テラーノベル
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ガチャリと音を立てて、玄関のドアは開く。真っ先に出迎えたのは、兄である如月零だ。
「透花~おかえり~!僕透花がいなくて死にそうだったよぉ」
泣きそうな目をしながら俺に抱き着いてくる兄は、相変わらずキモかった。
「キモイ。離れろ。それよりも客だ。茶だせ、茶」
「え?あの透花に友達?嘘だー。ただでさえコミュニケーションとるの下手くそなのにぃ」
「そんなことない。ほらお前ら出てこい」
そういうと後ろから気まずそうに二人が出てきた。
「こっちが亮。んで、こっちが里見だ」
「ちっす」
「よろしくね、透花くんのお兄さん!」
「これは…今日はお祝いだね!透花が初めて友達作った日!」
「黙れ。こいつらが鬱陶しいから友達になってやっただけだ。勘違いすんな」
「酷いなぁ。僕たちは一度も君のことを友達なんて呼んでないよ。君が言い出したんだ!」
「じゃあ友達じゃないのか?」
少し悲しそうな顔をしながら言うと、零が里見を睨みつける。
「い、いや、友達じゃなくないよ!友達だよ~。いやだなぁ、ちょっといじっただけじゃないか」
「まあそうだよね。立ち話もなんだし、中においでよ!」
「は~い!」
里見は堂々と家の中でへ入っていく。ここはお前の家じゃないぞと思う気持ちを抑えながらも俺たちは里見についていった。
「まあ…くつろいでくれ。兄貴がいまお茶作ってるから」
「ありがと♪」
「随分と広い家だな」
「一階建てでな。前に兄貴が金貯めて買ったんだよ」
「え!お兄さん一人で!?」
「おう。ああみえてもちゃんと成人してるしな」
「成人してても一階建てを買うのはきついと思うけど…」
「何々みんな僕が気になるの~?」
零はお茶をお盆に乗せて戻ってきた。どうやら俺たちが丁度零の話をしていたところを聞いていたみたいだ。
「お兄さん!この家を買ったって本当なの?」
「え?嘘ではないよ」
「嘘ではないって…気になる言い方やめてよ~」
「家を買ったっていうか、この土地を買って家を建てたっていうか」
「また始まった。兄貴の自慢話」
「え?どういうこと!?土地も買って自分で家を建てたってこと?」
「自分では建ててないよ?ちゃんと業者さんはとったからね」
「一体いくらかかるんだ…」
「実は僕、弁護士やってるんだよね」
「弁護士!?じゃあ、法律とか全部覚えてるの?」
「もちろんだよ!それで、弁護士って結構儲かるからね」
「弁護士がそれ言っちゃって大丈夫なの?」
「まあまあ、いつも言ってることだから気にしなくても大丈夫」
「そろそろやめようぜ?この話。兄貴のことばっかり話してるじゃねえか」
「ごめんね~透花の話ししないと」
「聞きたーい!会ったばかりだから、もっと透花くんのこと知りたい!」
「俺も、ちょっと興味ある」
「なんだお前ら、人のプライバシーだぞ!勝手に踏み込むな」
「透花は中学生のころまで全く友達がいなくてねー__」
「兄貴も、勝手に話し始めてんじゃねーよ!」
ったくこいつらは…話し終わったら覚えとけよ…
「友達はいなかったんだけど、成績はちょー良くて。毎回下駄箱の中に手紙入ってたり、喧嘩売られたりして結構人気だったんだよ」
「友達は作ってなかっただけだ」
「へー、じゃあ6月にあるテストが楽しみだね」
「そうだな」
「あ、あと、透花は意外とさみしがり屋だからちゃんとかまってあげてね。じゃないと透花泣いちゃうから」
「はーい!学校では任せてください!ちゃんと甘えときます!」
「別にさみしがり屋なんて誰も言ってねーよ!俺はさみしがり屋じゃない」
「全く、ツンデレなんだから」
「黙れ、くっついてくんな!」
「透花くんってこうしてみると意外と子供っぽくて可愛いんだよね~」
「誰が子供だよ」
「好きな飲み物は?」
「…緑茶」
「本当は?」
「緑茶だっつってんだろ!」
「でも3時のおやつにはいつもオレンジジュース飲んでるよね?」
「…緑茶とオレンジジュースだよ、なんか悪いか」
「全然悪くない!むしろ可愛い!弟みたいだな~」
「透花の兄は僕!透花は僕のモノだからね!ダメだよ取ったら!」
口調は阿保だがその言葉からは愛の重さと狂気がにじみ出てる。
「俺はお前のモノじゃねーから」
「僕のモノだもん!誰にも渡さないからねー」
「…透花くんのお兄さんってブラコン?」
「そうだよ。だからあんまり会わせたくなかったんだ。こうなるから」
「なんとなくわかった気がするよ…」
こうして夜までには解散し、学校二日目が始まったのだった。
◆◆◆◆◆ ◇◇◇◇◇ ◆◆◆◆◆
「気を付けて言ってくるんだよ~!あの子に取られたら許さないからね!」
「わかってるわかってる。うるさいから黙れ」
そういっていつもの様に家を出て学校へ向かう。
そういえば今日は想造主に会いに行くっつってたか…まったく、本当に居るのか?
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