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僅(わず)か十数分後、ずらりと並んでいた被試験者五名は、揃って地に伏せ肩で激しい呼吸を繰り返し、頭を下げたままで全身から絶望を滲み出していた。
繰り返すが受験者は五名だ。
五名がレイブに挑み、呼吸困難になるまで追い込まれるのに要した時間が僅かに十数分なのである。
一人平均三分弱、皆さんに判り易く言うとワンラウンド以下なのだ。
しかも、選手交代に伴う看病、若(も)しくは延命、救護処置にプラスしてヨロシクタイム、所謂(いわゆる)ご挨拶、互いに礼、そんな時間も含めた上でのシングルラウンドで決着したと言う事になる。
巨大な雌獅子、キャス・パリーグの治療魔法を受けて一命を取り留めた感じの生徒達の内、最初に進み出て最長の五分程度粘った男子、ポッパが代表してレイブに言う。
「御見それしていました、こ、降参です、参りました…… 自分達の未熟さを嫌と言うほど思い知る事が出来ちゃいましたぁ! あ、ありがとうございますぅ」
レイブは今更ながら体を解すような柔軟体操をしながら答える、ストレッチと言うより力強いスクラッチに応える各種関節のコキコキ音も心地良い。
「うん、どういたしまして、んじゃあ全員さっさと立ち上がってくれよ! なにしろ、ここからが本番だからねー♪」
「「「「「え?」」」」」
「ここまではどれ位動けるかを見させて貰ったんだよ! ここからは現実のモンスターの攻撃を模して行くからね♪ 本気でやらなきゃ死んじゃうぞ、君達? じゃあ行くぞ! まずは牛の魔物、ホーンデビルの群れからだ! ンモオォー!」
「「「「「う、ウアアアァァァーッ!」」」」」
必死に逃げ惑う生徒達を追い掛け回すレイブは、言葉の通り牛、豚、羊、鶏から始まって、犬、猫、げっ歯類等の愛玩動物系の魔物だけでなく、ヴァイパーやリザードの爬虫類、イモリやカエルをベースにした両生類、ニッチな所では昆虫や植物性の魔物、甲虫の動きや食虫植物っぽい魔物の挙動を模して襲い掛かり続けるのであった、その時間、実に二時間を優に越えていたのである。
結構な長時間にも拘らず、観客の殆(ほとん)どは息を呑みつつそのやり取りに、魅了でもされたかの様に引き込まれ、教授や準教、助教の面々は一々深い頷きを持ちつつ注視を続けていたのだ。
怪我を負う度にキャス・パリーグやカゲト、それ以外にもオーディエンスで集まった魔獣達から降り注ぎ続ける『回復(ヒール)』によって、無理やり強引に生かされてきた少年少女の目は脅えきっていた。
憔悴しきった彼等に向けてレイブは言う。
「少しは判ったかな? 対人、対獣奴、対闘竜と全く違うんだよ、モンスターの攻撃や回避行動ってヤツはね、大切なのは距離を置く事、十二分な安全マージンを意識する事、いざと言う時救護してくれる仲間との協力体制を確立する事、後は得て不得手に拘らないで出来る限り遠距離での攻撃手段を手に入れる事、ここら辺りがこれから生き残っていけるかあっさり死んじゃうかの分かれ目になるんだよ、判るかい?」
「「「「「…………」」」」」