おかめside
妖くんの応急処置を済ませて、もしもの時に持ってた癒しの薬を傷に塗り込むと、たちまち火傷跡が消えて目立たなくなった。
流石、妖は回復が早い。
般若「…い、おーいおかめー!阿形ー!」
寮組の二人がかなり焦った感じで駆け寄ってきた。
カゴメちゃんも一緒みたい、良かった、これで当初の問題は解決した。
隈取「阿形!無事か?!どこも怪我してねぇか?!」
阿形「く、隈ちゃあん!」
隈取くんの方は阿形くんの方に一直線、阿形くんも走って抱きついてった。
幼馴染の絆ってすごいなぁ。
カゴメ「おかめさんに阿形くんまで、それと…この人は…?」
カゴメちゃんは妖くんを見て聞いてきた。
カゴメ「あ、私はカゴメっていいます。貴方は誰ですの?」
?side
気が付くと俺の周りには、歳が同じくらいの人達がいた。
その中で俺が何者かを尋ねてきたのは、黒いリボンが似合う、カゴメという女性でした。
カゴメ「…貴方は誰ですの?」
?「私は、この近辺の森に住んでいます。半人半妖の妖狐です」
すると彼女は顎に手を添えて、考えるような仕草をして「うーん」と悩んでいた。
カゴメ「えぇっと…じゃあ貴方のこと狐と呼びますね」
阿形「えっ?名前教えてくれないの?」
カゴメ「阿形くん知らないの?彼は妖なのよ。妖の方達は名前付けないの」
阿形「あ、そうだった!じゃあ俺はきっつんって呼ぶ!よろしくね、きっつん!」
狐「あはは…いえ、こちらこそ…っいたた…!」
おかめ「無理しないでね、幾ら回復力が高くてもひどい火傷なんだから」
先程手当てをされた傷が痛むと、おかめという人が肩を貸してくれた。
おかめ「君はどうしてあの森にいたんだい?狂暴な魔物が住み着いているんだよ」
狐「それは…私の母が怪我してしまったので、よく効く薬草を採りに来てたんです。そしたら、子熊を殺した者だと誤解をされて…火だるまにされてしまいました 」
般若「それは災難だったな…ここなら俺たちを守ってくださる先生方がいるし、怪我に効く薬がもらえるか聞いてみるよ」
狐「あ、ありがとうございます!…ところで、あの母熊は…?」
隈取「安心しろ、殺しはしてない。今は土壁の魔法が解けて森に帰ってるとこだろうな」
狐「それは、良かったです。彼女はただ自分の子がいなくなったことをすごく悲しんでいたので」
先程まで暗かった廊下の灯りが灯り始めた。
目を閉じてしまいそうになる程眩しく、今の今まで灯りが着いてなかったことが信じられないと思う程に。
カゴメ「よ、よかった。あの熊は山へ帰ったのね」
おかめ「そうだね、じゃあ、避難場所まで行こっか」
教師「全く、貴方達はどれだけ私たちに苦労をかけるのですか?取り残された一年生と、魔物被害に遭った妖を救出したことは良しとして、我々教師に無断で避難から外れるなんて!」
避難場所へ行くと、俺はしっかりと治療をしていただき、彼ら、特におかめさんと般若さんは女性教員にお叱りを受けているようだ。
教師「…おかめ!貴方は最高学年であり監督生!自身の寮生を安全に管理し、事前に被害から遠ざけることが役目のはずでしょう!」
おかめ「はい、申し訳ないです」
教師「般若!貴方もですよ!学年成績でも上位に値し、学組をまとめられる人望がありながら、後輩二人を危険に巻き込んで!」
般若「すみません、緋乃江先生」
教師「謝るのは私でなく、隈取と阿形の二人でしょう!」
おかめ/般若「「二人共すみませんでした」」
先輩である二人が最もらしいお叱りを受け、気まずそうにしている後輩二人に謝罪をしている姿は、なんというか、少し微笑ましく感じました。
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