テラーノベル
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聞いていたのか居ないのかは定かでは無いが、生徒達は無言のままレイブのギラギラした瞳に魅入られてしまっているかのような頷きを返し続けている。
その姿を満足そうに見たレイブは、全身に纏っていた剣呑な雰囲気を消失させて、普段通りの朴訥(ぼくとつ)とした笑顔を浮かべて言葉を続ける。
「判ってくれたんなら良かったよ、良いかい? 命は一つしか無いんだから大切にしなくちゃいけない! 当たり前の事みたいだけど、実際戦いの場に出るとコレが案外難しいんだよ? 意地になったり興奮しちゃったりしてるからね…… だから戦いに望む前や平時に少しで良いから考えてくれないかな、自分が死んだら背後で守っている人たちも死んでしまう、その事をね、逃げても良い、みっともなくても良い、生き延びて周りの人達を守り続ける、それが一番勇気がいる行動だと俺は思うんだ…… 判ってくれるかな?」
「レイブさん……」
受験生のリーダーらしいポッパ君が呟くと、他の生徒たちも大きく頷いて同意を示した。
五人全員が薄っすら涙を浮かべている姿から、照れ臭そうに視線を外したレイブは更に言葉を続ける。
「モンスターの中には色々なスキル、凶暴な技を使ってくる種も多いんだ! って事で、次は俺から君たちに向けて猛毒やデバフの代わりに致死量の魔力を込めて攻撃してみるよ! 上手く避けないと石化すると思うから確り頼むよ! 死なないでね、なに、君たちなら大丈夫さっ♪」
言い終えると同時に全身から禍々しい紫のオーラを発生させたレイブは、両の拳に一層濃密な魔力の奔流を漲らせながらニカッ! 笑ってみせた。
「「「「「ひっ、ひいぃぃっ!」」」」」
「ははははっ」
「お待ちレイブっ! そこまでだよっ!」
「むっ?」
腰でも抜かしたのか、揃って這って逃げようとする学生たちの背後に向けて、一歩踏み出した所で狂人レイブを引き止めた、いや、引き止めて思い止まらせてくれたのは学院長、ズィナミの大きな声であった。
ゆっくりとした動作で首だけを動かしたレイブは、口元からも紫のオーラ、魔力を漏らしながらズィナミに問う。
「何です学院長…… アナタが言ったんでしょう? この子達の試験をしろと…… 今更、俺のやり方が気に入らないとでも? それは又、随分勝手な言い分じゃあないですかぁ?」
ズィナミも真紅のオーラを体に纏いながら答える、因みに角は四本に増えていた。
「勝手だろうが何だろうがこれ以上は余計、そう言うことだよレイブ! まだ若い、これからって子供たちにはこれ以上は無用の長物! このアタシ、鬼王ズィナミ・ヴァーズがそう決めたんだ! 考えてもご覧よレイブ、サリトだけじゃない、世界中からニンゲンが減り続けている現状で、只でさえなり手が少ない『魔術師』志願の若者を選抜試験で危険に曝すなんてナンセンスの極みじゃないかい! 生かして活かす! 今はそう言う時代なんだろ? 違うかい?」
「なるほど…… 流石は学院長だ、上手い言い方でご自分の詭弁を誤魔化す術に長けていらっしゃる、なるほどなるほど」
丁寧な物言いとは裏腹に、顎を上げて見下ろす様な視線を注ぐレイブに、反して上目で睨んでいたズィナミは言う。
「ここは学院、修練所なんだよ! 今から強くなる可能性のある子供に道を指し示す場所なんだ! 試験で絶望させて道を断ち切らせる場所じゃないんだっ! そこから指導する為の場所なんだよ、レイブ!」
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