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ひと足先に食べ終えていた人たちがこぞって俺とシャークんを見ている
視線を感じる
ハキハキとした声に乗せられて仕事が割り振られていく
始めに
東部農業
そう言った後に続く複数の名前
静かなまま続くそれに皆が耳を傾けていた
最後に
“中央”幹部
シャークん
きんとき
以上。
平坦に呼ばれたその名前
俺は先のことを考えることはできなかった
これで全員、
呼ばれていない人、聞き逃してしまった人は後から聞きにきて
今日、ここでお昼を食べたらそれで終わり
ここでの生活は終わりで各地の孤児院に移動になる
午前中、自由時間にするから悔いのないように友達と楽しんで
優しく、それでも悲しそうに微笑みその人は部屋から出た
今日、か
シャークんでも寂しいとか思うの?
でもとか言うな
普通に先が見えないから不安なだけだ
そう言われて思わず驚く
シャークんにある感情で新しいものを知った気がしたから
そんな拍子抜けした顔すんなよ
お前こそいいのか?
いいも悪いも否定権ないものなんでしょ?
何か思う暇さえなくここを出ていくんだろうね
まぁそうだろうなぁ
そもそも俺はここにいた期間が長めだけどお前は短いんだよな
“中央”にぶち込むなんてそうそうないぜ
何言ったんだよ
そう言われて少し首を傾げてから気づく
あ、そういうこと?
名前をくれたあの人との会話で決まったのだと悟る
遠回しなのに決まりきった流れのようなものの感覚はこれだったのだ
そうだよ
俺もあれの決め方は全くわかってないけどな
全員に聞けばわかるもんなのかも謎
んー
大したこと言った記憶もないのにな
まぁ何かあっち側に触れたもんがあったんだろうな
考えたって仕方ねぇ
さっさと部屋片付けてゲームだけしようぜ
次、いつできるかわからないからな
いいね、やろう
そう目を合わせてにこりと笑った
あっという間に半日はすぎ昼食の時間となっていた
数名目を晴らした子がいたり逆に嬉々としていて感情が滲み出ている子もいる
そんな中、ふとした時に気づく視線はシャークんにもきっとある
静かに黙々と食べていた
静かに
静かに
食べたあと、複数人が同タイミングで送り出された
手を握り合うもの
中に残ったものと手を振り続けるもの
目を伏せて顔を上げないもの
色々な人がいる
そのまま俺とシャークんは全員を見送った
さぁといつもの人が口を開く
ごめんね
何故か謝られて2人で眉を顰める
その瞬間体が浮いた
はっ?!
わっ
こんにちはー!
昨日ぶり!
2人とも
俺らを抱え上げながらそう言うのは夜に出会った大きな人と同じ声だ
本当にごめんなさい
昨日手を煩わせてしまったようで
全然!
気にしてないから大丈夫!
荷物の準備はできてる?2人とも
…..
あまりのスピードとその人の見かけに2人で固まってしまう
ぶるーく様落ち着いて….w
少し笑われながら言われてはっとしたその人は俺らを下ろした
ごめんごめん
まぁ僕のことは移動しながら話すから
歩きだけど構わないね?
見送った全員が荷馬車のようなものに乗せられて行ったが俺たちは歩き?
そう思ったのはシャークんものようで2人で顔を見合わせる
荷物はお送りしますからね
そう言ったその人は俺たちに両掌を向ける
先ほどから別れを告げる時にお互いの両掌を合わせていたのを思い出してみよう見真似でする
頑張ってね
ずっとここからエールを送り続けるから
そう言っていた
昨日は暗くてよく顔が見えなかったけれど2人ともいい顔してるんじゃん?
そういう人はにこにこと笑っている
あぁ、僕はぶるーくって言うんだけど〜
聞いたことはある?
いや….
シャークんが怪しむように返事をした
僕はスマイルと同じ幹部だよ
シャークんのお世話係は僕になるらしいからよろしくね
……
心を開く気がないのか、聞いていないのか
シャークんは目線すら変えずに歩いている
気まずい空気になりかけて俺は口を開いた
だってこの声とこの話し方が良い人でしかないと思ったから
僕のお世話係は…?
あぁ、きんときはきりやんが見るって!
スマイルも時々見てくれるっぽい
2人に聞きたかったんだけどさ?
ここに行くってなってどう思った?
なんで俺たちがって思うに決まってるだろ
そうぶっきらぼうにいうシャークんは超不機嫌だ
そっかそっか
そうだよね〜
うーん
恐怖心とかはなかった?
もっと安全なとこにいたいな、とか思わない?
思わない
中央のがよほど安心だろ
いざとなれば周りの農村が肉壁だ
お前らはそれすらも理解せずに中央にいるのか
不機嫌どころではない
そう思った
ぶるーくも目を細めてシャークんを見ている
そしてそっと口を開いた
そうだね
僕にもわかっていないことがあるかもしれない
でも、僕が君たちに教えるべきことの方が多そうだ
そう言ってまた柔らかく笑う
この人の心はまだ見えない
本当に疲れた
本当に
そう思った時目の前に現れた街に少し前の記憶が蘇る
中央…..
その通り
もう少しだからね
2人とも頑張って歩いて
シャークんはまだどこか表情が暗い
それでも俺は前を向いていた
いや正確にいえば違うが
きょろきょろと見渡す俺は記憶を呼び戻していた
あそこは話を聞かせてくれた仕立て屋さん
あっちは本屋さんだ
この国に来てから全ての人の声と言葉がよく心に残ると思っていた
今まさにその言葉たちが記憶と一緒に再び流れる
きんとき、
楽しそうだね
ここにはいい記憶ばかりあるので
そう言った俺を見てぶるーくも笑う
それはいいね
君たちに僕のことはたくさん伝えられたけど、中央のことはまだまだだね
まぁそれは幹部全員で教えるから楽しみに
はい
道中、あれ以降シャークんは口を開かなかった
甘い香り
果てしなく感じる
“心”
重い深い
“心”
暖かく輪郭のない
“心”
底もない尽きることもない
“心”
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もちもち丸ののの