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あ
16
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「ひぐっ……、ん、う……っ」
旧校舎の空き教室から、なつたちに抱えられて保健室へと移動した。
カーテンで仕切られたベッドの上に座らされ、俺は未だに身体の震えと涙が止まらずにいた。
一軍の4人が完全に失脚し、もう脅される心配なんてない。頭では分かっているのに、首と太ももに刻まれたあの冷たいチョーカーの感触と、自分からキスをさせられた屈辱が、頭から離れなくて怖かった。
「いるま、もう大丈夫だから。な? ほら、一回息吐いて」
なつが俺の目の前にしゃがみ込み、大きな手で俺の震える両手をそっと包み込んでくれた。その手の温もりに、張り詰めていた心がまたじわじわと溶けていく。
「……まにき、本当にごめんね。僕たち、何も気づかなくて……」
こさめがベッドの脇で、今にも泣き出しそうな顔で俺の制服の袖を掴んだ。
すちも、いつものお調子者の顔を消して、痛々しそうに俺の真っ赤に擦りむけた口元を見つめている。
「謝るなよ……。俺が勝手にやったことだろ。みんなを守りたかったんだよ……」
弱々しく呟く俺の頭を、LANが後ろから優しく抱きしめた。
「うん、ありがとう。でもね、俺たちはいるま一人を犠牲にして守られるような、そんなに弱くないよ。次から何かあったら、絶対最初に俺たちを頼ること。約束ね?」
「LAN……」
なつが、俺の首元と太ももに残る、赤いチョーカーの痕を指先で優しくなぞった。
「あいつらに無理やり付けられたこれ、マジで胸糞悪いわ。……なぁ、いるま。あのクソ共の記憶、今から俺たちの『上書き』で全部消してやるよ」
なつの瞳が、さっきまでの怒りから、どこか熱を帯びたドSな色へと変わる。
「え……?」
「そうだよ、いるま。一軍の奴らにされた嫌なこと、俺たちで全部塗り替えてあげる」
すちがニヤリと笑い、俺の制服のボタンに手をかけた。
「俺たちの名前、あの奴らの時みたいに消えそうな声じゃなくてさ、ちゃんと俺たちだけを見て、可愛く呼んでよ」
「っ……お前ら……!」
形勢逆転して安心したのも束の間。俺の周りを取り囲む5人の瞳には、一軍の奴らとは違う、だけど確実に俺を独り占めして可愛がりたいという『ドSな執着』の炎が灯っていた。
「あはは! まにき、また顔真っ赤。……ほら、こさめの名前から呼んで?」
一軍の支配からは解放されたけれど、俺は結局、大好きな5人の過保護でドSな愛の檻の中に、一生閉じ込められることになりそうだった。
コメント
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読み終わりました。一軍の支配から解放された安堵と、大好きな5人に囲まれる新たな「ドSな愛の檻」への移行が、めちゃくちゃ巧みだなと思いました。主人公のトラウマ反応から、なつたちの優しさ、そして「約束ね?」からのギャップ萌え。最後の一文で「ああ、これはこれで主人公は一生逃げられないんだな」とニヤリとさせられました。心理描写が丁寧で、キャラの魅力が爆発してる回でした!