくないんだ。
どうか、今までの日常に戻れますように。
【げん視点】
昨晩、僕の妻、さやが人狼によって殺された。
そして、僕はさやの悲鳴をたまたま聞いてしまった。
嘘だと思いたかった。
でも、さやの声を聞き間違えるはずがない。
早朝、誰もいない間にさやの部屋をこっそり覗いた。
そこには、見るも無惨な妻の死体が転がっていた。
僕はショックと絶望で、何も出来なかった。
ガチャ
自室から出て、リビングの隅に目をやる。
そこには、夕方の投票によって無惨な死を遂げた(事についてはよこたくさんが部屋の扉越しに伝えてくれた)ゆはらの死体が横たわっている。
この部屋には、死者を弔うためのものが何も無く、放置するしかないためくじらさんとゆしらさんの部屋からは腐敗臭が漂っていた。
僕はゆはらの懐を漁る。
あった。投票時に振り回していたナイフだ。
ナイフを手に持ち、ゆはらの身体にナイフを突き刺す。何回も、何回も。
こんなことをしてもさやを失った悲しみは永遠に消えないのに、どうしてこんなにも醜く足掻いてしまうのだろう。
夫の役目として、妻を周りから守ることは当たり前なのに。
疲れを感じ、手を止める。
ゆはらの身体は、死体とも呼べない、ただの肉塊になっていた。
思わず、笑みが零れる。
さやは、こんな僕を見たらどう思うかな。
気持ち悪いって、突き放すかな。
いや、さやは僕よりもずーっと優しいから、きっと一緒に居てくれる。
だって、僕たちはほとんどの時間を共に過ごしてきたのだから。
そう、僕たちは本当に、いつも一緒にいた。
それは、どんな状況下に置かれようとも変わらない。
さやを1人ぼっちになんて、させないから。
コメント
2件
更新ありがとうございます! まずい…げんさんが少し堕ちている…!