一体何があったんだ?確かあの時俺は…いつの間にかいた後ろの奴に気付かなくてそのまま頭を殴られて…。まだぼんやりとした頭であの時の状況を整理する。恐らく不意打ちを喰らったのだろう。いつもの俺なら難なく避ける事が出来たが、あの時は考え事をしていて避ける事が出来なかった。不味いなぁ…ただでさえどれだけ時間が経ったか分からないのに敵対組織に捕まるのは非っ常に不味い!何だったら俺このまま○されるのでは?そんな事を思っていると、近くに人の気配がある事に気付き、ゆっくりと瞼を開け、目を覚ます。
?「おっ、起きたか」
?「ごめんねー、ちょっと強く殴り過ぎたみたいで…」
目を開けると先程見た3人の男とは違う男が2人いた。銀髪でタレ目の男と高身長でさっき俺に謝って来た男。2人共袖に卍の文字がある事からやっぱり俺は東京卍會に捕まったのかと確信する。最悪だ…。
?「意識戻ってばっかで悪いが、お前に聞きたい事がある」
ですよねー。
?「お前は人間の子供を実験してキメラを作ったりしてる組織の人間か?」
銀髪の男に聞かれるが無言を貫く。一度言っても良いかと思ったが、それでは俺達に尽くしてくれた百合様を裏切る様な気がしてやめた。
?「まぁ、言う訳無いよな」
銀髪の男がやっぱりなとばかりの反応をする。
?「でも言わないならいつまで経ってもその拘束を解く事は出来ないからな」
拘束という言葉を聞いてやっぱりそうか…。と確信する。さっき目が覚めた時から両腕が動かせない。恐らく壁に括り付けたりでもされているのだろう。異能力で拘束を解く事も出来るが、その異能力がさっきから使えない。もう詰んだ…。
?「ねぇタカちゃん、どうする?このまま縛り付けとくのも可哀想だけど、情報言ってくれるまで解いちゃダメ何でしょ?」
?「俺も年が近い人間を縛っておくのは辛いがどうしようもないだろ。こいつを逃したとしても後から面倒な事になるのは俺達だしな」
いや可哀想だと思うなら助けてくれよ…。
?「なぁ、本当に何も喋ってくれないのか?別に俺達はお前を殺そうとは思ってないぞ?寧ろ情報を言ってくれたらうちの組織に置いてやってもいい。ダメか?」
なんか一周回ってその真っ直ぐな目で見られるとこっちが罪悪感湧いて来るんだが?ていうか今更だけど、この人達顔がいいからそれもあって余計に心に来る……。俺が頑張って無言を貫いていると部屋の扉が開かれた。入って来たのは先程の男3人と初めて見る男2人だった。何故か縛られた1人の男を連れて。
?「何だ三ツ谷、まだ吐いてねぇのか?」
?「ああ、さっき目が覚めたんだが、それどころか一言も喋ってくれねぇ」
お手上げだ。とばかりに銀髪の男が言うと、辮髪のこめかみに龍のタトゥーが入った男がおい、と話しかけて来た。
?「そのまま無言でいてもいいが、お前がさっさと情報を言わないとうちを探っていたお前んとこのこいつがどうなるかわかんねぇぞ?」
そう言って縛られた男を前に出す。成程、だからこの人は縛られてたのか。その男はこの人達になす術が無いのか、怯えた声で俺に話し掛ける。
男「お、おい!さっさと情報を吐いて助けろ!実験動物!!」
うっわぁ。こいつ遂に裏切り発言しやがった。最早自分が助かれば後はどうにでもなれって感じの目してるな。周りにいる人達は男の声を聞くと目つきが少し悪くなった。俺でも今の男の声によって機嫌が悪くなったんだと分かる。けど、男はそんな事お構い無しに俺に必死に声を掛けてくる。
男「おい!聞いてるのか!!実験動物の分際で人間様のいう事を聞かないつもりか!!?」
その言葉を聞いた途端、俺の頭の何処かでプツンと何かが切れた様な気がした。俺の頭は限界を迎えた。
武道「さっきから黙って聞いていれば実験動物、実験動物って…。アンタは俺達の事を道具としか思っていないんですね。」
いきなり俺が喋り始めたからか、男達は驚いた様な顔をしている。
武道「あの人は俺達を実験動物なんて呼ばないし、俺達の事をちゃんと気に掛けてくれる。でも…アンタはなりたくてなった訳でも無い可哀想な俺達の事を道具としか思っていないゴミ屑野郎なんですね」
武道「残念ですが、俺はあの人からアンタを助ける様な指示はされておりませんのでアンタを助ける事は出来ません」
男はそんな俺の言葉を聞くと酷く青ざめた。一言で言うなら絶望の顔だ。俺は男のその顔を見ると心の中でスッキリした。やっぱり俺達の事をちゃんと考えてくれるのは百合様だけだ…。辮髪の男は絶望顔の男が使えないと判断したのか銀髪の男に一言伝え、部屋を出て行った。
?「お前…彼奴のこと嫌いなのか?」
銀髪の男が聞いて来る。俺が答えずにいると「まーた無言になっちゃったかぁ」と苦笑いをして言った。すると路地裏で見た男の1人、ツーブロックで金髪の男が言う。
?「取り敢えず、これじゃ埒が明かないですし、一旦アッくん達に監視頼みます?」
武道「…アッくん?」
俺は懐かしい聞き覚えのある呼び名に思わず反応してしまった。その言葉をが聞こえたのか高身長の男が
?「アッくんの事知ってるの?」
と、聞いて来る。だが考えてみると同じ呼び名なだけで全く別の人だろうと思った為、俺は返事は返さなかった。するとツーブロの男が「…やっぱりアッくん達呼びますね」と異論は認めないと言った感じの口調で言う。どうやら男達はそのアッくん達が来るまで此処で待っているらしい。数分程すると扉が開かれ、そこにはかつての見知った顔がいた。
敦「すみません、遅くなりまし…」
謝罪をしながら入って来た男…俺の親友だった千堂敦は俺を見るなりその場で固まった。安心しろ俺も驚いている(?)アッくんの他にも幼馴染であるタクヤ、そして山岸、マコトも固まっている。すると、我に返ったのかタクヤが聞いて来る。
タクヤ「た、武道!?何で此処に…」
?「何だ、やっぱりアッくん達の知り合いだったのか」
敦「いや、知り合いっていうか…中学の頃の友達っていうか…」
?「ていうか武道っていうのか。一言も喋らないからずっとお前って呼んでたな」
ごめんな。と言って銀髪の男が謝って来る。貴方は何も悪く無いと思いますよ…。
山岸「武道は何で縛られてるんですか?」
山岸がそう聞くと銀髪の男が説明する。
?「そういう事で、出来ればその…武道?を説得してくれないか?」
俺達じゃ話も出来ないんだよ。とアッくん達に頼むと。何だか複雑そうな顔をしながらアッくん達は了承した。アッくん達が近づいて来ると、俺の事を縛っていた紐を解く。
武道「…え…何で?…」
敦「何でって…あのままだと話しづらいだろ?」
アッくんはそう言うと、自由になった俺の腕を引いて近くのソファーに座らせた。丁度そのタイミングで辮髪の男が戻って来て、アッくん達含めた全員がソファーに座る。暫く無言になっていると、ツーブロの男が「あの…一旦自己紹介しません?」といい、アッくん達以外の自己紹介が始まった。
?「じゃあまず俺!俺は佐野万次郎!東卍の総長やってて、皆んなからマイキーって呼ばれてる!宜しくな!」
?「俺は龍宮寺堅、皆んなからはドラケンって呼ばれてて、東卍の副総長をやってる」
?「俺は1番隊隊長場地圭介だ!」
?「俺は羽宮一虎、一虎でいいよ」
?「俺は1番隊副隊長、松野千冬だ。アッくん達と友達って事は同い年だろうからタメでいいぜ!」
?「2番隊隊長三ツ谷隆だ。宜しくな」
?「俺は2番隊副隊長の柴八戒!宜しく!」
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続きを書いてくれませんか? とても、読みたいです! ꒰ ✪ㅅ✪꒱✧︎