TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第五章:火線を越えて(再結束)


山の夜に、銃声がこだました。

敵の奇襲に対し、ロジン小隊は散開し、岩陰や低い段差に身を隠しながら応戦した。


「左から回り込まれる! シラン、遮蔽物へ!」


ロジンの叫びに、隊員たちは即座に従う。

この瞬間、小隊は“疑念”よりも“生存”が優先される、原初の連携を取り戻していた。


■ ホシュワンの行動


裏切り者として追及され、隊の信頼を失ったはずのホシュワンだったが―

彼は迷わず敵の正面へ飛び出し、激しい射撃で味方の退路を確保した。


「ロジン隊長! この崖の上を抑えれば突破できます!」


ロジンは迷わなかった。


「アザル、右から回れ! ホシュワン、援護を続けろ!」


このときロジンは理解していた。

裏切り“行為”はあったが、ホシュワンの心はまだ味方にある。


■ 崖上の攻防


山肌の急斜面を駆け上がるロジンとアザル。

足場は不安定で、砂利が滑り落ちるたび敵の弾がそれを追う。


アザルが息を切らせて言った。


「隊長…いつもの、あれを?」


ロジンは短く笑った。


「ああ、やるわ。」


二人は視線を交わし―


ロジンが正面から牽制射撃を浴びせ、その間にアザルが岩場を飛び移り、敵の側面へ回り込む。


「今だ、アザル!」


アザルの射撃が決まり、崖上の敵兵たちは、数人銃弾に倒れ、 残りの敵は撤退した。


■ 戦いの終わりと静寂


しばらくして銃声が途絶え、山には静寂が戻った。


隊員たちが続々と集まる中、ロジンは全員を見渡し、ゆっくりと息を吐いた。

「全員、生きてるか?」


シランが答える。

「はい…全員無事です。」


隊員同士が安堵の笑みを交わす中、ホシュワンだけが遠巻きに立っていた。


その顔には 「ここに居る資格があるのか」 という迷いが浮かんでいた。


ロジンは彼に近づく。

「ホシュワン。今日の戦いで、あんたは仲間を救った。」


ホシュワンは首を振る。

「でも、俺は部隊を危険に晒したんだ。」


ロジンは静かに言葉を続ける。


「その責任は後で必ず話し合う。

けど、あたしたちは、味方のために戦ったあなたを見た、 それは事実だ。」


ホシュワンの表情が少しだけ緩んだ。

周りの隊員も、彼を見る目をわずかに変えつつあった。


「俺は……もう一度仲間として戦ってもいいのか?」


ロジンは小さくうなずく。

「あんたがそれを望むならな。

ただし、ここからが本当の戦いだ。」



■ 小隊の再結束

その夜、焚き火を囲む小隊の表情には緊張の影はあったが、

そこに漂う空気は確かに“ひとつのチーム”だった。


アザルが笑いながら言う。


「ロジン隊長、また無茶したなあ。」


ロジンも珍しく笑った。


「あなたたちが支えてくれるからよ。」


こうして小隊は、裏切りと危機を乗り越え、再びひとつにまとまった。


だが―

ロジンの表情の奥には、まだ消えない決意が燃えていた。


「仲介人は、まだこの山のどこかにいる…。」


そして小隊は再び、闇の中へ足を進める。




砂漠の星空 第1部

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚